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序章-1


慣れない手つきで昼食をすませ

リビングをぐるりと見渡してみる。


我が家は木造建築でログハウスのような造りなのかと思う。

リビングの奥には竈があり、

香草のようなものが沢山吊るされている。

ダイニングテーブルの奥には暖炉があり

暖かい空間を演出している。


今まで気づかなかったが、暖炉の柵の前で女の子がくたりと横になって昼寝をしていた。恐らくあの子が妹なのだろう。すやすやと寝息をたてており、とても愛らしく感じる。



「ただいまぁ!ママおなか空いたぁ!!!」



ダダダダと10歳ほどの胸当ての鎧を装備した少女が、駆け込んできた。



「アル!今日も可愛いねぇ。午後は道場ないからお姉ちゃんと遊ぼうか?」



俺にニコリと微笑みかけ、姉が話しかけてきた。

瓜二つとまでは行かないが、姉は母親そっくりで将来有望といったところか。やはりどの世界でもDNAは争えないらしい。



「ほんと?姉さん俺外で遊びたいよ。」



外の世界を観てみたかった俺は姉に外に連れて行ってくれるようにお願いした。



「アルは本当にお外が好きなんだね!そしたら今日もお庭で何かして遊ぼうね。」



どうやら俺は外で遊ぶ事が好きらしいが、この世界での外遊びとはどうゆう事をするのか?

その辺りは兄弟達から学んでいくのが1番良さそうだ。



「ほら!ちゃんと装備は外で脱いで、ちゃんと手洗ってきなさい。ご飯準備しておくから。」


「はーい。」



元気の良い返事をすると姉は妹の隣に寝転ぶ父親の背中を踏んづけ居間を出ていった。父は微動だにせず居眠りを続けている。




カランカラン!




「あら?お客さんね。あなた...パパ!!」


「はいっ!!!」



姉に続き父親も居間を飛び出して行った。

眉間に皺を寄せ、トレーで食事を運びながら母がテーブルへ近付いてきた。



「ったく。アルはあんなぐうたらな男になったら駄目だからね!」



どうやら俺の父親はちゃんと嫁の尻に敷かれているらしい事を確認しながらも、とても微笑ましいやり取りだなと自然と笑みがこぼれる。



「あら?アルちゃん、面白かったのかしら?ママ真面目に言ってるのよ?」



母の笑顔が目だけ笑って居ないのを確認すると俺もパタパタと父親を追って居間を後にした。



「こら、アルベルトっ!」



後ろの方から声が聞こえると、父親を追う足を早めた。



ふと、考えてしまう。

自分はこんなに素晴らしい家族を騙し、悲しませる人生を送っていかなければいけないのだろうか?

そうだとしたら、せめて家族から嫌われるような子供でありたい。


早く出ていけ、連絡もよこすな


悲しいが、せめてそれくらい言われるくらい嫌われるような人生を送らないと、申し訳が立たない。

そんな事を考えていると目頭が熱くなり、泣きそうな感覚を覚えた。どうやらこれは、5歳児だからなのか自分の性格から来るものなのか。

恐らく後者なのだろうなと思いながら、家の構造も分からないのに自然と足は玄関に向かっていた。

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