ありがちな事ほど目を凝らしてみると全然話違うじゃんと言うことはよくある
①
剣と魔法の世界
よくライトノベルで目にするような異世界へ
これまたありがちな転生をした後、
剣士でも魔法戦士でもなく
または勇者でも魔王でもなく
詐欺師として生涯を過ごす事。
17歳になると神からジョブが与えられ、
この世界の人々、いや生きる者たちは
生涯その仕事を全うするのだとか。
そこで自分に与えられる仕事が
“詐欺師”
また、自害は認められず
自害行為を行おうとした際にはペナルティが科せられるということだ。
②
生涯をかけて日本円で7000万円
仕事として稼ぐことができた時には、
1度目の人生をやり直すチャンスが案内人より与えられる。
つまり、子供達や嫁さんと
時空を遡りやり直すのことが出来るかもしれない。
出来なかった時には、そのままこの世界で詐欺師として生涯を終える。
③
この後神の間にて1つだけ選択することが出来る、特殊ステータスが与えられる。
それ以外のステータス、スキルは生前の自分に備わっていた能力値が数値化された上で自動的に備わっているということ。
簡単にまとめるとこの3つである。
尚、生前の記憶は死亡時に残っていた記憶は引き継がれるが
俺の場合は死亡時すでに頭蓋骨の挫傷や、失血の為に記憶は曖昧である。
あんなに大切な家族の名前も顔も
自分の名前も思い出せていない。
「さてどうじゃ?ちなみにこの世界の人族の平均寿命は60歳。その間お主は親も愛する者も全ての人間を騙しながら生きて行かねばならない。耐えられなくても死ぬ事も出来ずにその人生を全うする。それがお主へ与えられた罰じゃ!」
胸のあたりが締めつけられ、
想像するとゾワッとした。
もちろん悪い意味でだ。
恐らく、自分が望まなくても命を授かった以上
家族も出来るし大切な人々も出来るのだろう。
そんな人達を騙しながら生きていく...?
耐えられるのかそんな事?
しかも何十年も。
「考えたところで選択肢はない。」
待ってくれ。
俺にはそんなの耐えられるわけが...
「行け!地獄の住民よ!!生きて己の罪を嫌という程償うがよい。」
案内人が両手を高く掲げ天を仰ぐと
今度は真っ暗ではなく
眩しい光に包まれ、視界が真っ白になった。