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罠・W
「はっはっは、全く警察も馬鹿だなあ!」
七生は笑いが止まらなかった。
「あんなものを手に入れるのはネットが発達してる今、簡単だと言うのに・・・」
彼の名は七生熱志。
熱い志という意味を込めて名付けた親の期待に反し、全く堕落した人生を送ってきた彼は
ついに殺人事件を起こしたのだった。
だが彼にはアリバイがある。まさに警察に罠を仕掛けて見事に嵌めた気分でいる。
しかし、実際には罠を仕掛けられているのは七生の方だった。
警察の方では、七生が犯人であることはほぼ確信しているのだが、
逮捕に踏み切れない事情があったのである。
だから、七生が主張するアリバイを信じているフリをしているのだった。
いわばダブルトラップなのである。