第一話 ハーレムを夢見て
中学校卒業式が終わる。
思い出が何にもない、灰色の学校生活だった。
....僕は決めた。
これから送る高校生活は、ラノベの主人公みたくめっっっちゃハーレムになって、最後はメインヒロインと結ばれて高校生活ハッピーエンドを迎えてやるぜ!!
でもそうするためには、ラノベの主人公の真似、ラノベ主人公の様なモテオーラを発揮できるようにしなくては....
__そして迎えた高校入学初日。知る人が誰もいない新しいクラス。
??「南鳥かなでくん」
僕「ん?」
??「南鳥かなでくんだよね?」
僕「えっと君は北内仁音さんだっけ?」
北内仁音「そうだよ、よろしくね」
......北内仁音さんか。
この人はメインヒロインになり得るかはわからないけど、声がやたらかわいいし、ハーレムメンバー候補だな。とりあえず仲良くならなくては。昨日ハーレム主人公の練習した僕には抜かりない。
僕「北内さんは僕の家の隣に住んでたりする?」
北内仁音「ん?え?」
僕「違うの?じゃあ僕と実は幼なじみだったりする?」
北内仁音「いや、違うと思うけど....」
僕「じゃあ僕の妹??」
北内仁音「えっとさ、南鳥くん何言ってるの??でも南鳥くんって面白いんだね!」
....な、何だと....!?
....ま、まさか..この....人属性が無い....?
僕の隣人でも無ければ幼なじみでもなく妹属性も無いとは。
..こんな属性の無いモブはハーレムに不必要ではないだろうか。
うん不必要だな。やんわりと距離を置こう。
北内仁音「南鳥くんって珍しい苗字だね」
僕「えっと、きたないさんも珍しい苗字だよね」
きたない仁音「わたしきたないじゃないよ!きたうちだよ!!」
僕「え?でもセリフ前にある名前はきたなくなってるよ?汚いの?」
きたないひと「セリフ前??何の話!?それに私汚くない!!」
僕「ごめんね....君には魅力を一切感じない。ハーレムメンバーには加えられないね」
きたない「しばくぞ」
よしっ。やんわりと関わりを無くす事ができた。僕にはメインヒロインとハーレムメンバー以外に割く時間はない。
....さよならだ、きたないひと。
きたない「きたうちな」
??「南鳥くん」
僕「ん?」
??「この問題を、南鳥くん」
この人は担任教師の西中先生。
....先生という属性も悪くないな。そして何より美人だ。ハーレム候補確定間違いない。何より美人だ。メインヒロインでもいいくらいだ。美人だし、もうメインヒロイン確定だ。メインヒロインにはラノベの主人公らしさを遺憾なく発揮しよう。
西中先生「南鳥くん、きいてる?」
僕「....ん?何か言ったか?」
西中先生「南鳥くん、先生に向かってその口調はどうかしら」
僕「ん?何か言ったか?」
西中先生「後で職員室に来なさい」
僕「ん?何か言ったか」
西中先生「......」
僕「ん?何か言ったか?」
西中先生「......」
僕「ん?何か言ったか?」
西中先生「....何も言ってないわよ」
僕「ん?何か言ったか?」
西中先生「......えー、じゃあ気を取り直してこの問題をきたないさん」
きたない仁音「あ、きたうちです」
僕「ん?何か言ったか?」
西中先生「あ、もう大丈夫、南鳥は静かにしてて」
僕「ん?何か言ったか?」
西中先生「いい加減にしろ、てめぇは南鳥じゃなくて難聴な!クソジジイが!」
..なんて酷い事を言うんだ。このクソビッチ教師は。
....西中先生、じゃなくてこのクソ教師もハーレム候補除外だな。ダメだ。ロクな奴がいねぇな。
さよなら、クソ教師....
__放課後、下校の準備をする。
??「くらえ!!光焔死斬(スーパーライトニングフレイムデスノイズハイパースラッシュ)!!!」
僕「え?」
??「き、貴様!!我が剣をその身に受け、なお立っていられるだと...!?」
僕「え、えっと....君は?」
??「申し遅れた。私は東京子と申す。以後お見知り置きを」
..これは、新たなハーレム候補か。
....東京子さんか。不思議ちゃん系か、厨二属性か、そのどちらかだろう。
どちらも僕の守備範囲且つ、ハーレム候補だ。何よりかわいいし。
....いや、さっきのモブ二匹と同じでこの人ももしかしたらダメな奴かも。慎重に関わらなくては。
僕「僕は南鳥かなで、よろしくね」
東京子「はっはっは!うむ、よろしく頼むであるぞ」
あ、こいつダメだ。言語障害。同時通訳不可。
何言ってるかわかんねぇや。
僕「東さんの属性は?」
東京子「光焔死属性である」
僕「高円寺属性?」
東京子「フン、その程度もわからぬとは....仕方ない。分かるように説明してやろう。光と炎と死の属性、すなわち光焔死属性である」
僕「はぁ、えっと豪炎寺属性?」
東京子「イナイレ関係ないよ!である。簡単に言うとね、清い力と火の力と悪の力の属性である」
僕「ふーん、キモい力と毛の力と吐く力ね」
東京子「だーかーらー!!光焔死属性!!」
僕「....ハイパーとノイズは一体どこから?」
東京子「最近の流行りだよ!最近は特殊な読み方が流行ってるの!」
僕「あー、なるほどわかった、つまりこういうことな、お前面倒くせぇな(帰れ)」
東京子「そうそう!!でもそれは読みがそのまま過ぎるよ!まだ甘いな、小童」
僕「チェンジ(お前はハーレムに要らない失せろ)」
東京子「だが断る(最近は残念系ヒロインも需要あるから私も充分にハーレム候補のはずだよ!)」
僕「却下」
..東さんも無しだな。まったく....この学校には本当ロクな奴がいねぇな。
まったく....
まったく....
東「....でもさ、南鳥くん、今までで一番素で会話できてない?」
東京子が話しかけてきた。
東「さっききたないさんと西中先生とのやりとりみてたけど」
きたない「きたうちね」
東「あの人達より私の方が話しやすいんじゃないかなあ!」
僕「えっ?あ、まぁ、うーん、確かに」
東「このかっこ()を使うと本音も伝えられるし、私とは意外と合うんじゃないかなあ!?」
僕「ま、まぁそれはどうかな」
東「残念系ヒロインとしてハーレムメンバーに加えてほしいな」
うーん、確かに今までで一番意思疎通ができた。他の奴らとは違って、同族の臭いがするし....悪くないのかも....よく見るとかわいいし。
ハーレム候補にしようかなぁ....うーん、よーく見るとめちゃくちゃ美形だし、ちょっと口調がおかしいのも何かかわいいもんな。
うん、ハーレム候補、いやメインヒロイン確定だ。美形で、かわいいし。
東「どうかな?」
僕「まぁそれはうーん別にやぶさかではないというか、嫌ではなくて、うんそちらがそれを望むなら僕としても別に断る理由がないというか」
東「つまりOK??」
僕「まぁ、そうなっちゃうよな、必然的に」
東「照れてるの?南鳥くんかわいいね」
僕「よせやい(照)」
東「本音が()で見えてるよ(笑)」
僕「....そういえば東さん、今普通に喋れてない??キャラはどうしたの?忘れた?」
東「あっ//やめて恥ずかしい」
僕「そのスラッシュ//やめて官能小説見たいで恥ずかしい//」
東「しばくぞ」
僕「....君、東京子さんを僕のハーレムメンバー第一号に任命する」
東「うむ、感激の極みである」
僕「メインヒロインにしたいくらい楽しく話せたけど、まず、これからもっとお互いの事を知って友達になるところから始めさせて下さい」
東「ありがとね、こちらこそよろしく!」
こうして、僕のハーレムメンバー第一号が決まった。
もちろん今後、新たなハーレムメンバーを見つけたり、メインヒロインを決めたり、未定の事は多いけど、これからも僕は夢に向かってラノベ主人公のように頑張ってやる!
まず第一の目標は東さんと関わっていろんな事をいっぱい知っていこう。