6、異世界の車窓から
扱いが雑なもう一人も、後ほど掘り下げていきます。
馬車での旅は快適だった。
馬車の車部分には、魔法で衝撃吸収が施されているのだと、魔王討伐メンバーの筋骨隆々な魔導師ヴァン・フォレスト氏から教えてもらった。
密かに心配していた馬車酔いは、とりあえず回避出来たようだ。
前世で乗ったあのハイブリッド車のようだ。
具体的な品名型式は、大人の事情で私の口からは言えない。
ただ、コレだけは言える。
魔法、グッジョブ!
美脚のレン様は、脚を組み、揺れない馬車の中で静かに書類に目を通していた。
「学園から一番近い街に着いたら、早めに宿を取りましょう。最初から飛ばすと魔王のとこまでもたないわ。」
ウンウンと私は頷くと、筋骨隆々のヴァン氏の方を見た。
よく見たら、椅子に座らず、空気椅子に座っていた。
座りっぱなしでは筋肉が衰えてしまうと言わんばかりの馬車内での筋トレ。
しかしその筋トレだが、魔術戦闘員であるヴァン氏にとってその筋トレって意味あるんですか?
などと私は物凄く疑問に思ったが、特殊技能である前世の記憶により、『つっこんではいけない。』『沈黙は金』を発動し取り敢えずスルーすることにした。
「ヴァン、その筋トレって魔法量の向上とか、何かに効果があるの?」
レン様聞いちゃったよ!すっごい可愛い口調で言ってるけど、ストレートにぶっさす様にツッコミ入れちゃったよ!
「人体が出す事が出来る魔力には限りがある。魔法量、魔術、それらの届く距離も無限ではないとなると、最後の手段を備え、常に万全にしておく必要がある。」
「最後の手段?」
「、、、コレは俺の企業秘密だが、肉弾戦だ。」
言っちゃったね。企業秘密の最後の手段言っちゃったね!しかも肉弾戦て。
魔法使えなくなったら、ブン殴るみたいな、そんな戦法が最終手段て、、、
この討伐メンバー、大丈夫なんだろうか?
私は遠い目で、窓の外へと目を向けた。
「あ、羊っぽいやつが草食べてる〜。」
そしてこの現実から逃避した、、、。
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