3、狂乱の晩餐会なう
保存前にブラウザでうっかり移動しちゃって、書いてた文章が無くなりました。
システムが問題なんじゃない、操作する私がポンコツなんだ。
そう自分に言い聞かせて、また1から書き直しました。
狂乱の晩餐会なう。
この世界に発信する機会があるならば、きっとそう私は世界に向けて発信していただろう。
学園寮の食堂で行われた、ささやかな出立前夜祭である晩餐会で初めて知った、今回同行する魔王討伐メンバーのメンツが、狂乱の始まりだった。
魔王討伐メンバー
聖女 レンモンド・ファラディ(ツルツル美脚の長身サラ艶黒髪な青目の褐色美人)
勇者 リューイ・カミユ(やんごとなき雅な東方留学生で剣術使い)
魔道士 ヴァン・フォレスト(筋骨隆々な体力魔術戦法の人)
しかも選抜方法は、まさかのあみだくじだった。
400年前の転生者があみだしたという、由緒正しきあみだくじだそうだ。
この世界、特にこの国において、転生者は特殊技能としての位置付けになっている。
異世界・異時代の、知識や技術を持ち合わせているからだ。
かく言う私も、転生技能枠でこの学園に無事入学する事が出来た。
この世界では有り得ないカメラ使いとして、統括部長自らが王都の町はずれの貧しい家の私の家に出向いて、入学を進めてきたのだ。
祖父の形見の白黒写真しか撮れない骨董カメラで、可愛い妹弟の写真を撮って、アルバイトで地道にコツコツ貯めたお金で王都の写真コンクールに応募して、たまたま審査員だった統括部長の目に留まったんだっけなぁ。
「、、、ハルさん、ハルさんってば!」
可憐で優しい口調の男の子の声が、私を現実に引き戻した。
「ああ、レン様、、、」
「食べないと、身体保たないんだからね。しっかり食事は取っておかないと!」
言われて、そうだなとレン様の方に向き直ると、レン様のお皿には溢れんばかりな大量の、、、フルーツ。
やんごとなき雅な東方留学生で剣士のリューイ様のお皿には、雅さに似つかわしくない大量の、お肉お肉お肉。
筋骨隆々な体力魔術戦法の人ヴァン様のお皿には大量の、お豆お豆お豆。
、、、偏食し過ぎだろうみんな。
食糧調達、骨が折れそうだなと、私は思わず、遠い目になった。
私はというと、サラダ、肉、少量のフルーツと、実に効率よくバランスの良い、自分の身体に必要最小限度の食事を、ちんまりと皿によそって置いてある。
こんな所でも省エネ、エネ子の名は伊達ではない。
などと、心の中で密かにひとりごちていると、レン様は前世でいうイチゴに似たフルーツを、実に官能的に食していた。
けしからん。私がイチゴになりたい。
しかしこの耐久性の信頼性が薄い印象なメンバーで、魔王討伐に行くのか。
私は再び、遠い目をしながら、シャリシャリとサラダを咀嚼した。
肉食う前には、葉っぱ食わないとね。
晩餐会の出席者には、王室関係者は居なかった。
チラッと広報クラブの総括部長を見れば、いつもの型通りの笑顔。
これは今はこの場で、聞かない方が良いだろう。
前世で『ニホン』人だった私は、空気を読んだ。
ただ今は、このささやかな晩餐会を最大限楽しもう。
それが良いんだと私は思った。
お読みいただき、ありがとうございます。