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1、美しい人との出会い

初投稿です。

どうぞ宜しくお願いします。

私ハル・リーベント(例によって一文字も被っていない、みんなから呼ばれているあだ名、通称エネ子)には所謂、前世の記憶が生まれた時からある。

『ニホン』という国で特に目立つ事もない、とっても地味〜なカメラ人生を送っていた。

『ニホン』とは違う、まるで異世界と言っても過言ではないこの国で、その前世の記憶は、私のライフワークである節約生活に、多大な影響を及ぼしている。

私の通う、ストルイ王国建国の立役者ウィンデールの名を掲げた、この聖ウィンデール学園は、男女共学で貴族と庶民が共に学べるという、全国民の憧れであり、国の未来を担う若者を育む由緒ある学園だ。

その学園の広報クラブの映像部に前世よろしくカメラマンとして所属する私は、広報クラブのヘーベル総括部長から呼び出しされ、例の如く必要最小限の体力を使い、最短ルートで部長室に向かっていた。

中庭を突っ切り、廊下の突き当たりを右に曲がれば部長室!というところで突然前に現れた人物の胸元に、思いっきり鼻っ柱をぶつけた。

「フンガッ」淑女にあるまじき品のない声を出して蹲ると、頭上から男性特有の低い声が降り注ぐ。

「ごめんなさい。私もうっかりしてて気付かなかったの。その、、、お顔、大丈夫?」

私はゆっくり顔を上げると、まず視界に入ってきたのは、規定の女子用制服よりだいぶ丈の短くなったスカートから惜し気もなく晒された、ツルッツルの美脚。

180センチは悠に超える長身と長い手足、エキゾチックな褐色の肌と、切れ長のブルーの瞳、真っ直ぐに伸びた黒髪が肩にかかりツヤツヤさらさら、、、

声の主は、男の子か女の子か、いいや声は男の子のものだった、しかし見た目は長身の女の子のようであり、私は思わず見惚れ、軽いパニックに陥っていた。

「あなた、お顔は大丈夫?」

女の子の顔をしたその人は、とても可愛らしい口調で優しく男の子の声で、私にそう話しかけてきた。

「あっ、はい。私もぶつかって、、、脚が、、、顔が髪が綺麗で、すごく見惚れて、ほんとスミマセン!」

最早自爆のような、何に対して謝ってるんだか訳がわからない発言を、私は美脚の人を激しくガン見しながらも思わず言ってしまっていた。

そのくらいその声の主は本当に美脚で、長身で美人で男の子の声で、衝撃的だった。

同時に私は悔やんだ。

呼び出しに必要最小限の持ち物を持参してきたとはいえ、こんな美しい人を目の前にして、何故にカメラを持ってこなかったのか。ああもうこれでは気合いで角膜を全開にして、脳内に焼き付けるしかない。

「うふっ、大丈夫なのなら良かった。では私はこれで、ご機嫌よう。」

そう言うと、美脚のその人は、前世の記憶でいうモンローウォークばりにセクシーな歩のあゆみで、華麗に去って行った。

去り際に、ほんのり、品の良い香の香り。

私は思わず思いっきり吸い込んで、少しむせた。

「あっ!まずい、部長室に急がないと。」

私は再び、最小限の体力で最短のルートを、歩を早めて歩き出した。

部長室をノックし、室内からの返事でドアを開け、私は最小限の体力で、デスク席に座るヘーベル総括部長に向かい、最短最速で、必要最小限の角度で会釈をした。

「遅くなりすみません。部長、お呼びでしたか。」

「ああ、ハルエネ子君、待っていたよ。」

声の主のヘーベル総括部長は、貴族らしい金髪のキラキラ天然パーマに緑の目をしている。

私もこの国では珍しくない金髪緑の目をしているが、ヘーベル総括部長と比べると、宝石と枝豆(しかも黒っぽい)くらいの差があった。

「はい。総括部長に、この私が直に呼び出しという事は、何か新しいイベントの映像に関わる事案でしたでしょうか。」

ヘーベル総括部長は、フッと笑みを浮かべ、実に楽しそうに説明を始めた。

「エネ君察しが良いねぇ、正にそうなんだよ。イベントというか君に、この学園の栄誉ある行幸に密着取材して貰いたいんだ。」

「、、、栄誉ある行幸、ですか。」

「さっき、もしかしたらすれ違ったかもしれない。正にこれから行われる、その行幸の主役なんだが。」

「ああ、あのツルツル美脚の、長身でサラ艶黒髪で、青い目の褐色美人ですね。」

「、、、すごく端的だけど君、短時間で色々と細部まで見過ぎじゃないか?」

ついでに可憐なウォーキングと残り香も、と思わず言いそうになって、私は言葉を飲み込んだ。

総括部長からの生温かい視線を向けられるのは、正直なところどうでも良いが、話の先を早く聞きたかった。有益な時間の短縮である。

「それで、その行幸というのは?」

「魔王討伐だよ。我が学園からその行幸に、討伐の全メンバーが選ばれたんだ。」

「美脚美人に、密着すれば宜しいのですね?」

「密着取材な。エネハル子君、よろしく頼むよ。出発は三日後だ。」

「、、、色々急ですけども、わかりました。」

こうして私は、魔王討伐に必要な食料衣類撮影機材そして宿題を持って、美脚美人他メンバー(扱い雑)と三日後、出発する事となった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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