アシュタットの双翼

わたしは、たぶん――
ファジィとのんびりできる居場所が作れれば、それでよかったんです。
だけどわたしはあのとき、彼女を見殺しにしました。
そんなわたしに、いったい何を期待するんですか？

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大陸歴６６８年、
大国の支配からの脱却を目指すヤーヌイツ新王は、
かつての所領を次々と侵略していく。

新王軍によって虐殺の起きた村では、
まつられていた「天命石」が、
生き残りのうちの四人に加護を与え、
新王への復讐を果たすことを誓わせる。

倉庫番の女ナミカ、村の食糧をかすめ取っていた盗賊の女ファジィ、
村長の男ガエラタ、警護兵の青年スピリー。
彼らは新王殺害のため村を出る。
それは１８年に及ぶ長い戦いの始まりだった。

のちにアシュタットの双翼と呼ばれる二人の女が、
暴政から人々を守った１８年の記録。