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ドクヌマノナカ

「開拓をするにしてもこの毒沼に入る方法がないなら,高いところから毒沼を見てみるか。」


「領主殿,山にでものぼるのですか。ここらは平野なので山までは少し遠いですよ」


「いや,飛行魔法で一気に上昇してみてこよう」


 遠くを見るには高いところから見ればいい。しかし一周歩くと一年以上かかるなんてどこまで高く飛べばいいのだろうか。飛行魔法は高く飛べば飛ぶほど制御が難しくなる。魔法が得意俺でもせいぜい1万メートルほどしか上がれない。


「とりあえずこの毒沼を一周するにしても,おおまかな大きさは知っておきたいし。ちょっととんでくるよ」


 "ヒュン"


 飛行魔法を発動させ高く高く昇っていく。


「あっちょっと待ってくだ領...もう普通の人は10メートルまで上がるのでも精一杯なのにもうあんなに高くまで...って」


 "ズン"


「なんか言ったか」


「領主殿,なんで戻ってきてるんですか。魔力の無駄使いじゃないですか」


「ちょっと待ってて言ったのはお前だろ」


 頬を膨らませてるから,怒ってても怖くないがちょっと脅かしてみよう


「ぷくーと頬を膨らませるなんて珍しいな。気にすんな,こんなことくらいで俺の魔力は減らないよ。それよりも一緒に空高くまで飛びたかったんだろ」


 持ち上げてお姫抱っこをし,再び飛行魔法を発動させる。


 "ヒュン"


「へっ...」


 顔面真っ青になっていくのを見て申し訳ないことをしたなと思ったが,もう結構高くまで来てしまったのでそのまま上り続ける。


「おい,ついたぞ」


「領主殿,急に何するのです...キャーーーー」


「おい,暴れるな。落ちるぞ」


 急にバタバタとするからつい落としそうになってしまった。


「領主殿のバカ。急にこんなことをするなんて信じられない」


 落ちるのが怖いのか,高所恐怖症なのか,顔を俺の胸に埋めている。どうやら少し脅かしすぎたかもしれない。


「そんなことより朗報だ」


「そんなことって…とっても怖かったんですからね」


 いつもクールなのにこんなに怖がるなんて,意外な弱点をしれたな。しかしそんなことよりも重要な俺たちを救う大発見があった。


「ちょっと毒沼の方を見てみろ」


「領主殿,実は私高所恐怖症なのだ。許してください」


 どうやら本当に高いところがダメなようだ。しかし俺の参謀なのだからこそ,この景色を見てもらいたい。抱き直して無理やり毒沼の方を見せた。


「島がある…領主殿,毒沼の中に島があります」


「おう,島があるな。しかも広大だ。こんなに高く飛んでるのに奥まで見渡せない。もしかしたら帝国より広いかもしれない」


「こんなところでも生活できるかもしれませんね」


 こうして新たな領地で生きていくための重要な情報を得たのだった。

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