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ココハタニンノリョウチ
「早くここから離れないと厄介な奴に目をつけられるな」
俺の領地はあくまで毒沼であり,ここは他人の領地なのだ。そのため毒沼の手前での生活を早くやめなければならない。
「ここはあのワラスーボ辺境伯の領地ですもんねぇ。領主様」
「ここで生活していることがバレないように結界魔法で隠しているけどな。バレたら大変だ」
今のところワラスーボ辺境伯には俺たちのことはバレていない。バレる前になんとか毒沼の中で生活しなければならない。
「確かワラスーボ辺境伯はカステイラ男爵と小競り合いしてるんですよね。領主殿」
「そうなんだがいつこっちに目が向くか分からないからな。そもそも普通の貴族は新しい領地がとなりにできると気にする。ワラスーボの奴も例外ではないだろう」
とりあえず現状のままはまずい。とにかく毒沼を開拓できるような手掛かりを掴まないといけない。
「本当にこんなところに住めるんですかねぇ…」
こうしてワラスーボ辺境伯に気づかれないことを祈り続けるのだった。