カイゾクヤキ
「イヨちゃんと戦って疲れたし,今日はここらで休むとするか」
日はまだ高いがイヨちゃんとの戦闘で疲れているのに急いでも仕方がない。
「よっこらしょっと」
"ゴゴゴゴゴッッ"
「師匠!!すげーーー!!」
仮拠点を作ったらイヨちゃんだけ驚いてくれた。
他のメンバーは...
「ちょっと遅いけど昼飯にしようぜ」
「ハチヨウの旦那に賛成!!」
「今日もカレーがいいですいいです!!」
「サンダ殿,二日連続でカレーはちょっと...」
などと話し,仮拠点の中に入って行ってしまった。
なんか悲しい...
「ウズラー!!そんなところで突っ立てないで早く食べ物出してくれー!!」
「ハチヨウ,なんか変な当て字してない???」
「何言ってんだ,お前??」
今日はみんなが疲れているので,王都の名店「海賊」の定番料理を出してあげた。
「いただきます」
「「「「いただきます」」」ます」
「いただきます...?」
「イヨちゃん,いただきますっていうのは,食べさせていただき感謝しますって意味なんだよ」
「そうなのか,小娘」
「イヨちゃん,小娘はやめてよ。私にはアサリって名前があるのに...」
「そうか,小娘。ところでこの料理は?」
「小娘のままなの...」
「イヨちゃん,ここにいるのは俺の仲間だ。名前で呼んでやってくれ」
「分かったのだ!!師匠!!」
「えーっと???」
「あぁ,まだこっちの名前の紹介をしてなかったな。俺がハチヨウ。隣の男がブウラック。その隣の女がサンダだ。」
「ハチヨウ,ブウラック,サンダ」
ハチヨウがそれぞれの名前を紹介して,イヨちゃんが復唱した。
「アサリ,アサリ」
唯一,名前を呼ばれていないアサリは,自分を指さしながら自分の名前を連呼した。
「うるさいは小娘!!」
「イヨちゃん何で私だけ...」シクシク
「イヨ,アサリも名前で呼んでやってくれ」
「分かったのだ,師匠......アサリ」
"パアァ"
イヨちゃんに名前で呼ばれて,アサリは笑顔になった。
「ところで師匠!!この食べ物はなんだ?」
「これは海賊焼きだ」
「海賊焼き??」
「イヨちゃん,これはお魚のステーキを秘伝の醤油ダレで焼き上げた,「海賊」の名物料理なんだよ」
「この海賊焼きは最高なんだぞ。イヨちゃん」
「そうなのか?魔力が豊富そうには見えないぞ?」
「あぁ,竜の食事は魔力だったんだ。忘れてた忘れてた。ホイ!!」
"ピカー!!"
「「「「はっ!!?」」」」
「イヨちゃんこれでいいだろ!!」
「美味しそうになったのだ!!」"バクバクバク"
「旦那,今の何ですか???」
「あぁ,あれは聖竜に食事を与えるときに開発した,魔力ふりかけだ」
「魔力ふりかけ???」
「魔力をふりかけにするんだよ」
「何言ってんだ,旦那...」
「バカですバカです」
「何言ってんだ,ウズラ...」
「お前ら,この流れそろそろ止めにしてくれないか...てかサンダ!!俺にウラミでもあるんか!!お前の上司だぞ」
最近のサンダの悪ふざけは酷い。
バカだのアホだの...
俺はサンダのこめかみをグリグリする。
"グリグリグリ"
「痛いです痛いです」
「反省しやがれ!!」
そんなことをしていたら...
「イヨちゃんの美味しそうです」"パク"
アサリが魔力ふりかけのかかったイヨちゃんの海賊焼き食べてしまった。
"バタン"
アサリが倒れた。
「「「「アサリ!!?」」」」
「これはイヨちゃんの食事なのにー!!」
皆が倒れたアサリに驚いた。
一人,いや一匹を除いて。
【オネガイ】
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【カンシャ】
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