ケッカイ
フンワリフワフワと進んでいくウズラ一行。
「まずは水場がどこにあるかをチェックですか?領主殿」
「それが妥当だろうけど,毒沼の中の島だからな...水が毒に侵されてないとも限らないし...」
「旦那,紫色の毒川があると考えてるんで?」
「それも可能性の一つだな。食っていくには水場が大事だけど,まずは毒の原因究明かな」
そんな話をしながら空飛ぶ絨毯が森の上を飛んでいく。
「グーーグーー」「すぴーすぴー」
「領主殿,私も眠っていいですかぁ...この絨毯気持ち良すぎぃ......」
"むにゅ!!"
ウズラはアサリの顔を掴んだ。
「りょうちゅどにょ...ひょっぺちゃをちゅかむにょはやめてくだちゃい」
「ブウラックとサンダは夜の警戒のために寝てんだよ。今はこの島の調査中だ。ちゃんと仕事しろよ!!!」
「はい,わかりました...」
「旦那,この絨毯が悪いぜ!!ちょっと気持ち良すぎるんだ」
「そうか...フンワリフワフワがいけないのか...よし分かった!!ピシットパリパリの空飛ぶ絨毯を作るか」
「それはやめてほしいですぅ...」「やめてくれ!!」「やめてください」「やめるですやめるです」
「お前ら...」
「ところで領主殿の結界って相当強いんですよね?夜の警戒とかいるんですか?」
「お前,自分が寝れないからって...」
「そういうことじゃないです!!単に気になっただけなんです!!」
「そうか...」
アサリが睨んでくる。
ちょっと怖い...
「旦那が寝ているときの結界は俺達でも突破できるぜ!!」
「ハチヨウ殿達が領主殿の結界を...???」
「まぁ,最近の旦那の出鱈目っぷりを見てるとちょっと自信を無くしそうだけど...多分突破できるぜ」
「アサリ,なにも魔法は万能じゃない。魔法ってのは干渉力を上回られれば,破られるもんだよ。寝てる状態なら干渉力が低くなるから。ハチヨウ達には破られるだろうなぁ...」
「領主殿,竜がいるって言いましたよね!!ヤバいのでは???」
「竜のブレス一発ぐらいは防げると思うけど」
「!!?」
「まぁ,この土地は毒だの何だの物騒だからな。起きている奴がいるに越したことは無いんだよ。どうせブウラックとサンダ,地形のことは分かんないだろうし...」
「!!?」
「本格的な拠点造りが始まるまで,この二人は仕事がないんだよ。だからそれもあるし...」
「な...なんかすみません」
「アサリ,さすがに今までの領地と違うからな」
「ハチヨウ殿...」
「今までは人が入ったことのある土地だったし...でもここは違うだろ。毒を意識しないといけないから,ある意味ダンジョンより質が悪いんだ」
「ハチヨウの言う通りだ......一回くらいはお前にも冒険させておくべきだったなぁ......」
「まぁ,そこは慣れでしょ。俺らも最初は理解できてなかったし,そもそもウズラが特殊事例みたいなものだからな...」
「特殊事例って...なんだかひどく貶された気分だな,それ」
「私,今まで法務とか財務とか事務系ばかりでしたけど,これからは冒険のことも勉強しようと思います」
「あぁ,よろしく頼む」
「ところで魔道具で結界を作るっていうのはどうなんですか?帝都もそんな感じでしたよね?」
「アレは滅茶苦茶時間かかるんだぞ!!しかも俺の寝ている時より強度低いしな...あんなのは鍵開けっ放しで護衛もつけず寝ているようなもんだぞ」
「そうなんですか!!?」
「まぁ帝都付近は危険なモンスターもいないし,アレでいいんだろうけどな」
こうして地形のチェックをしつつ,結界についてレクチャーをしていくウズラであった。
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