オレノリョウチ
目の前にとてつもない大きさの毒沼が広がっている。今日からここが俺の領地らしい。
「全て毒沼じゃないか」
「これは騙されたな。領主殿」
「マジかよ,あのクソ皇帝。なーにが「我が帝国で一番大きな領地を与えよう」だ。全部が毒沼なんてふざけてないか」
今まで不毛の土地を開拓して生きた土地にしてきた俺たちは皇帝によって次々に領地を変えられてきた。
「作物がよく育つようになるとすぐに領地奪う。あのクソ皇帝,本当に頭いかれてるよ」
いままでにも水はけがめっちゃ悪い土地とか,もはや硬すぎでどうしていいかわからない岩盤むき出しの土地とか色々あった。それをなんとか開拓して,生活が出来るようしてきた。しかし毒沼はいくらなんでも無茶苦茶である。
「これはあれだな」
「あれとはなんだ。領主殿」
「皇帝がどう考えているかだよ。ポジティブに考えるなら,この巨大な毒沼を俺らが本気で開拓できると思っていて送り出したと考えることができる。もしこの毒沼が使えるようになれば新たな領地が出来ることで食料事情の改善が期待できるしな」
「それはポジティブとは言わない。バカな発想だ。領主殿」
「確かにな。まぁ本当のところは邪魔者の俺らをそろそろ消したいってところじゃないかな」
不毛な領地の開拓を次々に成功させたことで帝国の懐事情は他国に比べて随分と差ができた。だからもう優秀な開拓者はいらなくなった。さらには開拓を成功させたことで国民から人気のある俺らが,国民からの支持を得て,反乱を起こすのではないかという危惧もしているだろう。
「どちらにせよ,俺たちの居場所はないんだ。ここで生活が出来るようにするしかないな」
「本当にこんなところに住めるんですかねぇ…」
こうして新たな開拓生活がスタートした。