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初期設定
あ、いけね冬休みの宿題おわってない。
「やーーー!」
個室ジムから甲高い声がひとつ響いた。声の主サルナはいかにも闘士のように杖をなぶり続ける。2mほどの杖だ。サルナの相手をしていた獅獄矢という後輩は身動きひとつとらず、攻撃に耐えていた。特殊な手術を受けた彼にとってこの程度の攻撃なら耐えられるのだ。蛙と同じ色をした目を持つ後輩が独り言としてサルナの耳に届くように呟く「今度はこちらからいかせてもらいます。」獅獄矢はすばやく片手を伸ばすと杖を鷲掴み反対の手でサルナの肋骨めがけてなぐる。「よし、ここからが本番だ。」
サルナは心の中でそう思う。サルナが後輩相手に手加減してまで勝負を挑みこんだ理由、それは杖の能力を接近戦で使えるようにするためだ。