07 訪問者のようですが、どちらさまですか？
よっしゃ！ 肉も手に入った！
山菜もいくらか手に入ったし、鑑定サマサマだな。ぶっちゃけ山菜と毒草の差なんて全然わからなかったし、、ホーンラビットと山菜の束を持って自宅(ただの横穴)へと帰る。
ん？ なんだ？ なんか変な感じだ、、
なにか、、いる？
横穴のあったところに戻ると、何かが横穴から出ている！ なんだ、横穴からはみ出している、あの巨大な黒い毛玉は？！
魔獣:モヒカンベア
ランク:B
説明:南の森の主
……いい度胸じゃねぇか、、無断で人んちに上がり込んで食物食ってる最中かよ、
とはいえランクB、強そうだな、、
正面から殴り合い、、無理だな
弓矢で射る、当たらんし、刺さるのか？ このゴツイケツに
スコップで殴る、、いやいや道具は職人の魂、そんな事には使えん、、
うーーん、、どうしたものか、、
「ゴフゥ、、」
「ちょっと待っててくれ、今考えているところだからさぁ、、」
フン、フン、、
「ちょっと、くすぐったいって、背中の匂いかぐなよ、、って？」
「ゴァァァアアア！！！」
「うわ、ちょ、やべ！！」
手に持っていたホーンラビットをモヒカンベアの口の中に突っ込む！
「ウゴ？」
バリバリ、ボリボリ、、
ああ、俺のメシが、、なんて言っている場合じゃねぇ！
ダッシュで逃げる！！
離れて川の横の土手を駆け上がり、振りかえる、でけぇ、、成犬ほどもあるホーンラビットを一口でほおばりながら、満足そうに目を細め、上を向いてバリバリ咀嚼している。 体長４メートルはある黒い巨体、頭のてっぺんから背中、尻尾まで生えている赤い長い毛が『モヒカン』と呼ばれるゆえんか、、
ゴックン、、上を向いたままホーンラビットを飲み込んだモヒカンベアの瞳が、、グルンと動きこちらを向いた！！
にぃっ、
目が合うと牙をむいて目元と口元を歪めて笑った！！ やばい！！
ドンッ！！
地面を蹴り、大砲の玉のように突撃してくるモヒカンベア！！！ くそ！ 逃げる一択！
ザシュ！！
うお、さっきまで俺がいたところを薙ぎ払う４本の巨大な爪！ 低木がバラバラに切り刻まれて宙を舞う！！
走る！ かわす！ また走る！！ やべえ、１発でもまともに入ったら、終わるぞ！
「ゴァァア！！」
ザン！！
痛ってェ！！！
くそ、背中ちょっと切られた！！
ガキン！！ ゴロゴロ、、
く、スコップで受けたら吹っ飛ばされて転がった、痛ってぇ
避ける、走る、背中を削られる！！ くそ、背中の血で一張羅のパンツがベタベタになっていく！
そうこうしているうちに、どんどん山を登っていき、崖に追い詰められた。
にぃっ、と笑うモヒカンベア
こンの野郎、、なめんなよ、、
ひょい、ひょいひょい、
出っ張りを足場に崖に身を翻し、切り立った岩の側面を跳ねるように進む。ガテン系なめんなよ、こちとら建材担いで細い足場歩きながら高いところで仕事してんだ。
呆然としてこちらを見るモヒカンベア、あれ？ こっち来ないの？？
にぃっ、
奴の真似をして笑う、、かかるかな？
「グラァァアアア！！」
かかった！！ 小さな足場をつたって追いかけてくる！
タ、タタッタン！
ほとんど垂直の崖に所々出ているコンクリートブロックほどの大きさの足場を頼りに横へとさらに進む、
「よっ、はっ、ほっ！」
時たまスコップを崖に突き刺し、それを手がかりにして岩場を飛び跳ねて進む！
「ゴファ！」
ズシン、ズシン地響きを立てながら小さな足場の上を巨体で追いかけてくるモヒカンベア！
「おい、」
「グァアア！！」
「下、下」
そう言って下を指さし、視線を下に向けると、モヒカンベアもつられて下を見る。
「ピィッ！」
なんだ、急にかわいい声で鳴き出したぞ。 自分が断崖絶壁の真ん中にいることに気づいたモヒカンベアが急におびえだして壁に張り付く。
「なに、お前、怖いの？」
「ピヒッ！」
「さんざんやってくれたねぇ、おかげでパンツ、俺の血でベタベタじゃん」
何とか戻ろうと、後ろを向こうとするモヒカンベア、だけど、狭い足場の上でその巨体じゃ方向転換もうまくいかないだろ？ 小さな足場の上でうろうろ動いた後、やっとの思いで戻ろうと後ろを向いたモヒカンベア、今だ！
数歩戻り、モヒカンベアのいる足場の岩にスコップを突き立てる！ スコップはさっくり岩に刺さり、足場を崖から切り離した！！
「ピ！！ クゥアーアア！！」
情けない声を上げてモヒカンベアが崖を落ちていく！
ガッ、ドズン、、
鈍い音を立てて地面に激突する岩とモヒカンベア、、うつぶせのまま、、あ、まだ動いてる、逃がさん！ スコップで崖の岩をどんどん切り取る！ 人間ほどの大きさの岩をサクサク切り取り、落とす、落とす！！
ゴン、ガゴン、ドゴ！
「はあ、はぁ、まだか？ しぶといな、、」
ピロリロリーン♪ ピロリロリーン♪ ピロリロリーン♪ ピロ…
うお！ びっくりした！ あぶね！ 落ちそうになった。でもヤったみたいだな、、レベルアップの音が鳴りつづける。
ピロリロリーン♪ パラパッパパー♪ ピロリロリーン♪
ん？ なんか変なのが混じっていたぞ、、 鳴りやんだところで、、鑑定、
タロウ タナカ
レベル25
職業:ガテン系
HP:488/523
MP:172/172
攻撃:C
防御:B
魔力:D
素早さ:B
ユニーク武器:スコップ(熟練度B)
スキル:鑑定C 弓術G [ ]
さすがランクBの魔物、一気に２０近く上がったぞ。ところでなんだろ？ スキルのこの[ ]は？
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