表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/81

54 この町は

「タロにーさ〜〜ん!」


 ある日、城壁の拡張工事をドワーフ達と行なっていると、柴犬獣人の少女、ターニャが俺の名前を叫びながら走って来た。


 先日のスタンピードの時にこの城で多くの獣人やドワーフ、エルフの人達を匿った事が知れ渡ったらしく、スタンピードが収束した後も、この城に庇護してほしいと、魔獣に村を壊されたサウザーラにもエオリアにも属していない人たちがどこからともなく集まって来た。そのほとんど、というか全てが純人族以外であり、その数はすでに千人を超えていた。

 今までの城内では手狭になるという事で、長老達と話をし、じゃあいっそのこと街を作ろうということになって、城を中心にした半径2kmほどの土地を囲む城壁を作ることになった。




「ハッ、ハッ、タロにーさ〜ん」

 息を切らせながら可愛らしく走ってくるターニャ、

「どうしたターニャ? 危ないからちょっと離れて待ってて」


 スコップで持ち上げていた、四角く切り出された家ほどの大きさの岩を、城壁の土台となる場所にポンと置く。


 ズドォーン!


「うひゃぁあ!」

 巨石が置かれた振動で飛び上がるターニャ、

「はっはっは、ゴメン、大丈夫かターニャ? 一人で城から出て来たのか?」

「うん、大丈夫ー。あのね、なんかタロにーさんに商品を届けに来たっていう人が来たのー」


 ? どこの商人だ?


「そっか、呼びに来てくれてありがとう、ターニャ。どこに行けばいい?」

「南門でガルドワンたいちょーがお話ししてるのー」

「わかった、南門だな。一緒に行こうか、ターニャ」

 そう言って両手を広げると、「わーい!」と言ってターニャが飛び上がって抱きついてきた。


「ここは任せたよ」

「「「はっ!!」」」


 ドワーフ達の返事を後にしてターニャを抱えたまま俺は現場を後にした。




「よう! 兄さん久しぶり!」

「なんだ、リャントウ、お前だったか」


 南門に着くと、サウザーラの冒険者、リャントウが待っていた。


「き、貴様! 陛下に向かって何という口の、、」

「あー、いいから。俺もこの方が話しやすいから」

 リャントウを咎めようとするエルフの長老グリューンの言葉を遮る。


「なんだ、ってのはねえぜ。スタンピードの後とはいえ、魔獣がまだまだうろつく森の中を苦労してやって来たんだぜ。全く、エオリアの勇者様々だよ。スタンピードの元凶を叩いてくれたって言うじゃないか」

「ああ、そうだな、、」

 そう言って級友達の顔を思い浮かべて空を見上げる。


「……兄さん、ひょっとしてエオリアの勇者と知り合いか?」

「まあな、ダチだ」

「……ええと、、『遠視』のスキルで見てた冒険者が何人かいて、、、そいつらが言うにはドラゴンにトドメ刺したのって、素っ裸の男だったって噂が流れているんだけど、、」


「うっせー! 下は履いとったわい!」

 そう言って腰ミノを指差す。まああの時は半壊してたけど、、


「…マジかよ、兄さんだったとは、、」

「よけーな事周りに言って、広めるんじゃねーぞ」

「あ、ああ、わかったよ。でな、そんな兄さんに朗報だ。ご注文の品、持って来たぜ」


「ん、服か?」

「ああ、そうだ、ほら!」

 そう言って、リャントウは傍に置いてある、直径1.5mほどに丸く膨れ上がったリュックを指差す。


「おお、ご苦労さん、すまんな」

「とりあえず兄さんにはこれなんてどうだい!」

 そう言って赤と緑と黄色の派手な服を出してくるリャントウ。


「フツーのやつは無いのか? あと子供服や他のサイズは?」

「ああ、子供服は下半分に入っている」

「そっか、よし、じゃあそこの倉庫に運んでくれ、みんなで見よう」



 倉庫にリュックを運び込み、広げてみる。服は150着も入っていた。

「よくこんなに入っていたなぁ」

「すげーだろ、5倍の容量が入るマジックバッグだ。それでもパンパンになったけどな」

 そう言ってリャントウが空のリュックを持ち上げてみせる。


「だけど購入した服は、まだこの10倍はあるぜ。一度には運びきれなかったからサウザーラの貸倉庫に置いてあるのさ」

「そうか、お、これなんか良さそうだな。みんなも見てみろよ」


「陛下、まずは陛下がお選びいただくのがよろしいかと。我らはその後でゆっくりと」

 犬獣人の長、シュタイナーが伝えてくれる。長の言うことは的確で他の者たちが言いにくい事でも丁寧にやんわりと教えてくれる。そうだよな、まずは俺が選ばないとみんな手を出せないよね。


「よし、俺はこのズボンとシャツ、ベストにしようか」

「兄さんまた地味なの選んだなぁ」

 ベージュのズボンに白いTシャツ、その上に緑の柔らかい感じのベストを羽織った。

 村人Aって感じだな。


「太郎さん、お似合いです」

「そ、そお?」

 雫の言葉にちょっと照れる。


「よし、みんな、あとは仲良く分けてくれ。今回行き渡らなくっても、次があるから仲良くな」

「「「ははっ!!」」」




「リャントウはリュックを持ってこっちへ来てくれ、魔獣の毛皮や素材がたくさんあるんだ。商売になるか見てくれよ」

「うひょお、兄さんが仕留めた奴かい? そりゃ楽しみだな!!」

 そう言って毛皮と素材の倉庫にリャントウを案内する。


「す、すげぇ! これ『クワッドホーンブル』の皮と角かい! こっちは『レッドガルム』の毛皮!」

「角や牙はダメだ。サウザーラに武器の素材は渡せないからな。できれば毛皮なんかを売ってきてほしい」

「わかったよ、兄さん。じゃあこの毛皮と、お『熊の肝』もいいかい?」

「ああ薬の材料だな、いいぞ」

 夢中になって毛皮や素材を選ぶリャントウ、


「ガルドワン、ちょっとここは任せた。俺は建築中の城壁の様子を見に行ってくる」

「ああ、タロウわかった」

 俺はリャントウを守備隊長のガルドワンに任せて、宙へと駆けあがり、建築中の城壁の元へと空中を走っていった。



 5分後、、、


「あれ? 兄さんさっきの服は?」

「……やぶけて飛んでった」

 倉庫に戻ってきたところで元の腰ミノ一丁の姿になった俺にリャントウが不思議そうな顔をして質問してきた。

 そうなのだ、素早さSSSで空中を走ると、服がどこかの大サーカスの団長ばりに飛んでいったのだ。


「あちゃー、でもなんでその腰ミノは大丈夫なんだい?」

「……鑑定して見ろよ」


 名前:タロウの腰ミノ

 説明:タロウと共に激しい戦闘や作業にも耐えつづけた腰ミノ 防御力S


「うわーー、兄さんの腰ミノ、とんでもないことになってるな! 防御力Sなんてアーティファクト級だぞ!」

 ちなみに雫に作ってもらったトランクスも防御力Sになっていた、、、


「おれ、、服はあきらめたわ、、また破いたらみんなに悪いし。リャントウ、みんなの分、また頼むな」

「兄さん、、、」



◇◆◇◆◇



 その日の夜、俺は城の会議室に長達を集めていた。

「この町に名前を付けようと思う、いい案のあるものはいるかい?」

「「「!!」」」


「おお、ついにこの町に名前が、、」

「殿、皆待ち望んでおりましたぞ、、」

 涙を流しながら答えるグリューンとデインガンド。

 シュタイナーは目をつぶり、じっとしていた。


「名前はぜひご主人様に付けて欲しいにゃん」

「そうね、太郎さんが一から作った町だから太郎さんに付けてもらうのが一番ね」

 猫獣人のミーシャのお願いに雫ものってきた。


「そっか、、いくつか考えたけど、『ラフェリア』なんてどうかな? 造語だけど『ラフ』って笑うって言う意味で、みんなが笑って暮らせる場所を作りたいから、、 変かな?」

 あんま英語得意じゃないけど、涙を笑顔に変えていく歌詞の歌が好きで、そこからヒントを得て考えてみた。俺の言葉を聞いたみんなは、小声で「ラフェリア、ラフェリア、、」と繰り返す。


「大変よろしいかと思います、陛下」

「『ラフェリア』いいね、太郎さん」

「今日からこの町は『ラフェリア』にゃん!

 そしてこのお城は『ラフェリア城』にゃん!」


「ありがとう、みんな、、」

 魔獣の森を切り開いて作ったこの町にやっと名前をつけることが出来た。

 この町『ラフェリア』とそこに住む人々を守っていこうと心の底から思った。



町の名前が決まりました。

ラフ エリア → ラフェリア てな感じです。


お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければこちらもどぞ  すっぴん召喚のヤマナさん
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ