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52 謁見


 デザートドラゴンを倒した翌日、、


「ほお、、よくぞこれだけ育ったものだな」

 建築中の四神神社の中で、青龍様が木のコップを片手に、テーブルの上に置かれたスイカほどもあるデザートドラゴンの竜玉を見て言われる。

 今回の戦い、玄武様と青龍様の加護には本当に助けられた。お二人にはエオリア王国からもらったお酒を、雫のお酌で飲んでいただいている。


「ふむ、竜玉を砕かずに持って来てくれたこと、礼を言うぞ」

「いえ、とんでもございません。青龍様、玄武様の加護が無ければ、とても太刀打ち出来ませんでした。ありがとうございました」


「ふおっ、ふおっ、我らが役に立てたようで何よりじゃ」

「玄武様のお力で、親友達を守ることが出来ました。感謝いたします」

 雫が玄武様のコップにお酒を注ぎながら応える。


「では、この竜玉は預かってゆく。時に太郎、このやしろはいつ完成する予定だ?」

「はい、あと一月ほどで完成致します」

「ふおっふおっ、完成の際には他の二人も呼ばねばのう」

「他の御二方ですか?」

「勿論、朱雀と白虎も来ることになる、用意しておけ」


 用意といっても何をすれば良いんだろう、、


「あのー、どのような用意をすれば良いかお教えいただけないでしょうか?」

「うむ、朱雀は酒と肉だな。この干し肉の様なものを各種用意しておけば良いだろう」

「はい、では白虎様は?」

「あやつか、、あやつはな、」

 青龍様の眉間のシワが濃くなる、なんだろ?


「ふおっふおっ、白虎には甘いものをたんと用意しておけば良い。あやつは酒を飲まんしの。青龍は甘いものが苦手じゃからのぅ」

「苦手というわけではない、酒と一緒には食えぬと言うだけだ」


 その後、神事の進め方などを玄武様に聞いた後、玄武様、青龍様が帰られることになった。

「馳走になった。竜玉は預かってゆくぞ」

「社の完成、楽しみにしておるでな、ふおっふおっ」

 俺と雫が腰を90度に曲げて礼をしている間に、玄武様、青龍様は帰られた。



◇◆◇◆◇




 それから更に2日後、

「タロー兄さん、北のほうから5人やってくる!」

 四神神社の外壁を工事していたら、城の最上階で見張りをしていた犬獣人の少年、シウバが走りこんで来た。


「5人? どんな人たちだ?」

「んーと、1人は一度来た女の人、後は多分男の人が4人、冒険者っぽくない人もいるよ」


「ん? 柳田か? 迎えに行くかな?」


「お待ちください、陛下」

 エルフの長老、グリューンだ。


「どうした? グリューン?」

「陛下のご友人だけでしたらともかく、エオリア王国の者であれば、迎えに行ってはなりません。陛下に会いに来たのであれば謁見の形を取るべきかと」


 …そうか、、

 めんどくさいけど、みんなを守るためには、なめられないようにしないといけないな、、


「…わかった。城で待てばいいか?」

「はい、お聞き入れいただき、ありがとうございます」

「では俺の部屋で待つ」


 俺は城の2階にある自分の部屋で待つことにした。



◇◆◇◆◇





「ふう、ふう、お、お待ち下され、勇者ユミ殿、、私の従者も遅れております」

 私はエオリア王国の外相を務める、カルロンである。王族ではないが遠くは王家とも繋がる由緒正しきエオリア王国の貴族である。私は国王の命を受け、あの白亜の城に向けて森の中の斜面を登っていた。


「はぁ、、だから私1人でいいって言ったのに。ほら、遅れると魔獣に襲われるよ」


「「ひいっ、」」

 後ろから、私の従者2名が急いで駆け上ってくる。


「全く、、お守りも楽じゃないですねぇ」

 その後ろには、我々の匂いをたどって追いかけてくる魔獣を始末する、勇者タクヤ殿がいて下さる。後ろで度々繰り返される戦闘に、正直生きた心地がしない。



 ザザッ!!


「「ひ、ひいっ!」」

 我々の前に槍で武装した獣人の一団が現れた。私の従者が揃って悲鳴をあげる、役に立たん奴らだ、、


「わ、私は、エオリア王国のがいしょ、

「ヤッホー! シベハスちゃん元気〜?」


 私が名乗ろうとしたところ、勇者ユミ殿の声に遮られてしまった、、


「は、はい、ユミ様、お久しぶりです、お迎えにあが、、、ちょ、耳くすぐったいです」


 勇者ユミ殿は背伸びをしながら、獣人の耳を触って遊んでおられる、、

 全くこの勇者殿は、、


「迎えに来てくれたんだ、ありがと。タロちゃんのとこに案内してもらってもいい?」

「は、はい、そちらの方々は?」

「一番後ろの黒いのはあたしと同じくタロちゃんの友達のタクヤ、でこっちの3人はエオリア王国からの使者一行だよ。タロちゃんに話があんだって」

 なんと、、従者とひとまとめにされてしまった、、


「私はエオリア王国の外相、カルロン。タロウ殿にお引き合わせ願いたい」

「はい、カルロン様、遠路はるばるありがとうございます。ここからはこのシベハスがご案内させていただきます」

 む、なんと礼儀正しい獣人だ。エオリアにも奴隷として獣人は沢山いるが、このように堂々として礼儀を知ったものはほとんどいないであろう。



 城に近づいて驚いた。なんだこの城は?!

 城壁に全く継ぎ目がない!!

 一枚の白い岩をくり抜いて作ったとでも言うのか?!


「ガルドワン隊長、エオリア王国の使者をお連れしました」

「うむ、シベハス隊長、ご苦労、ここからはガルドワン隊が引き継ぐ」

 どうやら場内は別の隊が案内するようだ。彼らの装備は一見みすぼらしい皮鎧だが、よく見ると良い素材を使っているのがわかる。試しに隊長に『鑑定』を使って見ると、、


名前:クワッドホーンブルの皮鎧

説明:ランクA クワッドホーンブルの皮で作られた鎧、突撃時 攻撃力上昇 防御力上昇


 なんと! ランクAの魔獣の素材で作られているではないか。しかも能力上昇が付与されておる! 王都の高ランク冒険者がオーダーメイドで作らせるような武具だぞ。


 城壁の門をくぐり、場内へと通される。なんだ最初のこの広場は? 四方が高い塀で囲まれ、その上に幾人もの兵士が立っている。

 …ここは、、侵入した敵を閉じ込め上から射殺すところか、、

 背筋が寒くなる思いだが、平静を装う。


 もう一つ大きな門をくぐると、、正面に真っ白な馬鹿でかい建物が現れた!

 これも継ぎ目のない石でできている。質感も重厚で硬質な物だ。触ってみたい気持ちにかられるが、そのような真似をする訳にはいかない。


 巨大な白い建物の中に入ると、中は薄暗く少しひんやりしていた。


「御使者殿、暗いので足元にお気をつけください」

 む、階段か。20段程の階段を上るとまた大きな扉が現れた。兵士達が両側から扉を開くと、、

 くっ、眩しい!

 暗がりに慣れた目を、真っ白な光が襲う。


 目を開くと、、窓がないのになんだこの明るさは?

 こ、これは! 壁が光っている? いや幾何学模様のように壁に貼り付けられた輝石か?!

 それも何百、いや何千個あるのだ?!

 この広い部屋に窓は一切ないのだが、まるで真昼のような明るさ!

 国が買えるぞ!


「御使者殿、こちらでお待ち下され」

 一段高い所にある椅子の手前で待つよう兵士から告げられる。やがて獣人の老人が現れ、

「タロウ陛下がお見えになられます」

 ボロを纏ってはいるが、その厳かで堂々とした言葉に思わず膝をつき、こうべを垂れた。


 今まで他国の王との謁見でこのように跪く事はあったが、今回はエオリア王国の領土内に勝手に作られた城なのだ。認めるわけにはいかないという他の重臣達の意見もあり、跪くつもりなど無かったが、オーリ8世陛下からは「最上級の礼を尽くせ! 他国の王以上にな」と厳命されている。

 ここは跪いておくのが良いだろう。


「面をあげなされ、使者殿」

 先ほどの厳かな声に顔を上げると、、


 獣人、エルフ、ドワーフの老人達が立っている後ろで玉座に座った少年から声をかけられる。


「遠くからご苦労様、楽にしていいよ」

 玉座からにっこりと笑う少年、


 こ、これが城よりも大きなドラゴンを一撃で倒しエオリア王国を救ったと言われるタロウ殿か!

 エオリア国内では勇者達が協力して倒したとされており、勇者ではないタロウ殿の功績は秘匿されているが、私を含め一部の重臣達は本当のことを聞かされている。


 それよりも、、確かにタロウ殿の容姿には触れてはならぬとオーリ8世陛下とアリシア様に言われてはいたが、、


 なぜはだし?!

 なぜ腰ミノ?!

 なぜ裸?!


お読みいただき、ありがとうございます。

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よろしければこちらもどぞ  すっぴん召喚のヤマナさん
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