43 青龍剣****
「む! その、なんだ、面をあげよ!」
「「は、はいっ!」」
直立不動になる俺と雫、
「……」
「……」
無言で睨んでくる青龍様、冷や汗をかく俺、、何か不手際でもあったかな?
「ふぉっ、ふぉ、若き神職よ、そういえばそなたの名を聞いておらんかったのう」
「!! 申し訳ありません、田中太郎と申します」
そう言って深く腰を折る、
「太郎!」
「は、はい!」
また青龍様に怒鳴られた。
「……」
「……」
また見つめ合う二人、、
「太郎さん、これを」
そう言って後ろから木のコップを渡してくる雫、青龍様の目がコップに釘付けになっている。
テーブルの上にコップを置き、樽を抱えて、こぼさない様そーっとワインを注ぐ。背中越しに青龍様が見ているのを感じる、、
そしてコップを青龍様の近くに置き、
「どうぞお召し上がり下さい」
「うむ!」
衣の中から、青く光る鱗に覆われた腕を出し、長い爪が生えた五本の指でコップを掴む青龍様。そして口元に持っていき、、一息にグイッと煽られた。
「う、、」
「?」
「うまい!!!」
ビガビカビッシャアアアアァァン!!
ゴンゴロゴロロロロロ!!
ひえぇぇぇ、、
オーバーアクションにもほどがあるだろ!!
天変地異かって感じの雷が鳴っているぞ!
「ふぉっふぉ、どうじゃ? 数百年ぶりの酒は?」
「千二百年ぶりだ! 玄爺、この場に連れて来てくれたこと、感謝するぞ! 太郎! もう一杯だ!」
「は、はい! どうぞ!」
「うむ!」
良かった、怒ってたんじゃなくって、飲みたかっただけなのね青龍様。二杯目をグイイッと飲み干され、空のコップを差し出される。
「どうぞ!」
「うむ!」
グイイッ!
「どうぞ!」
「うむ!」
グイイッ!
あっという間に空になる樽、、玄武様が3杯ほどちびちび飲まれている間に、青龍様が1樽空けてしまわれた、、
「青龍、おぬし、飲みすぎじゃ。もうちっとゆっくり飲まんか」
「む、許せ玄爺、なにしろ久方ぶりの酒であったからな」
「儂も八百年振りであったというのに、、」
「ここは、、建築中の社か?」
青龍様があたりを見回しながら玄武様に尋ねられた。
「うむ、そうじゃ。太郎よ、この社の名はなんとつけるつもりじゃ?」
「は、はい、『四神神社』と名付ける予定ですが、、よろしいでしょうか?」
「なんと! 我らの神社か!!」
ビッシャアアアアァァン!
ゴロゴロロロ、、
「そして、太郎! 貴様は我らの神主か!」
「は、はい! 誠心誠意務めさせて頂きます!」
ドンガラガッシャアアアアァァン!!
ゴンゴロゴロゴロロロロロ、、
思わず神主と答えてしまったが、良かったんだろうか?
「まだまだ見習いじゃがのう、立派な神主になるべく修行中の身じゃよ。じゃが少しずつではあるが我らへの信仰も集まって来ておる」
玄武様にも神主(見習い)認定されてしまった。
「時に青龍よ、太郎が竜で困っておるとのことじゃ」
「竜? 我が眷属が暴れておるのか?」
「は、はい、実は、、、」
◇◆◇◆◇
「ふん、砂漠竜か、大方近くで其奴を刺激する様なことを誰かがやったのだろう。大規模な戦闘とか、強大な魔力を使用した術式とか」
「「あ!!」」
「なんじゃお主ら二人揃って? 何か心当たりでもあるのか?」
「実は近くにエオリアというアホな国がありまして、、、そこでバカ王女が勇者召喚とかのたまって、こことは違う世界の日本という国から28人を召喚しまして、、」
「それだな、、砂漠竜は常に乾いておる。大量の人間を召喚するような大きな魔力の動きを感じれば、ご馳走があると思って動いたのであろう、その28人と王女を殺すか喰らい尽くすまで止まらんぞ」
「あのー、、」
「なんだ?」
「私とこちらの雫は、その28人の中の2人でして、、」
「なんじゃ、お主らそうであったのか」
「なるほど、そちらの娘は召喚された勇者か」
「は、はい、私たち二人共、日本という国から来ました」
「む、ならば、なぜ我らを知っておる?」
「私たちのいた国でも、四神信仰は御座いましたので。方角を守護する神として、北の玄武、東の青龍、南の朱雀、西の白虎、と呼ばれておりました」
「ほう、ほう、そなたの世界とこの世界の四神は同じか。よいぞ、よいぞ」
「それで、砂漠竜だったな」
「は、はい」
「その武具を出せ」
そう言って俺の背中にあるスコップを指差す青龍様
「これですか? これは武具というより道具でして、、」
「武具も道具だ。それに砂でできた竜を倒すのに適した武具だと一目でわかるではないか」
あ、砂に剣スコ、、確かに
剣スコを差し出すと、青龍様は右手の甲から青く光る鱗を一枚、ピッと剥がし、スコップのショベルの中央に貼り付けられた。
カッ!!
その場で空中に浮かび上がり、ショベルを上にして垂直に立ち、いきなり青白く光りだすスコップ!!
ギュオン、ギュオン、とか言いながら青い光の渦を放っている!
あー、なんかこういうのあったなー。アニメあんまり見なかったオラでもわかるぞ、スーパーなんとかっていう奴、、
やる気満々じゃねーか、こいつ
タロウ タナカ
レベル111
職業:ガテン系
HP:35779/35779
MP:10350/10350
攻撃:SS
防御:SS
魔力:S
素早さ:SSS
ユニーク武器:青龍剣スコップ(熟練度SS)
スキル:鑑定A 弓術G 土魔法S 木魔法B
ネコS
安全第一S(安全帽 安全帯 安全靴)
ハツリA
救命A
加護:玄武、青龍
おおうふ、自分鑑定して見たらいつのまにかピンゾロのキリ番に、そりゃ王様守る時に魔獣を随分殲滅したからなぁ。ステータスもついにSだけになってるし。というか『青龍剣スコップ』って、、
「ふぉっふぉっ、じゃあワシは我が巫女へ加護を」
「えっ?」
そう言って玄武様が小さな亀の甲羅のついたペンダントを雫に渡される。受け取ったペンダントを手に、戸惑いながら俺と玄武様の顔を交互に見る雫、
「付けてやるがよいぞ」
「は、はい!」
ペンダントを雫から受け取り、小さな金具を外して雫の後ろに回り、手を回してペンダントをつける。白く細いうなじにちょっとドキドキした。
「うむ、では我が巫女よ、ペンダントを握りながら、着慣れた服を思い浮かべると良い」
「はい、わかりました、玄武様」
ペンダントを握りながら目を閉じる雫、数秒後、、
カッ!!
雫から眩い金色の光が発せられた!
目がぁー! 目ぇーがぁー!
くっ、雫を注意深く見守っていたせいで数秒間視力を失ってしまった。
再び目を開けるとそこには、、
漆黒のエプロンに黒いスカート、黒いブラウス、黒いフリフリのついたカチューシャを着た雫が、、よく見るとフチや所々に金色の刺繍が入っていて、カチューシャやスカートが揺れるたびに光の粉が溢れている。
こ、これって、、
「え? 雫、それって、、」
「ご、ごめんなさい! メイド服しか思い浮かばなかったの!」
「いや、いい、、」
「え? そ、そう?」
「ふぉっふぉ、めんこいのう、ワシの加護がついた服じゃ。そこいらの鎧なぞ比べ物にならん防御力を持っとる」
「あ、ありがとうございます! 玄武様!」
「では我らはそろそろ帰る! 太郎、次をたのしみにしておるぞ!」
「あ、あの、青龍様、」
「なんだ?」
「その、、青龍様の眷属である竜を倒してしまっても良いので?」
「かまわん! 貴様はどこかで見知らぬ人間が魔獣と戦って破れても気にするのか?」
「い、いえ」
「それに我らの神主と巫女の方が重要だ! だが、そうだな、砂漠竜を倒した後、『竜玉』が残っていれば砕かないでやってくれ。俺の元に持ってくれば再び生を授けよう」
「はい、承知しました!」
「ではまたな! 太郎!」
「ふぉっふぉ、またのう、二人共」
「「ははぁ!」」
神域の中の神気が薄まり、俺と雫が顔を上げると、玄武様と青龍様はもう居なくなっていた。
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