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38 捜索

※作中に生き埋めに関する描写があります。ご注意下さい。



 日が沈み、深い藍色になった空の中を花蓮を抱えて飛び続ける。


「ううー、絶対ゆみちんに言いつけてやるー、セクハラタロー」

「変な二つ名つけんなよ、お前が暴れるからだろ?」

「美少女誘拐罪ときょーせーわいせつ罪で訴えてやる!」

「最初に一文字、余計な漢字が付いてないか? 幼女誘拐ならわかるけど」

「ぴーーっ! 『アサシネィション』覚えたら真っ先に実験台にしてやるぅ!」

「はっはっは、いつでもかかって来なさい」


 軽口を叩きながら下半身パンイチの花蓮を抱えて飛び続ける。


「セクハラタローは何で飛べるの?」

「ん? 尻たい?」

「知りたい! って漢字が違う! セクハラタロー!!」

「はっはっは、花蓮さん、忍者なら水の上走れる?」

「歩くだけなら『水蜘蛛の術』覚えたよ」

「それと一緒だよ」

「はぁ?」

「俺は空中を蹴ることが出来る、その証拠に、じっとして飛んでるんじゃなくって、走るように足動かしてるだろ?」

「うーん、わかったようなわかんないような、、」

「そろそろじゃないかな? うわ、すげーな、これみんなお前らで倒したのか?」

 眼下には魔獣の大群の成れの果てがあった。


「うん、ぐちゃぐちゃなのはほとんど幹宏だね、咲夜も照夫もスマートな殺し方だから」

「そうか、、ん? あそこに誰かいる?」

「あ! 浩二だ! おーい! おーい!」



「か、かかか、花蓮さん! 何て格好を!」

 着地後、下半身パンイチで駆け寄る花蓮を前に両手で顔を覆う浩二

「やるな、さすがクノイチ、、『お色気の術』か、、」

「ぴーーっ!! 殺す! タローをアサシネィショるぅ!」

 涙目になって両手でポカポカ叩いて来る花蓮。


「まあ、目の毒だからこれでも付けてろ」

 左腰のショベルから、予備の腰ミノを出す、

「ムギュギュ、、、仕方ないわ、、ちょうだい!」

 腰ミノを装着する花蓮、

 よし、腰ミノ仲間ゲット!


「ところで浩二、照夫はまだ見つかってないのか?」

「あ! 田中君! 無事だったの?!」

「お前、、今気づいたのかよ、、で照夫はどこだ?」

「わからないんだ、、ドラゴンの一撃食らって行方不明なんだ。僕はそこの幹宏君の治療してたから、、」

 ん? 地面の上に幹宏が寝てやがる、どれ


ミキヒロ サワダ

レベル35

職業:狂戦の勇者

HP:1026/1026

MP:25/25

状態異常:睡眠


 ピキっ、

 なんか俺の額に血管が浮いたような気がする。


「起きろ」

 スパパパパパーーン!


 幹宏の胸ぐらを掴み、往復ビンタをかます。


「うーん、、あと、、50分」


 ピキピキっ、

 幹宏の胸ぐら掴んで引きずり上げて、、ボデーブロー!!


「うごっ! ごふっ!」

「目ぇ覚めたか? バカ幹宏?」

「て、てめえ! 太郎か?! ぶっ殺すぞ!!」

「ほお、、お前状況わかってんのか? 照夫が死んだぞ」

「!! なんでだ! なんであいつが死んだ? ふざけんな!」

 俺に掴みかかってくる幹宏


「お前をかばって死んだんだよ!」

 バグン!

 死なない程度に手加減して幹宏の顔面をぶん殴る、これぐらいやらんとこのバカ目が覚めんだろ、


「ゴホッ、ガッ、、そ、そんな、、」

「おい、浩二、簡単に説明してやれ」





「うわぁぁぁああ! 照夫、ずまねえ、、ずまねえ、、、」

 浩二から経緯を聞いた幹宏はうずくまって号泣していた。


「ぐぞ、、ごうなったら、、」

 武器である鉄塊を担いで走ろうとする幹宏


「おい、どこへ行く気だ?」

「デザートドラゴンのとこに決まってんだろ! 一矢報いてやる!」

「アホ!」

 バゴン!

「ぐわっ!」

 俺に殴られ、ゴロゴロ転がる幹宏


「迷惑なんだよ! 実力もねぇくせに味方無視して突っ込むんじゃねえ! お前を助けようとして次は誰が死ぬんだ? 次は誰を殺したいんだ? 浩二か? 花蓮か? 咲夜か? それともパーティ全員か? ああ?!」

「う、う、うわぁぁぁあああーーん!」

 うずくまり再び号泣する幹宏


「おい、気が済むまで泣いたら追いかけてこい。俺たちは照夫を探しに行く、行くぞ、花蓮、浩二」

「う、うん」「わかったよ、、」


「ま"っでぐれよぉー」

「待たん! 置いてかれるのが嫌なら歩け!」




 少し離れたところで、暗闇の中をふらふらと歩く咲夜を見つけた。

「照夫、、、どこ?

 照、、夫、、」


「咲夜さん、大丈夫か?」

「え? 田中、くん? なの?

 照夫が、、いないの、、

 私に、、

 逃げろって言って、、

 消えたの、、

 どこ? 照、、」


 やばい、、相当精神に来ている、、


「うわぁああ! すまない、咲夜、すまない!」

 咲夜の前に走り込み、土下座する幹宏


「み、きひろ、、

 アンタのせいで、、

 アンタのせいで!!」

 虚ろだった咲夜の顔に表情が現れる。唇を噛み締め、涙が溢れる!


「アンタの勝手な行動で照夫が居なくなったじゃない! アンタの、アンタのせいで!」

 ぽかり、ぽかりと土下座している幹宏を泣きながら叩く咲夜

「うわぁぁああ! すまねぇ、、ずまねえ、、」



「咲夜、どのくらい探した?」

「田中くん、、この辺の砂の上は、、全部、、」

「そうか、、ずっと探してもいなかったんだな」

「ゔん、、」

 顔をくしゃくしゃにして涙を流しながら答える咲夜


「じゃあ、、砂の中か、、」

 足元の砂を見つめる、探す方法、何かないか? 点検用ハンマーでコンクリや機材の確認するように、音か何かで探せれば、、

 やってみるか、、


 スコップを砂に突き刺し、膝をついてハンドルに耳を付けてみる。ガサゴソ音がする。周りの連中が歩く音か、、


「あーごめん、みんなちょっと静かにしててくれるか? あと歩くのもやめて止まっていてほしい」

「うん、わかった、田中君」


 ハンドルに耳を当てる、、砂の中の静寂が伝わってくる、、頼む照夫の場所を教えてくれ!


 コォォォオオオン、、


 一瞬スコップが光ったかと思ったら、赤い光の波紋が広がった! 数秒後、


 タァァァン、、


 帰ってきた! こっちだ!

 移動してもう一回!


 コォォォオオオン、、


 タァァァン、、


 よし、近づいている!

 移動してもう一回!


 コォォォオオオン、、

 タァァァン、、


 ここか?


 コォタァン、、


 ……この下だ、、


「みんな、、来てくれ、、」

「「「「??」」」」


 みんなの前で砂を掘る、、


 最初は大胆に、スコップから伝わる感覚で近いと感じてからは慎重に、、


 深さ2mほど掘ったところで、彼らの目に見覚えのある服が現れる、、


「て、るお、」

「照夫、照夫!」


「まだ近くに寄るんじゃない、穴が崩れるからな、これで照らしててくれ」

 そう言って輝石に魔力を込めて4人に投げ渡す。ペンライトのように手を伸ばして穴の底を照らす4人。


「損傷は、可能な限り、少ない方が、、良いからな、ふう、」

 最後は、手で照夫の顔の砂を落としてやる。特に損傷はない、綺麗な顔をしていた。

頭部も中はともかく、外傷は見受けられない。


「おい、幹宏、俺の反対側に降りてこい、穴が崩れないようそっとだぞ、照夫を抱えるの、手伝え」

「ゔん、、わがっだ、、」

 涙でぐしゃぐしゃの顔になった幹宏が穴の中に降りてくる。


 左右から4本の手で照夫の体を抱え、穴の外へゆっくりと運び出す。


「照夫!」「てるおぉ!」「てるぅ!」

「まだ触るな!」

 駆け寄る咲夜たちを制し、照夫の体をチェックする。よし、、体に大きな欠損は無い、、骨はぐしゃぐしゃ、ねじれた手足をなるべく正しい位置に戻してやる。口は? 少し砂が入っているが奥までは詰まってなさそうだ。


テルオ ニシガミ

レベル36

職業:黒銃の勇者

HP:0/523

MP:0/417

状態異常:死亡


 行けるか?

 いや、やるんだ!

 テルオの体に着いた装備を外し、服のボタンを外す。衝撃のせいか胸が潰れてしまっている。今すぐ助けてやっからな!



 服を脱がせた照夫の脇に座り、両胸に両手を当てる。皮膚の下の折れた肋骨の感触が生々しい。


 一度、深呼吸をしてから、

「スキル、『救命』発動!」


 こいっ!!


 ドクンッ!!


 照夫の胸の真ん中が光り、そこから光の柱が立ち上る! そして俺たちの直上に白い魔方陣が現れた!

 魔方陣から光の粉が俺と照夫の体に降り注ぐ!

 潰れた胸が膨れ、骨格もしっかりしていき照夫の体が治っていく!


 さあ、体は治ったぞ!!


 帰ってこい! 照夫!!

 もうひと押し!


 天空の魔方陣が回転しながら降りてきた! 降りてくるにつれ直径は小さくなり、模様の密度は高くなり、回転速度は上がっていく!!

 バッシャアアアアァァァ、、


 白い魔方陣は叩きつけるように俺たちの元に降ってきて一瞬地面で光った後、吸い込まれるように消えていった。



 そして、、

「ゴホッ、ゴホホッ、、」

 咳をした後、小さく息を吹き返す照夫、、


テルオ ニシガミ

レベル36

職業:黒銃の勇者

HP:523/523

MP:417/417

状態異常:気絶



 俺は照夫の上に覆いかぶさって治療していた状態から横にずれて後ろに倒れ、大の字になった。


「た、田中君?」「タロー?」


「ふう、もう大丈夫だ、照夫に触っても良いぞ、まだ気絶してるから優しくな」

 地面に仰向けになったまま告げてやる。


 わっ、と歓声を上げて照夫に駆け寄る4人

「照夫、照夫〜、よかったぁ、、」

「うぉぉおん、照夫、ごめん、照夫ぉ」


 はあ、今回は精神的にかなり疲れたよ、、、




お読みいただきありがとうございます。



ずっと温めていた内容でしたが、このタイミングで出しても良いか、悩みました。


私は東日本大震災の後にボランティアに入っていた経験があり、石巻での瓦礫撤去の際、ご遺体に面した事があります。その時の自分の無力さ、人の儚さ、を感じたことから、今回のような力があれば、、などとも思ったこともあり太郎にその思いを重ねました。


大分での土砂災害における犠牲者の方々のご冥福を心よりお祈りします。

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よろしければこちらもどぞ  すっぴん召喚のヤマナさん
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