34 強襲
……なぜだ、、どうしてこうなった、、
いま、俺の左半身は拘束され、ビタイチ動かすことができない、、
くっ、、
布が乏しいこの城では、毛皮の方が余っている状態だ。俺のベッドは、モヒカンベアの毛皮が敷かれ、毛布がわりにホーンラビットの毛皮を繋いだものを使っているという豪華仕様だ。
その毛皮と毛皮の間で、春野さんと手を繋いでいただけ、だったはずだ、、
深夜まで緊張して眠れなかったのだが、結局睡魔には勝てず、爆睡した。
そして今、、
手を繋いでいただけのはずの俺の左手は、春野さんの両腕と胸にロックされている、、そして左足は、春野さんの細くて柔らかい両足にロックされている、、
あらがうことなど出来ようもなく、固まったモルタルのようにカチンコチンコ状態になる俺の体、、寝巻き用腰ミノ(ショートタイプ)が、もう隠しきれないと悲鳴を上げている、ように聞こえた。
「うう、、ん」
春野さんが身じろぎしながらスリスリしてくる、、胸も、、太ももも、、なんて柔らかいんだ、、
そして左肩にかかる春野さんの吐息、
なんて幸せな左半身!
ロンリーな右半身がジェラシーで左半身を殺してしまいそうだ、、
なんてアホな事を考えていたら、、
ズカァァアアアアアアン!!
城内に凄まじい衝撃音が響いた!
何いっ!! 北門が攻撃された!!
しかもダメージを受けたようだ! くそっ! 玄武様の加護も突破されたのか?!
流石に跳ね起きてベッドの横に置いてあったスコップを掴む!
「あ、、」
「ゴメン、春野さん、敵襲だ! 行ってくる!」
「……もう、、
あ、ここ、あったかい、、」
春野雫は少し拗ねたあと、太郎が寝ていたところの温もりを探しながら寝床の中を移動し、二度寝するのだった。
「くそっ、一体誰が、、」
悪態をついて北門へと空中を駆ける!
城壁の上にたどり着いた時、、1人の細身の戦士が2mぐらいの長さの棍棒を構え、いままさに北門をぶっ叩こうとしていた。
「まてコラテメー!!」
「あ、タロちゃん! ヤッホー!」
ガクっ、、あっ、、
「ちょっと、ちょっと、タロちゃん大丈夫? あの高さから飛び降りるなんて無茶だよ」
「…………」
30mの城壁の上から一気に敵の元へ駆け寄ろうとしたら、柳田の気の抜けた挨拶に『安全帯』を久しぶりに踏み外し、まっすぐ墜落した、、
「くそ、いてて、、」
「え? もう立てんの?」
「ああ、気分的なショックだけでダメージはほぼないからな」
「うわー、普通死ぬよ?」
「まあ、、スキルのおかげかな?」
カイン!
あ、こいつ鑑定しやがった!
「うっわ、鑑定できなかった! あたしクラスメートの中でも一番レベル高いのに! とこんでなんで腰ミノ一丁なの? リンボーダンスでもするの?」
「あのなあ、、まあいいや、王城を追放された後、アリシアんとこの茶髪の女騎士に襲われて、身ぐるみ剥がされパンイチで王都を出たんだよ」
「うわー、なにそれ、で強くなって復讐するの?」
「別にどうでもいーよ、あんな奴ら、で、何しに来たんだ?」
「んー、どうしよっかなー、そうだ! タロちゃんあたしと戦おう!」
「なんだそれ?」
「いや、タロちゃんの強さわかんないとやる事決まんないし」
「はあ?」
「いっくよー! えい!!」
げ、棍棒で殴って来やがった!
ガキッ!
棍棒のヘッドを片手で掴みとる
「おい、いい加減にしろよ」
「くっ、そっちは片手で、こっちは両手なのに、、動かな、これわ、、あたしよりも力が上って、、」
「当たり前だろ? こちとらガテンで鍛えてんだ。比べちゃいかんだろ?」
「いや、、そんなレベルじゃ、、ないんだなっと」
掴まれた棍棒を無理矢理引っこ抜く柳田、
「あのねぇ、今エオリアで一番レベルが高くて、腕力あるのが私なの、雫が欲しいならあたしより強くなきゃダメなの」
……やべぇ、、こいつ何言ってっかわかんねー
「とりあえず、俺、お前と戦う気ないから、クラスメートの女の子を殴れるような奴に見えるか? 俺が?」
「うーん、無理だねえ、まあ、いいや、雫に会うからこの門開けてよ」
「北門はダミーでただの壁なんだよ、南門なら開くよ」
「ありがと! スキル『ウイングブーツ』!」
あ、棍棒に3対6枚の羽が現れ、そのうち2対がブーツに張り付き、ホバークラフトのように浮いて地面を滑るように走り出す!
「おっ先ー!」
にゃろぅ! こっちも空中を走る! ちっ、向こうの方が早いか? させねえよ! 3歩で居城の直上まで駆け上がった後、逆さになって天井を蹴るように急降下していく!
ズドオォオオン!
「びっくりしたー、なんで先に着いてんの?」
「ふ、ふん、まあこれぐらいならね」
やばかった、、
「あのさ、うちの連中、人間を怖がるやつが多いんだ。奴隷狩りとかで酷い目にあったやつが多くってさ、頼むから1人で動かないでくれるかな?」
「そうなんだ、わかったよ」
「おう、タロウ、そっちのは?」
「おはよう、ガルドワン、門番お疲れ、こちらは俺や春野さんの仲間で柳田さんだ、春野さんに会いに、、」
「キャー、かわい〜!! ねえねえ、タロちゃん、あのハスキーの子、触っていい?」
おいおい、、シベハスってうちの中で一番ゴツい方だぞ、、
「お前、犬派だったっけ?」
「犬でも猫でもモフモフと肉球が大好物!」
そう言って目をキラキラとさせながら、『ぐふふ』な口になる柳田、おい、ヨダレ垂れそうだぞ、、
……やばい、俺は今、羊の群れの中に狼を放り込もうとしているのかもしれない、、
「あーシベハス」
「はっ、陛下!」
「ちょっとこっち来てしゃがんで」
「はっ!」
「柳田、これでいいか?」
「よしよし〜いい子ですね〜ん〜モフモフ〜」
ゴツいシベハスの頭や耳を撫で回す柳田、目を白黒させるシベハス、周りの連中はそれを見てドン引きしてる、、、
「気が済んだろ? それぐらいにして行くぞ、ほら」
「ああーモフモフがぁー」
「陛下、おはようございます、」「殿、おはようございます、」「タロウ様、おはようございます」
城内に入ると、長老三人衆が挨拶して来た。
「シュナウザー!!」
「やめなさい」
すかさず柳田の首根っこを掴んで、突撃をやめさせる。長にタックルされて怪我でもされたら、たまらん。
「ほら、雫が待ってるぞ、」
首根っこを掴みながらズルズル引きずり、居城に連れて行く
「ひえー、でっか、広っ! で照明はまさか、、輝石?! こんなにたくさん!」
「ああ、貴重品なんだっけ? 一個やろうか?」
「マジで?!」
「帰るときにな、」
「タロにーさん、おはよー」
「お、ターニャおはよう。シウバと交代か?」
見張りの交代をするために、展望台へ行くターニャとすれ違った
「ううん、猫の子達と交代なのー」
「そうか、、みんなありがとうな、ハッ」
「マメシバーー!」
「ひゃああ!」
「やめなさい、幼女誘拐犯!」
ゴスっ! ヨダレを撒き散らしながらターニャを抱き上げて頬ずりする柳田の後頭部にチョップを入れ、数秒間意識を刈り取る。
「じゃあ、見張りよろしくな、ターニャ」
「はい、タロにーさん!」
タシッと敬礼をするターニャ、うん俺的にはこの仕草が一番可愛いと思ったりする
そしてやっと俺の部屋へ、
「ただいま」
「じーー」
なんかベッドの上の毛皮と毛皮の隙間から視線を感じる、、ていうか口で『じーー』とか言ってるし
「あれ? 雫どこ?」
柳田が俺の後ろから部屋に入って来た。
「!!」
ガバっと毛皮を被って隠れる春野さん、、
俺の顔を見てくる柳田、視線を逸らしてベッドをちょいちょいと指差す俺、、
「ほお、、男の部屋にお泊まりですか? この子は」
「…………」
「で、どこまで行ったのよ、お嬢さん? ……ヤったの?」
ベッドに腰掛けながら問いかける柳田、
「由美ちゃん! もー!」
あ、いつもの軽い猫パンチ、、
ドゴン!
体をくの字に曲げて吹っ飛んで行く柳田、そして壁を突き破って廊下へ
はい?
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