湖→草原/案内人確保 ★選択肢のオート化への警告★
くすんだ茶髪の少女は比較的友好的に話しかけてきた。てっきり「助けたんだから、金出して」とでも言われるかと思った。
「はい、おかげさまで……」
「そっか。山の中で倒れている人が居たからびっくりして。何があったの?」
「頂上にある小屋から出たら虎の魔物に襲われて」
「……この山の上には結界があったはずだし、今まで山で魔物は目撃すらされてないけど」
などなど、相当怪しまれたが回復薬の精霊がした反応を思い出し、転生者であることを伝えたら少し納得してくれた。『転生特典』とやらを訊かれたときに錬金術と答えたら、残念な子を見る目を向けられたのは不満だったが。
「大体の事情は分かった。きっと魔物が追ってこなかった理由は召喚された使い魔だったから。逃げ延びた理由は体から力を抜いた結果山を転がり落ちたから。そして結界の中にいた理由は転生位置に選ばれたから」
褐色の肌の少女はどうやら情報を整理しているようだ。自分も確認すべき事はあるだろうか?
「……あ、回復薬」
自らに迫る危機が去ったおかげで忘れていたが山から転がり落ちたならポーションは割れているはず。
急いでテントに戻りバックを確認する。
幸い、バックの中にはビンの破片が散らばってもなく、回復薬がバックを濡らしてもいない。
つまり一切回復薬に被害はない、ということだ。
「よ、良かった~」
「いきなりどうしたの?」
茶髪で褐色の肌をした女の子が、いきなりテントに駆けだした私に純粋な疑問を投げかけてきた。
「ちょっと回復薬がこぼれていないかを確認してました」
「なるほど、自分が作った物は愛しいとか?」
「う~ん、あれを作り出す、って言っていいのかは悩みどころですけどそうですね」
そんな私の言葉に何か思うところがあったのか、少女は何かを考えだした。
「…………」
「………………」
そんな数瞬の沈黙の後、彼女は口を開いた。
「ねぇ、君さえ良ければうちの村に来ないかな?」
渡りに船、一番嬉しい提案だ。だけれども信用していいものか。
私はこの提案に──
★
《Attention!》
次の選択は物語を分岐させる重大な選択肢です。それでも「選択肢の選択のオート化」を続行しますか?
>はい
いいえ
それでは「選択肢の選択のオート化」を続行します。物語の分岐に関わる選択肢の度にこの警告は表示されます。警告を表示させないためには設定から「重要な選択肢の提示」をOFFにしてください。
★
私はこの提案に──
timelimit 30
裏はないと予想する。
裏があると予想する。
>何かあっても利用する。
そう、人の好意に何か理由があることは当然、ならこの提案には「何か」があって当然だ。でも、その「何か」が必ずしも悪意に満ちあふれているわけでもない。それに利用することもできる。
今回は裏に何かあっても受けるべきだ。周辺の地理を知らない私では村一つ満足にたどり着くこともできないだろうし、私には一切の戦闘能力がない。なら危険を承知でこの提案には乗るしかないだろう。
「──分かりました。ありがとうございます」
「……分かりましたってなんで命令された時の口調?」
「え、いやこれは、えっと、気にしなくていいですよ! あは、あはは……」
「……なんか、ごめん」
「いえ、私が悪いんですから、謝らなくても、むしろ私がすみませんでした」
ちょっとだけ気まずくなりながら、私は少女の案内されるままに村へ向かった。
回復薬の精霊の情報を思い出し訊いてみたら、護り手が居ない村は案外近くにもあるらしい。