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非常階段の冷気
ああ、行ってしまった。
杉崎さんも、あの女の子も。
薄暗い非常階段を上りながら不安に駆られるのは、ヒールの音が響き、孤独が誇張されるからだろうか。
あの子、気分が悪かったんじゃないだろうか。
大丈夫かしら?どこかで倒れて、救急車で運ばれたりしないだろうか?
だからといって、今さら引き返しても見つけられないかもしれない。
杉崎さんの知り合いなんだろうか?
私が邪魔で話ができなかったんだろか?
いろんな想像が頭の中を駆け巡り、眩暈がしてきた。
非常階段は長くって、空気が冷たくって、さっきの屋外の強い陽光がまるで嘘のよう。




