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ビールを注ぐ
カウンターの向こう側、おねぇさんは流し台でキレイに手を洗った。
何度も何度もていねいに手を洗ってた。
こちらを振り返ると、新しいビールの中瓶を取り出して、年季の入った栓抜きで栓を抜いてくれた。
グラスを2つ、あたしの前とねぇさんの前とに置いた。
あたしのグラスにビールを注いでくれた。プロの絶妙な入れ方で、薄い泡が美しく表面にはじけていた。その姿を見てねぇさんは満足げに右側だけ口角を上げていた。
おねぇさんは自分のグラスにもビールを注ごうとしたので、慌ててビール瓶を奪った。
そして、あたしがおねぇさんのビールを注いでやった。
おねぇさんは最初ビックリした様子だったが、くすくすと笑いながらあたしが下手くそにビールを注ぐ様子を眺めていた。




