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お月様は見ている  作者: 坂本瞳子
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寝涙

青いハイヒールの女は大人しくおんぶされてた。

杉崎さんの神経質さが伺えるほどにキレイな黒のジャケットにファンデーションの粉が粉雪のように移っていた。


「捨ててくぞ。」


杉崎さんはおんぶした女の右足をカウンターにかけて、青いハイヒールを脱がせた。

酔い潰れたふりしてる女の目から涙がどっと溢れた。

左足からもハイヒールを脱がせて、カウンターに置いた。

そして、黙ったままお店を出て行った。

杉崎さんの背中で、女はずっとずっと涙を流し続けた。

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