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扉の向こう
「ははははは、ひくぅーっ。」
青いハイヒールの女が突如として顔を上げて高笑いをした。
かと思ったら、またうっぷして、沈黙が訪れた。
あたしとカウンター向こうのおねぇさんは、その様子を見ながら、声を立てずに肩を震わせて笑った。
声を立てたら、またこの女がむっくと起き上がるんじゃないかって、さっきの様子を思い出して笑わずにはいられなかった。
そして引き戸が開いた。
「トオルちゃん!」
カウンター向こうのおねぇさんの声は高くてかわいかった。
振り向いた先には、杉崎さんが憮然として立っていた。




