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スマートな
「杉崎さん」はこちらへと歩を進めた。
私は凝固し、その場に立ち尽くし、身動きも瞬きもせずに、懸賞葉書を握りしめたままでいた。
杉崎さんが近寄ってくる。
杉崎さんの背後、高いところで照っている太陽のせいで、顔が真黒。
一歩、二歩、三歩、杉崎さんが近寄ってくる。
「なに?」
な、何って言われても。
たじろぐ私。
「スマホを…!」
私と杉崎さんはほぼ同時に青いハイヒールの女の方へ素早く振り向いた。
「ありがとう。」
低くも高くもない、少し早い口調で杉崎さんは言い終わらない内に、女からスマホを奪うように受け取った。
女は私の方を見た。
私は女の視線に気づき、やり場なく視線を地面に落とした。




