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六つの瞳
「おかわり。」
えっ?
声にならなかったあたしの驚き。カウンター向こうのおねぇさんも少なからず驚いた様子。
あたしがくっだらないことあーでもないこーでもないと考えている間に、青いハイヒールの女はシンガポール・スリング飲み干しちまった。
あたしとカウンター向こうのおねぇさんはほぼ同時にこの女の人の顔を見ちまった。三人で目があっちゃった感じ。
カウンター向こうのおねぇさんはそそくさとお代わりを作り始めた。何事もなかったかのように。
あたしはジン・トニックをごくり、そしてまた間を置いてからごくりと喉を通して胃へ送り込んだ。
青いハイヒールの女はばつが悪そうに、手持無沙汰で、ただ下を向いていた。




