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だって
夜の9時過ぎ、閉店したデパートを後に、紙袋を掲げて地下鉄の改札口を目がけて一目散に泣きながら走る私に振り向かない人は少なかった。
切れそうな息よりも、流れ続ける涙の方が気になった。
改札口が見えると立ち止まった。
定期がすぐに見つからなかった。こんなときに限って、鞄の内ポケットになくって、底にもなくって、外側のポケットにもなくって…。
「綾香。」
こんなときに限ってあの人の声が聞こえる。
けれど、振り返れないじゃない、だって、泣いてるんだもん。
夜の9時過ぎ、閉店したデパートを後に、紙袋を掲げて地下鉄の改札口を目がけて一目散に泣きながら走る私に振り向かない人は少なかった。
切れそうな息よりも、流れ続ける涙の方が気になった。
改札口が見えると立ち止まった。
定期がすぐに見つからなかった。こんなときに限って、鞄の内ポケットになくって、底にもなくって、外側のポケットにもなくって…。
「綾香。」
こんなときに限ってあの人の声が聞こえる。
けれど、振り返れないじゃない、だって、泣いてるんだもん。