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翌朝のこと
くしゃみが出そうだ。
小半時もベランダに立ち尽くしていただろうか。
流れゆく灰色の雲を見ていた、垣間見える月を待機していた、否、そうではなくて人影を求めていた。
夜中の12時半を過ぎても真正面のビルの8階フロアは電気が点けられたままだったから。
1時はきっと過ぎていた。
春先の深夜の冷たい風には、もはや耐えられなかった。
お蔭で今朝は睡眠不足の上に、軽く鼻水が詰まっていて、くしゃみが出そうな感覚が朝から続いている。
目が覚めてカーテンを開けるとき、一瞬ためらってから、真向いのビルの8階に視線を投げた。
案の定、電気は点いていない。
否、陽の光が燦々として見えないだけか。
ため息も出ない。
安心しているのだろうか、なんなのか、自分の気持ちがよく分からない。




