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僕は将来、魔王になる男だ!!  作者: 風妻 時龍
1章.学校篇
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8.闘技大会 前夜祭

闘技大会だけ、1日1話掲載します(全5話)

その後、土曜日掲載に変更しようと思います

 闘技大会の楽しみは、闘技大会そのものだけではなかった。

 お祭りなのだ。

 生徒は、出店を出すことが出来る。

 ミリアが、そのスペースを1つ、抽選で勝ち取ってきた。


「皆で、出店出しましょう!」


 だが、ミリアにはアイディアが無かった。

 どこかの店に協力してもらおう――

 その意見が通りそうになった時に、僕が言った。


「ジャンクフードと飲み物でいいなら、僕が何とかしよう」


 翌日、僕は大量の芋と香りの良い果実を調達した。

 準備を整えることだけに集中して作業すること、数日。


「試作品だ」


 出店を出す日の朝、全員に、ポテトチップスと炭酸ジュースを振舞った。夜には前夜祭だから、それまでに準備を整えたい。


「美味ぇ!!」


 大げさに驚くローク。彼ほどではないが、ミリア以外は、かなり驚いたようだ。


「……大量の塩と甘味料を使ってるよね?

 どうやって仕入れたの?」

「塩は海だ。加工方法は言えない。

 甘味料は、樹木の樹液を煮詰めた。

 在庫については、心配するな」

「芋は、どうやって調理してるの?」

「本来は、油で揚げる。

 だが、専用の調理具を作った。操作もほぼ全自動で簡単だ、心配要らん」


 調理の担当はロークとスティンク。ミリアとセリンヌとカルフィナで接客をしてもらう。僕は、緊急時などの対応に待機。客引きは、しない方針でいる。

 午後になったら営業を始めてもいいから、急ぎでマジックアイテムを設置し、操作方法を説明する。ほぼ全自動で行うことも可能なので、ロークとスティンクは、来客の度合いに応じて、作成のペースを調節するだけだ。既に全員、女性陣が準備した制服に着替えている。僕が、全員色違いになるようにと彼女らに依頼し、用意させておいたものだ。男女兼用のため、スカートではなくズボンだが、サイズも、ちょっとした体格の違いなら対応できるものになっている。幸い、まだ大した体格の差は生じる年齢になっていない。


「間もなく開店時刻だ、ここは戦場になる。全員、気合を入れて売るように!」

「「はいっ!!」」

「ちょっと待って!」


 商人カルフィナが口を挟む。


「これで、ポテトチップス・ジュース共にパープルマナ1つは、安すぎるわ。値段設定を変えましょう」

「……いや。このままで行こう。

 明日になって、同じセリフが言えたら考える」

「……?

 はい……」


 僕だって気付いている。

 塩も甘味料も供給不足のこの世界で、しかもお祭りの中、この値段設定は安すぎる。

 だが、利益を上げることを主目的にしていない僕には、これがベストな価格設定だと信じている。

 開店時刻が近付くと共に、行列が出来始める。

 セリンヌやミリア目当ての客だ。

 セリンヌは、剣の腕のおかげで、学校内での人気が高く、見た目も十分可愛い。ミリアは、幼いながらも女性としての魅力を見せ始めている。カルフィナとて、まだ10歳にもなっていないような幼い女の子には見えないぐらいの魅力と、にじみ出る女らしさを備えている。

 三人の看板娘が、客引きの必要性を無視させた。


 時刻は丁度、真昼になり。

 花火が上がった。


「ポテト&コーク、開店致します~♪」

「「いらっしゃいませ~!!」」


 開店直後からのラッシュ。

 極限まで自動化し、端末操作は自動販売機よりも簡単という調理器が、フル稼働を始めた。


「美味い!!」

「このジュース、甘いぞ!!しかもシュワシュワしてる!こっちのポテトはしょっぱい!!」


 約半数が、再び行列に並ぶ。

 そして、噂を聞きつけた者たちが、次々と行列を伸ばす。

 更には、複数注文が増えだした。


「ポテト5にジュース2!」

「ポテト20にジュース5だ!!」


 金勘定など、する余裕は無い。

 開店から1時間、ミリアをスティンクと交代させた。

 その30分後には、ミリアとカルフィナを、さらに30分後には、カルフィナをセリンヌと交代させた。

 地獄のローテーション。


「こ、これにて、ポテト&コーク、本日の営業は終了させていただきます……」

「「あ、ありがとうございましたー……」」


 夜の10時頃。

 閉店の挨拶をした女性陣は、全員、倒れた。


「で?価格はどうする?」


 夜中。

 全員が夕食と風呂を済ませて落ち着いた後、作戦会議と称して、僕が意見を求めた。夕食は、格別豪華なものを、僕が用意した。ちょっとしたコース料理並みのものだ。


「こ、このままでお願いします……」

「いいだろう。

 で、だ。

 窓口に、あと二人分の余裕があることには気付いているな?

 全員、明日の朝までに、女性の従業員を1人1人ずつ勧誘しろ。

 失敗しても構わんが、1人には声をかけるようにしてくれ。

 ……女性と言った理由は分かるな?

 ちなみに、制服はあと4着しか残っていないから、最大4人までの募集になる。

 ……最後になるが、全員に今日の分の給金を支払う。

 大した金額ではないが、まぁ、君たちがやりたいと言い出したことだ。

 ああ、それと、金額は全員平等だが、ロークには、従業員の勧誘の方での期待を込めている。

 ……以上で、解散したい。

 意見は?」


 全員に、グリーンマナを2つずつ配る。驚きと、喜びの表情が溢れた。

 これが、明日以降のモチベーションに繋がればいいと思う。

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