表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は将来、魔王になる男だ!!  作者: 風妻 時龍
3章 ダンジョン篇
70/79

8.ラスボス設定

 ミリアを救う手段は、正攻法を除き、僕にはもう1つしか手が残されていない。但し、ダンジョンを消すという裏技は秘めたままでだ。

 その奥の手が、『ラスボス設定』だ。


 簡単に言えば、ダンジョンのラスボスを誰にするかを変更できる能力だ。

 それで僕を指定すれば、ダンジョン外と、ダンジョンレベル1000の最奥・100層とを、自由に行ったり来たり出来る。

 それだけじゃない。

 ダンジョン管理者とラスボスの権利を両方とも持っていると、ダンジョン内で出来ることがかなり増える。

 POPモンスターとか、ドロップアイテムや宝箱等の設定。まぁ、宝箱の中身まで設定できてしまうので、ラスボスの権利を得た今なら分かるが、スロットが付いたアイテムなど、無限に入手できてしまう。

 まぁ……ダンジョン管理者権限だけでも、出来ることがあまりにも多くて、ラスボスの設定も、つい先ほど気付いたのだが。

 まだまだ、僕の気付いていないことは多いのかも知れない。否、確実に多い。ラスボスの設定で出来ることが増えたのだから、確実だ。つうか、未だに普通の管理者権限だけでも、どれだけのことが出来るのか、全ては調べきれていないし、僕は今、能力を持て余し気味だ。


 ダンジョンの最奥・100層は、だだっ広い空間に、城が1つ佇んでいるだけであった。

 3階建ての城だが、1階から3階まで城の全部を含めて、100層のようだった。


 ダンジョンの途中への出入りは出来ないが、外と最奥だけなら、シルヴィーンを連れて行くのも問題が無かった。


「たーのーも~。たのもー!!」


 城の門を開けて、一階のエントランスで叫んだ。


「……道場破りじゃないからね?」

「……?

 分かっておりますが」

「……ツマラン。卑弥呼なら、話が通じたかも知れんが」


 まぁ、軽いおふざけだ。真面目な話じゃないから、どうでもいい。


「しかし、門番もいなかったな。

 ……アイツラ、大丈夫だろうな?」

「ミリア殿は、秘かに相当な実力を持っていると見受けておりましたが?」

「ああ。僕が鍛えるのを手伝ったからな」


 ステータス上昇条件を幾つも知っている僕の下で鍛えれば、当然、効率も良くなる。ミリアのステータスは、ルシエルにも負けない。今のシルヴィーンには、負けるかも知れない。


「……だれ……だよ?」


 階段の陰から、一人の人影が見えた。……ロークだ。


「おお、生きていたか!」

「……テメェ、何しに来やがった!?」

「……僕、食糧も持ってきたんだけど、その態度でいいの?」

「あ、ゴメンナサイ……。あの子に脅されて……」


 ロークは簡単に掌を返した。


「ミリアはどこにいる?」

「……恐らく、玉座の間に」

「そうか」


 ずかずかと進み、後ろから聞こえる「食糧~」という声は無視する。

 玉座の間に入ると、左右から小さな人影が迫ってくる。ナイフで切りつけられるが、交わす。


「リューイ殿……!!」

「剣を収めろ。今ならば許す」

「申し訳ございませぬ!」


 2人は、ナイフを鞘にしまって跪いた。


「バグ!!」


 玉座の方から、大きな声が放たれる。その直後、僕は咄嗟に回避行動を取ると、先ほどまで僕の頭があった位置を、バグの足が通り過ぎる。速い攻撃で、見た目以上に威力もあるはず。下手に当たると命が危ないはずだ。


「オートデバッグ!!」


 デバッグを開始した途端、バグの動きが止まった。ミリアが指示を出すが、動けないようだ。やがて、バグは完全に分解された。


 僕とミリアが対峙する。


 僕は、頭の中で、必死になって紡ぐべき言葉を考えた。


「リューイの馬鹿!もう、許してあげないから!!」

「……別に、許しては要らないけど」


 言葉の選択を間違えただろうか、ミリアは、その場で泣き崩れた。


「……ご飯にしようか」

「……ひっく……ひっく……。……うん」


 とりあえず、僕はシルヴィーンに指示を出し、あの三人娘を探して、ロークと共に食堂へと連れてきてもらった。


 食糧は、たんまりある。

 僕は、これでもか!というぐらいに、美味しい料理を、ミリア達に振舞った。


 僕は、料理を次々に作りながら、今回の件の落とし所を、頭の中で考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ