年明け
三か月ぐらい放置してしまった……
とりあえず春雪異変まではやらなくちゃ、いろんな人に怒られそうな気がする
そんなおっかなびっくり次話投稿、ではどうぞ。
「しっかしまぁ、新年早々山登りするはめになるとはな……」
「まぁいいんじゃないですか?初日の出も見れたことですし」
「結構ギリギリだったけどねぇ~」
年が明けたのに遅れて気づいた後のこと、八雲紫がヒラヒラと手を振りながらお得意のスキマ空間に身をうずめてスキマを消した後、炬燵に入ってこれから寝るかどうかの話をしていた時(2時過ぎ)に誰かが言った、
『初日の出を見に行こう』
誰が言ったのかは今もって不明なのだが……その時の彼らの様子を見ていた妖怪の山にお住いのH・Kさんはこう語る。
『えぇ、はっきりと憶えています……友達の家から帰るときに下の方から意味不明な叫び声が聞こえてきて、確か、「ヒャッハー!!」とか「えぇぞ!えぇぞ!ベーコンえぇぞ!!」とか、怖くなって近くの茂みに隠れていたら上半身裸の人間が「全速☆全身DA!!」って言いながら走ってて、後ろから立体起動装置でもつけてるんじゃぁないのかって思うほどビュンビュン飛んでた白い人影……でその後しばらくして誰も来ないなって思って茂みから出たんですよ……そ、そし、そしたら……キャァァァァ!!!!』
何があったのかはわからないがうわごとのように『かゆ……うま……』と呟いていたので取材を断念した。
なおこの女性は迷いの竹林に最近できた診療所で現在療養中である。
現時刻6:23
さすがに徹夜で初詣に行きたくは無いので仮眠をとってから行くことにした。
「すぅ~すぅ~すぅ~……」←ぐっすり
「…………………………」←寝息が聞こえない
「かぁ~ほぉ~かぁ~ほぉ~……」←口呼吸で寝ている、いびきはしていない
布団の中で三者三様の寝相を見せる幽々子、妖夢、地鉄。
帰ってすぐに寝ようとしたのか部屋の隅に脱ぎ捨てた服や下着がゴチャッと積み上げられている、起きた後で洗濯をするのはきっと地鉄。
起きた後ご飯を作るのもやっぱり地鉄。
風呂掃除や、トイレ掃除もするのは多分地鉄のお仕事。
主夫地鉄ここに降臨、まぁ一人で頑張っていた妖夢を少しだけでも楽させようという気持ちで日々家事に精をだしている。
「ぁあぁぁあぁー……」
ゆっくりと目を開け寝起きで働かない頭をフラフラさせながら布団に倒れこみ、
「すぅ~すぅ~……」
二度寝をすることにした幽々子。
きっと頭からは初詣がどうのとか正月がどうのとかすっかり抜け落ちているのだろう、寝正月は最高だぜ!!とか言うに違いない。
「幽々子様、もう昼の3時過ぎですので二度寝は許しません」
「起きろ―幽々子ー……次はその布団で俺が寝るから」
「あなたもですか、地鉄さん……ほら二人ともしゃきっとしてください!」
幽々子は手でゆさゆさと、地鉄は頭をぺしぺしと叩きながら二人を起こす妖夢。
幽々子の二度寝は未遂に終わった。
「絶対明日は二度寝するからね!」
「はいはい、ご自由に~」
「俺もだぜ!」
「あーそーですかー」
のそりのそりと布団の中から這うように出てくる幽々子、まだ寝ぼけているのかぺたんと畳の上に座り込みポーっとしている。
そんな幽々子を腋から抱え込みズルズルと部屋の外に連れ出していく妖夢、寒い部屋の外に出して強制的に目を覚まそうといった魂胆で……
「…………さむっ!」
「おそようございます幽々子様、目は覚めましたか?」
「妖夢!?確かに目は覚めたけど!これは酷いんじゃない!?」
「何言ってるんですか幽々子様、あーんなことやこーんなことをしても起きなかったので最終的に起こせばよかろうなのだぁー!!と地鉄さんが考え付いた作戦なんですが……どっか間違えていましたか?」
「全部だよ!全部間違っているよ!!というか何!?あーんなことやこーんなことって!!」
「おおう……まさかのツッコミの嵐……さすがです幽々子様……三日間ぐらいはついていきます」
「何やりきった顔で宣言してるのよ!!」
部屋の外で新年早々漫才を繰り広げる幽々子と妖夢、地鉄はそんな二人を見ながら布団をたたんで押し入れの中に押し込み、昼ごはんの用意の為に静かに誰にも気づかれることなく部屋を出て行った。
「地鉄ゥー!!……ってあれ?」
「地鉄さぁーん!!……あれ?」
「「いない!?」」
お昼ご飯に用意したおにぎり(梅、昆布、おかか、塩、混ぜ込み)と豚汁、漬物をパクリパクリと食べ、片づけをした後幽々子、妖夢、地鉄は初詣に行くので幻想郷で多分唯一の神社【博麗神社】へと向かった。
「寒いわ!!」
「でも、そんなのも嫌いじゃないわ!!」
「歩くのに疲れたからって何叫んでるんですか……」
博麗神社へ行くにはとても長い石段を登らなければならない、がそれは『人間』に限った話で、妖怪や妖精や吸血鬼(以下略)は基本飛んで博麗神社に向かう。
幽々子や妖夢は歩くように普通に飛べるのだが、地鉄は特に何にも力を持ってないので飛ぶことはおろか弾幕の一つも出せない。
最初は右腕を幽々子が、左腕を妖夢が持ちさながら『拉致されたグレイ』のような態勢で飛行してたのだが、
『幽々子さん?妖夢さん?』
『なに~?地鉄~』
『どうかされましたか?』
ビュゴォォォォォォォ!!!
『え~っとですね……』
ビュゴォォォォォォォ!!!
『この際はっきり言うぞ!!』
『おーばっちこーい』
『なんでしょうか?』
ビュゴォォォォォォォ!!!
『腕が痛いんで下ろして!!痛い痛い!!腕がちぎれそうなんだよ!!あと、あんたらは妖力やら魔力やらの不思議パワーで身を守っているからわからんだろうがなぁ!!寒いんだよ!凍えてんだよ!!指先の感覚がねぇんですよ!!』
といった具合で空を飛んでいくというのは没案に(そのあと悪ノリした幽々子が地鉄をジャイアントスウィングで投げ飛ばしたが……関係ないので割愛)
なら、たまには歩いてのんびり行きましょうかと幽々子が提案し今に至る。
「まぁこんなくそ長い階段を昇んのは結構な重労働だけど」
くるりと後ろを振り向き、そこから見える雪に覆われた幻想郷を見渡す。
つられて幽々子と妖夢も振り向いてその景色を眺める。
「この景色を見られるんなら安いもんだな」
「そうですね」
「でも空飛んでる私たちはもっとすごい眺めだから感動は薄いのよねぇ~」
「幽々子様……それは言っちゃぁいけません」
「デデーン、幽々子OUT~……スペシャルなお仕置き~」
足元の雪を払いのけその場に座り込み、おしゃべりを始める。
「ほぅ……地鉄さん、してその内容は?」
「おしりぺんぺん?」
「あ、軽いですね」
「……ただし鬼の力で」
「なにそれこわい」
「そんなのあたる前に逃げ切れます~」
「先に首輪でもつけといたら?」
「それ軽くSMプレイ入ってませんか?」
「私はそんな趣味、持ってません!」
「新年早々見知った顔がいるなぁと思ったらなんだただの亡霊か……恋符『マスタースパーク』」
「それは違うわ!!(迫真)」
「……と見せかけたただの懐中電灯~」
ピカァ!!
「まぶしっ!!」
石段に座り込みSMプレイの歴史についてそこまで深くなく話していると、空から箒にまたがったいかにも『私は魔女です』と言わんばかりの黒い先の折れたつばの広いとんがり帽子に黒いスカートと白いエプロンの自称普通の魔法使い【霧雨魔理沙】がスィーっとやってきてあいさつ代わりに懐中電灯で目くらましを仕掛けてくる。
「うぃーっす普通の魔法使い先輩(笑)オッスオッス」
「(笑)をつけんなよ普通に普通の魔法使いだ私は」
「目が痛い……」
「大丈夫ですか?幽々子様」
「うん、膝に矢が刺さってないからまだ大丈夫」
「そうですか、それはよかったです幽々子様」
「ちょっとまてどっからそのネタ拾ってきた」
「その前に私が放置されてることに少しは関心を向けて欲しいんだぜ」
「だまらっしゃい金髪三つ編み(自主規制)さん、今は大事な家族会議中です」
「(自主規制)ってなんだ、(自主規制)って私が一体何をしたっていうんだ」
「えっと……ひぃ、ふぅ、みぃ………………72個ほど(自主規制)を」
「くっ!ってか!?くっ!って言やいいのか!?」
「幽々子を見てみろよ、そのあと妖夢を見てみろよ……最後に自分の胸に手を当てて考えてみろよ」
「真っ二つに切断してやりましょうか?地鉄さんの貧相で上質な真紅の角を」
「貧相なのか、上質なのか解らねぇな……じゃあ私はマスパで」
「でその後に私がギュッと抱きしめて昇天させるのね!!わかります!!!」
だんだんと話が下ネタ方向にシフトしつつある冥界三人組+αは、歩きながらも話そうかとえっちらおっちら長い階段を上り始めた。
一名ほど箒の上だが……
「やっとついたー!!」
「まぁ、白玉楼の石段に比べたら短いですけど……あの、大丈夫ですか?地鉄さん」
幽々子と妖夢は体力が人とは比べ物にならないほど多いのでこれしきの階段は何ともないのだ。
霧雨魔理沙も箒にのってぷか~りぷか~りと、上ってきた(飛んできた?)ため問題なし、ならこの中で唯一の一般人である地鉄はと言うと……
「ハァ~……ハァ~……ハァ~……」
手をだらんと下にぶら下げ、酸欠で右下腹部が痛み、返答もまともに返せないほどに疲労困憊していた。
「あの、だいじょ…うぶじゃなさそうですね……」
「地鉄って本当に体力ないのね~もっとたくさん食べて体力つけなきゃダメよ?」
「あははははは!!おまえどんだけ体力ないんだよ!!あははははは!!」
「霧……雨……ハァ~……ハァ~……どう、だハァ~……すげぇ、だ、ろ……うぷ」
地鉄は喉元にせりあがってくる酸っぱい何かを必死に押しとどめながら酸素を体全身に送ろうと無理やり背筋を伸ばし深呼吸をしようとする、が酸欠で頭がクラクラし今にもこけそうである。
「地鉄さん?もう出せるものだしてスッキリしましょ?ね?その方が楽になれますから」
「あ、私の近くでやらないでね?あのすっぱ臭いにおいは嫌だから……あと手に持ってるお弁当箱は私に渡してね臭いが移ったり、吐いたのがかかっちゃったりすると食欲が減退しそうだからね?」
「私もお断りするぜ、吐くんなら向こうの茂みで吐いてくれよ?」
「おま、えら……後で……覚……えとけ、よ……」
幽々子や霧雨は完全に茶化しているが妖夢は気遣ってくれているようで、地鉄は霧雨や幽々子に何らかの報復をする覚悟を決めたが、吐き気に負けてしまいそんなことはもうどうでもよくなった。
~数十分経過~
「フタエノキワミ、アッー!!」
ヒュン、スカッ
「はっはっは!そんなんじゃこの霧雨魔理沙様には絶対に当たらないんだぜ!」
「隙だらけよ~ほれッ」
蝶々の形をした弾幕が数匹幽々子から放たれる、弾速は幽々子や魔理沙そして妖夢から見たらとても遅く非常にゆっくりだがただの一般人である地鉄から見たら……
「うおっ!?はやッ!!」
ドドドドド、ピチューン
なぜこうなったかと言うと、吐き気が収まり酸欠からも解放された地鉄が、幽々子と霧雨に抜き手を放ったがいともたやすくふらりと躱され逆に幽々子の弾幕の餌食となり、被弾、残機0で満身創痍でGAME OVARとなってしまったのが今の一連の行動である……妖夢?「あー……」って声出しながら弁当持って苦笑いしてましたよ。
「……いつか絶対一撃ぶち込んでやる」
「がんばってね~」
「地面に俯せになりながら言われてもな……ま、せいぜい頑張る事だぜ」
俯せになりながらそう決心した地鉄であった……
「「完!!」」
「いや終わらねぇから!勝手に終わらせんな!!」
「はぁ……やれやれってやつですね、これは」
ちゃりんちゃりん、ちゃりりん。
がらがらがら……ぱんぱん……
参道の真ん中は歩いちゃいけないだの、まずは手と口を清めなくちゃいけないだのそんな細かい過程や順序を吹っ飛ばして、堂々と参道の真ん中を歩いてお賽銭を賽銭箱の中にいれ(むしろ投げ入れると言った方が正しい)、がらがらと音がする大きな鈴を「新年なんだから景気よく行きましょ」と幽々子と地鉄が騒音のレベルで鳴らした後、手順に従って魔理沙とノンビリ話しながら歩いてきた妖夢にきつめの突っ込み(チョップ)で無理やり止め四人でお願い事を願い始めた。
「(美味しいご飯が食べられますように)」
「(今年一年また健康でいられますように)」
「(楽しい一年になりますように)」
「(【霖之助】と結ばれますように!!)」
「さて、初詣はすませた……ならあと何が残っているでしょ~か?はい!妖夢答えて!!」
「えぇっ!?いやそんな突然振られましても……」
幽々子が突如ビシィッ!!と聞こえそうな効果音と共に指を妖夢に向け質問を浴びせる、それに対して妖夢は「う~~ん」と悩みながらも
「鏡開きですか?」
と答えた。
すると幽々子が
「誰がそんな答え期待してるのよ、答えるんだったらもっとちゃんとボケなさい!」
「幽々子様!なんですかそれ!?突然振られたからちゃんと考えて真面目に返したのに……」
「真面目に考えたからだと思うんだー俺はー(棒)」
「(棒)って……じゃあ、地鉄もしお前ならどう答えるつもりだったんだ?」
「……っは!そ、そうですよ!地鉄さんならどう答えるつもりだったんですか!?」
「俺ェ?寝正月」
「つまんない、アウト」
「え、ちょ待って幽々子さん!?待っt……アッー!!」ピチューン……ぷすぷす
「というわけでお邪魔させてもらうわよ~」
「帰れ」
「妖夢ぅ~!!」
ダダダッと妖夢の胸に飛び込み、おいおいと泣きまねをする幽々子。
困り果てた顔でこの家の主に顔を向ける妖夢。
「……で霧雨さん、あれがここの神社【博麗神社】の巫女さん【博麗霊夢】でおk?」
「あぁそうだ、あいつがこの貧乏神社の貧乏巫女、霊夢だ」
「ちょっとあんたたち、こそこそ話してるつもりかもしれないけど、会話がだだ漏れで聞こえてるわよ」
無表情、というより興味のなさそうな顔で地鉄たちを見ているのはこの幻想郷において重要な立ち位置である【博麗神社】の管理を任されている、巫女なのになぜか腋出しルックの巫女服にちゃんちゃんこを着こみ、髪の毛を紅白のリボンで少しアップ気味に留めてある少女……【博麗霊夢】である。
「はぁ……なんだって新年早々魔理沙と幽霊の顔を見なくちゃいけないのよ……」
「俺は?」
「あぁー寒、入るんなら早く上がってよね……」
そう言い残すとスタスタと背中を丸めて奥へと戻っていった。
それを見て魔理沙はあたかも自分の家であるかのように靴を脱ぎ遠慮なしに入っていく、それにつられ幽々子、妖夢も入っていく最後に地鉄が後を追いかけていく。
「(あれ?俺もしかして忘れ去られてる!?もしくは眼中にないとか!?)」
なぜ幽々子達が博麗神社の母屋……博麗霊夢の居住スペースに上り込んでいるかと言うと。
『正月なんだからお節食べなきゃいけないでしょ!!』
何のためにここまでお弁当持ってきたと思ってるの!?と声高らかに幽々子が宣言し魔理沙が
『なら霊夢の家に上がらせてもらおうぜ』と言ってしまい、あれよあれよの間に霊夢の家、の居間に至るのだ。
「ねぇねぇ、お節って普通朝に食べるものなんだよ」
「それがどうしたの?」
人間として一般人として、ここではもう通用しないであろう反論を亡霊に述べてみたがドヤ顔で鼻で笑われてしまった。
妖夢は手伝う気のない霊夢、地鉄、幽々子を横目で見ながら食器やお箸、小皿を置いていく。
「では、いただきます」
「なんで家主である私を差し置いて勝手に進めてるのよ……あ、ウマッ」
「いただきますはちゃんと言おうぜ、なぁ妖夢」
「もごもご……んぐ……あっハイ、そうですね、魔理沙さんそこのお醤油取ってください」
「ん……あいよ」
地鉄はお節にはそれぞれの料理に由来があるんだぜ~と雑学を話そうとするが、そのたびに
「知ってるか?この煮干しを甘辛く煮つけt……」
「『田作り』ね、それぐらい知ってるわ」
「……ちなみに由来h……」
「カタクチイワシを田の肥料としたところ五万俵ものコメが収穫できたとの由来から来て、また「ごまめ」は「五万米」であり「田作り」の名とともに五穀豊穣を願ったものでしょ」
「黒豆ってなんでこんなに黒く色づけしてると思う?それはn……」
「たしか、黒は道教だっけ?の邪除けの色になってたんだよな。んでもって黒く日焼けするほど達者つまりマメに働けるようにと邪気を払い長寿と健康を願ったもののはずだぜ」
「これ手に入れるの苦労したんだよなぁ……海老」
「海老は長寿を祈願した縁起物よねぇ~と言うわけでも~らい♪」
「ちょ、あっ!?」
「んふー……ボリボリボリボリ」
「殻ごと食ってんのかよ」
「殻まで食べれるように地鉄がしてくれたんじゃない♪」
とまぁこのように見事に撃沈していったのだ、まぁいつか役に立つ日が来るのだろうと信じて、栗金団をひとつ口の中へ入れる。
それからも『今年は何しようか?』や『どうすれば参拝客が増えるのか』『八雲さん家に新年の挨拶に行かなきゃ』などと言った正月っぽい会話が進められていった。
「なぁ博麗さん」
「なによ、私は今タイの骨を取るのに忙しいの」
何かを思い出したかのか霊夢に質問しようとする地鉄、だが肝心のお方はタイの骨の撤去作業に忙しく相手にしてもらえなかった。
「どうした地鉄?何か相談事か?」
「ちげぇっすよ霧雨さん……俺がここに来る前に起きたえっとなんだっけ?……あーそうそう【紅霧異変】について教えて欲しいなぁ~と」
「紅霧異変?なんで?……アグ、むしゃむしゃ」
「いや、ほら異変を解決したんでしょ?あんたら、だったらどんなんか聞かせてほいいなぁ~とね」
「んぐ……どんなんって?」
「ズズズー……ぷはぁ、えっとな……どんな相手がいたとか、異変の中心はどこだったのかぁとかそんなん……アグ、ンー……ぶちん、もむもむ」
「なぁんだそんなことかいいぜ教えてやるよ」
ここから北に数キロ先にある【霧の湖】そのほとりにぽつんと立っている真っ赤な屋敷それが異変の中心【紅魔館】その館にはぐーすか寝ていた門番や、喘息気味の魔女、首筋に星のあざが無いメイド、そしてちっこいのに館の主で、ちっこいのに(大事な事は二回言う)年齢が500歳の幼女(吸血鬼)がいるそうだ。
「へぇ~なんか人外魔境だなその紅魔館って」
「幻想郷も大体のところが人外魔境だぜ……あ、もう一人いたんだ」
「だれ?」
魔理沙はどうでもいい雑談の中でふと思い出したようにその名を口に出した。
500年近く地下に、引きこもっている(嘘)植物の様な平穏を望む(大嘘)吸血鬼……
「【フランドール・スカーレット】って言う名前のぶっ壊し屋だ」
「ぶっ壊し屋ってなんじゃそりゃ」
―――あってみりゃわかる、ただし地鉄あんたが生きて帰ってこれる保証は0以下だけどな―――
不穏な言葉を口にだし魔理沙も、霊夢と幽々子と一緒にタイの分解工事に着手した。
「ふ~食った食ったぁ~」
「えぇ美味しかったですよ地鉄さん」
「今年も料理とか洗濯とか、よろしくね地鉄」
「へいへいわっかりましたよお二方」
「じゃ、腹も膨れたことだし私は一足お先に帰らせてもらうぜ~」
「お~う、じゃまたどっかで~」
「今年もよろしくお願いします」
「またね~」
魔理沙はヒラヒラと手を振りながら箒にまたがって飛び去ってしまった。
「じゃあ私たちもそろそろ帰りましょうか」
「寒いのヤダー」
「文句言わないで下さい幽々子様私だって寒いんですから」
帰る帰らないでごねる幽々子と妖夢、霊夢と地鉄は
「博麗さん、これおすそ分け」
「なに?……あらこんなに貰っちゃっていいの?」
「いいんですよ、勝手に押しかけてきたのはこっちなんですしそのお詫びの品みたいなもんですよ」
「お詫びって言うんなら、お賽銭奉納してくれない?」
「ハッハッハ、断る」
笑顔で取っ組み合いをしながらお賽銭を入れるか入れないかでもめ始めていた。
「じゃ~ねぇ~!!博麗の巫女さん~!!また会いましょ~!!」
「本日はどうもありがとうございました、ほら地鉄さんも」
「あぁりがとぉ、ご~ざいやしたぁ~!!あいた!!」
ゴツンと地鉄の頭に妖夢の拳が振り下ろされる。
霊夢はその様子を呆れた表情で
「はいはい、おいしいご飯ありがとね、もういいかしら風邪ひきそうな位寒いから家の中に引っ込みたいのだけれど……」
「風邪なんて気合でどうにかなるだろ!もっと熱くなれよぉぉぉ!!アダッ!!」
「もう帰りますよ!……幽々子様行きますよ」
「あ、うん……じゃぁ~ねぇ~」
三人は冬空の元、我が家のある冥界へ向けて飛んで行った。
ビュォォォォォォォ…………
「やっぱり帰りもグレイ状態か……解せぬ」
「あーうん、地鉄?」
「何?幽々子?」
「気にしたら負けだよ」
「……………………うん」
来年の冬アニメでみるのが確定しているのは「生徒会役員共*」
まぁその前に受験をしなくちゃいけないんですけどねぇー(白目)
はやく次の話を書き上げなくては……
ではまた次回~♪