扉
今、俺は扉の目の前にいる。
白く塗装されたその扉は、かなりの古さを感じさせるほどに汚れ、そしてところどころに傷が付いていた。
俺はここに来るだけために、急いで車を走らせて辿り着いたのだ。
しかし、その扉は閉ざされ、入ることを拒否するように佇んでいた。
苛立ちが心を支配する。
――なぜだ!?
なぜ、この扉は閉まっているんだ。
ただ、これだけのために来たのになぜなんだ……
ぐるぐると巡る思考と身体の異変に気持ち悪くなっていくのがわかる。
――ああ、この怒りをどこかに発散したい。
学生のときのように、辺りの物に怒りを発散出来ないこの気持ちが憎い。
と、そのとき、白い扉が開かれた!
――た、助かった……
中に入っていた人と、すれ違うようにそこへと入る。
これで地獄のようなひと時は終わったのだと信じて……
数分後、俺は思い知ることになる。
扉の中に入るときに、なぜ確認しなかったのかということを……
なぜ、確かめなかったのかと……
公園のトイレには紙が無いところもあるのだということを……
物凄くお腹が痛いとき、
そこのトイレが一つしか無く誰かが入ってたとしたら……。
という題材でした。