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やり取り

※メールでのやり取りがありますが絵文字は抜いた状態で表示されているので注意。

同窓会は散々だった。

まあ、それも私自身がやってしまったことであり、悔やんでも仕方の無いことなのだが、

会話の合う奴が居ない。気の会う人が休んでしまい専ら千秋や夏子と会話をしているという、

いつもと何も変わらない結果となった。

「疲れた・・・」

同窓会がつまらなかった訳ではないが自分と他とがどれだけ違うのか思い知らされた。

「そんなこと分かっていた事だし今さらだよね」

明日からはまた仕事もあるし頭を切り替えよう。

今度いつ会えるか分からないし、行くことに意義があったと自分の中で結論づけ、その日は早々と寝てしまった。


「メール?…藤村?」

翌日の仕事帰り何気なく見た携帯のメール受信トレイの中に珍しい名前を発見した。

藤村康介、クラスメイトの一人で、頭がよかったので受験組入っていた。

二十歳のときのクラス会のときも会っており、帰りは家まで送ってもらって記憶がある。

年賀メールなどは送ってきていたが、それ以外では特に送ってくることもなかったので少し驚いた。

「珍しいやつから来てる。なんだろう?」




おは

昨日はお疲れ様でした


無事、帰れたよな[?]


今日も暑いけど、仕事頑張れよ


また、ふつーに飲めたらいいな




「無事帰れたってなによ、失礼な奴」

多分前回のクラス会で送って帰ったからのメールなんだろう。

「普通に飲めたらか・・・」

藤村と?二人で?そういう意味だよね。

前にもクラス会の後のメールで同じような内容のを見た気がする。あの時は得に飲みにとか行ってない。今回も社交辞令みたいなもんだろう。

「それじゃ、こっちも」




今日は早番出勤なんで今読みました

ごめんね


失礼なこれでも一応大人ですから帰れます

でも昨日は家の近くまで友達と帰ったから大丈夫だよ


カラオケによってたから遅くなったけど・・・


仕事はまあ、身体を壊さない程度にはやってるよ

一回倒れたし


お酒も程ほどって言われてるし、それでも良ければ、そうだね。

飲みに行きたいな




「こんなもんで良いかな」

普段こんな長文を送ったことが無いので疲れた。

しかも絵文字がいっぱい正直知っている人が見れば『誰コイツ?』と聞いてくると賭けても良いくらい自分らしくない。

さてさて、程なくしてメールが返ってきた。




お仕事おつかれちゃん


一応ってなんだ、一応って(笑)

相変わらずだな


おいおい、倒れるって働きすぎだろ

あんまり、無理すんなよ


まぁ、俺もそんな飲める方じゃないから、ほどほどがちょうどいいし


ぜひぜひ




「あれ、これはマズイ流れじゃない?」

藤村は乗り気になったらしい前回とは違う。何処で間違った?

だがいまさらやっぱり無理とも言えずメールを送る。




私も楽しみにしてるね


暇な日にちがあったら誘って下さいな


終日はだいたい暇してるんで

ヨロシク(o^-')b




「た、楽しみにしてるって煽ってどうすんだよ俺」

こういう時は最近忙しいって送るだろ!

自分の行動が自分でも分からなくなってきた。

頭を抱えているところにメールが返ってくる。




おう、任せてくれ


俺も週末は暇なんだよね


することって言っても部屋の掃除と洗濯してごろごろしてる日々が多いし


あ、そー言えば何か可愛いくなったな




「・・・・・・~~っ、えいっ!」

携帯を投げ出した。

「なんか見慣れないものがあった。無理無理無理勘弁してよ」

かわ、可愛いなんて言われ慣れてない言葉耐性が無いので参ってしまう。というか苦手だ、勘弁してほしい。

そうして思い出してしまうのは前に付き合っていた彼氏の事だ。奴正しく似たようなメールを送って来ていた。

思い出すだけで気分が悪くなる。「これ以上はキツイ」

「唯、煩いよ」

そこへ妹の美希がやってきた。すっごく嫌そうな顔をしてる。

「何してんのさ」

私は無言で携帯を渡す。美希は携帯の画面を見るとニヤリと笑った。

「藤村からじゃん。へぇ、まめだねえ、何これ良い感じなメール。付き合うの?」

「ただ機会があったら一緒に飲みに行きましょうってたいしたことないよ」

「たいしたことあったから煩いんでしょ。」

そして最初からカチカチとメールを読み返す。

「可愛いなんて言われてうろたえてんだ。この内容的にはわりと気があるんじゃない?」

「ない」

「あっそ、でもとりあえずは返信したらそんなの軽くありがとで良いんだよ」




お褒めにあずかり恐縮です


しょうがないな、今度なんかおごってあげるよ


あんなの気のせいだよ

普段はかなり酷いよ

お見せ出来ないくらい




「そうよ、そうやって返しとけば良いの」

いつの間にか話題の中に母である春子も加わっていた。

「藤村くんはやっぱり良いと思うし。まあ、男性の人脈を作ることも大事だし」

「母さん・・・」




あ、可愛いってメールがだぞ


それに女の子に奢ってもらうなら奢る方がいいんで


へー、そうなのかじゃ普段を見せてもらおうかね(笑)




「メールね。自分でもありえない量の絵文字使ってるし可愛いというよりはキモい気がする」

横でざわついている母と妹を無視しつつ普段の自分の服装を思い出すアレを見せるわけにはいかないな。




メールねなるほど、それなら納得


私は割り勘が一番気楽だけど・・・

見せる気は無いな

自分でもあれは嫌だし


普段って通勤の服ね

休みの日はまだ良いほうだよ


どっちにしたって会えば解るからね


今日は昨日の疲れが残っていて、だいぶしんどいんで寝るね

おやすみ




「ギブアップ、限界だわ」

この携帯の内容の甘さに気持ちがついていけない。

取り敢えずおやすみメールを送っておく。



最後までメールは読みましょう(笑)


まぁ、気にするような仲でもないだろ[?]

素直にされといて


そーなんだ

じゃあ、適度に綺麗に


まぁね


うん、気いつけや~

じゃあまた、おやすみっ




「最後?・・・いっ、」





ってのは冗談で、ホントに女の子から女性?になったんじゃない




「・・・・・・~~っ!」

負けた。

そんな気分になった。


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