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無常の月よ

作者: あまね
掲載日:2026/02/12

誰かの笑顔が苦手な自分。

それは頑張ってない自分のせいだとはわかっている。

そんなお話

 誰かの笑みに耐えれなかった。

 悔いばかりと言うのもおかしな話だ。


 悔いて進めずにいるのだから、それは正しい話ではあるが、悔いて役に立たせることもできない。


 転がるような人生で、転がり続けている。


 上は言うに及ばず、同い年どころかふた回りも下の人を見ても、それは大層立派に歩んでいると言うのに。


 社会と言うのはどこまでいっても人と接することになる

 なんて当たり前のことを、思いしる。


 仇で返していないだけましだと言い聞かせても、なにも為してないと言うのはわかる。


 そこまで馬鹿ではない。


 変われるチャンスはいくらでもは言いすぎだが、変わろうと踠いて踠いて、いつの間にか転がり落ちていた。


 誰かに降り注ぐ困難

 雨風を凌げるようにすることもできない。


 あぁ泥を啜ってでも立ち向かうこと

 あぁ嵐の中で叫ぶこと

 あぁ晴ればれとした笑顔もない


 可細く何も為してない腕は頼りない。


 もう長くはないと言われた祖母。

 老人の手を握ったとき、力強さに驚いた。


 大丈夫と言っていたのかもしれないが、方言なのか弱りきった声のせいなのかはわからない。


 元気だなと感じた、その二週間後に、亡くなった。


 まだ暖かい手は重く 力強さはなかった。

 ただ 自分の手の方が冷たく情けなかった。


 あぁこんな手に なれないと。

 じんわりと沈むように、いやこれは嘘だ。

 情けなさというよりは。

 悲しみというよりは。

 握り返してはくれなかったなと何処か外れたことを考えた。


 まだ温かく、外から来た自分の血のほうが冷たかった。



 誰かの笑みが苦手だ。


 幸せに歩んでいる

 それは至極当たり前の事だ。

 誰かは立ち向かい叫び、当たり前の事をしてきたのだ。


 それは踠いて歩きだしたからだ。


 自分とは比べちゃいけないものだ。


 あの時囲んだ食卓の思いで。

 年末年始特有の夜更しを過ごした思いで。


 そんなものしか出てこず

 そんな風にしか会ってなかったんだと。


 それでも大丈夫と言ってもらえた


 月が微笑む。

 なんてことは自分の感傷なのかもしれない。


 常世の月は

 無常の月は


 廻って誰かに微笑むのだろう。


 誰かの笑顔が苦手な自分にさえ。

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