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人獣見聞録・猿の転生Ⅷ 終わりなき夜に生まれつく  作者: 蓑谷 春泥
第2章 ザ・レイヴン
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付帯資料 ジパングの貴族制度

 ジパングの階級は皇族・貴族・平民・奴婢に大別される。


[皇族]

 皇族は代々続く血統であり、12民族の混種の果てに生まれた特殊な血族である。特定の狂花帯を受け継ぐことがなく、ランダムにどれか一つの民族系統の狂花帯が発現する。混種を表す左右異なる色の眼(オッドアイ)が外見的特徴となっている。帝を始め、引退した帝=院、引退し出家した帝=法皇、帝の皇子=春宮、帝、院から二親等以内の子孫=親王、他后妃などが存在する。ややこしいが陰府「法王」と法皇はまったく無関係の別物。皇族から貴族や平民に降下する例もある。基本的に死罪などの罰則を与えることが認められていない。


[貴族(公家くげ)]

 皇族以外の特権階級に貴族がある。貴族は皇族に従属する形で領地の支配と徴税権を認められている。他、朝廷内の政務を分掌している。基本的に世襲制であり、貴族同士で結婚することが一般的。皇族との婚姻を認められる例もある。

 各民族の上位に立つのが貴族であるが、その頂点とされるのが氏長者(うじのちょうじゃ)である。各民族のトップであり、自民族の中で最も強い影響力を持つ。元老院の代表権を持ち、基本的には氏の長者本人かその配偶者、子や孫が任命されることが多い。ただしライブラ族のように直系の子孫でない者を代理に選出したり、有力な貴族たちの間で持ち回りに出席するシステムを採用している民族もある。

 元老院は12民族の代表者たちから構成されるジパングの最高評議会であり、政治を直接左右することのできる最要職である。貴族の中でも特に名誉かつ権力のある役職であり、ほとんどの貴族はこの立場を目指して争っている。ゆえに氏の長者の臨終の際には、次の長者の座を争って血腥い政争・抗争が起こりやすい。長者はその子に継承されることが多いが、権力が固定化しやすく暗殺・癒着などが発生しやすいことから、カプリチオ族のように選挙で選びなおす民族や、レオンブラッド族のように候補家の代表者による一騎打ちで決められる民族もある。

 元老院の家系のものは会議の都合から王都近郊に配備されることが多い。また、氏長者はその民族の本拠地である屋敷を所有する。この屋敷には磨羯宮(まかつきゅう)や白羊宮など、その民族のモチーフを冠する名前が与えられている。他の貴族は地方などに領地替え(異動)になることもしばしばある。アマルティアなどは現代における九州地方に移住していた。この場合左遷のパターンと地方の統括的行政官への栄転のパターンとがあり、アマルティアの家は後者である。

 氏長者を例外として、貴族間に階級差は無い。卿や伯、公といった称号はその役職の種類から分けられている。ただし経済力や影響力の差は存在するため、各民族の中でも有力な貴族は存在する。クラマやクロウの母であったアテルイ=ジェミナイアなどがその例である。

 貴族は称号姓やミドルネームを与えられることがある。アテネ=ド・カプリチオの「ド」などがそれにあたる。カミラタも準貴族としてミドルネームを持っており、正式名称はカミラタ=ゼニラタ・ライブラ。

 準貴族は現代世界と異なり、貴族の一部として認められる。平民でありながら多大な功績を認められた者が準貴族の位を受勲される。カミラタやヨモリなどがこれにあたる。ただし世襲の認められる貴族と異なり、準貴族は基本的に一代限りである。ただし準貴族の子や孫は功績をより高く評価されるシステムになっており、他の平民より準貴族に上がりやすい。準貴族が三世代続いた場合正式な貴族に格上げされ、世襲制が採用されるようになる。

 現在は世襲制の貴族だが、もともとは準貴族と同様に、戦で武功を上げた者が認められる仕組みだった。そのため戦闘行為の大半を警察隊が担うようになった現代でも、貴族の間では高い狂花帯能力を有していることが名誉とされ、日々研鑽に励んでいる者も少なくない。これは民族を代表する者として、その血の力を使いこなせるべきであるという考えにも基づいている。こうした背景と自身の所有する領土の制御の観点から、有力貴族は自らが率いる私設部隊を持っている場合がある。ゴングジョードやアマルティアなどはそれぞれこれに属していた。この私設部隊はしばしば朝廷の有事の際に出動し、警察隊とともに活躍の場を与えられる。功績を残した貴族には報奨金や帝から「歌」(和歌のようなもの)が授けられ、これは非常に名誉なこととされる。一世代前、特に多くの武勲を上げた貴族が六人ほどおり、その者たちは「六歌仙」と称えられていた。アリワラやゴングジョードなどはその一人。


[平民]

 一般市民たち。ジパングでは職業の自由が認められているため、好きな仕事に就くことができる。また、居住地の自由も認められている(ただし異なる領主の土地へ移住する場合、転出先の領主からの許認可を受ける必要がある)。警察隊や近衛兵を始めとして、様々な職業に従事している。


[奴婢]

 奴隷や差別階級、下層市民に近い身分。姓を持つことが許されず、法における保護も極めて薄い。税を収められなくなった平民や、墓児(はかご)と呼ばれる捨て子などがこの身分に認定される。世襲制ではないので、金を稼いだり朝廷に貢献することで抜け出すことも可能。ジパングにおいては野風などもこの位置づけであったが、現在は平民相当の身分に昇格した。

 法的な待遇は平民に劣るものの、平民と奴婢の間に直接の支配関係や上下関係はなく、意識的にもそれほど隔たりはない。ただしヒトと野風の対立の歴史、あるいはそれぞれの奴婢の行う仕事の種類によって、忌避されるケースもないわけではない。また貴族は市民に比べ、市民と奴婢を区別して扱う傾向が強い。

 こうした事情から、奴婢の中には半地下(アガルダ)へ移住する者も多い。なお半地下(アガルダ)はジパングの領土には含まれないため、嫗躯(おうく)はこの階級制度には含まれない。

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