前作までのあらすじ・用語・登場人物
前作までのあらすじ
『猿の転生Ⅰ』転生編
第二次冷戦下の23世紀に生まれた真白雪は、軍事企業エデン製薬の実験に巻き込まれ、『12人の怒れる男』と呼ばれる改造人間の一人として造り変えられる。未来予知能力と時間移動能力を手に入れたましらは異世界と化した数万年後の未来へとタイムスリップし、白衣の美女ドクター・リリと出会う。
未来の日本『中つ國』は朝廷の支配下にあり、人語を解す猿族「野風」と、特殊な能力を持つ12の民族に分化したヒト族の対立構造が存在していた。謎の誘拐魔「緑衣の鬼」によってましらの肉体は半人半猿の人猿へと変えられ、この対立の中に否応なく巻き込まれていく。ひょんなことから救出した、同じく獣の力を持つ少女アテネと共に警察隊から追われる身となったましらは野風の集住する魔境地域へと逃れ、身内同士で抗争を続ける野風たちを統一し、味方に付けていく。安息も束の間、再び姿を現した緑衣の鬼に敗北を喫したましら達は、ドクター・リリを攫われてしまう。
リリを救出するために廃都へと踏み込んだましら達野風部隊は、待ち構えていた警察隊の大隊と大規模な交戦に至る。しかし全ては緑衣の鬼の策略であった。朝廷の保有する三つの古代兵器、「三種の神器」の一つとして改造された東京タワー、「天叢雲剣」を利用し、警察隊と野風を融合させようとする緑衣の鬼。その正体は、二つの民族の間に生まれ捨て子となった、生来の孤独を抱えるドクター・リリその人であった。タワー内部での最終決戦に勝利し彼女の心を溶かしたましらはアテネらと共に人間の姿を取り戻し、崩壊するタワーの下、この世界でリリと生きていくことを決める。
『猿の転生Ⅱ』夷征東編
凶悪犯罪者として収監されたリリとの面会権を得るため、ましらは朝廷の最高審議会「元老院」の指令に従うことになる。与えられた任務は、ジパングからの独立を狙う東国地方の反乱軍「夷」の征討であった。元老院の一席となったアテネ、野風のニミリ、警察隊のメル、イスカリオテと共に東国への旅に出たましらは、夷を束ねる姉妹クラマとクロウと邂逅する。クロウの側近「紅喰い」を打ち倒し交渉の座に付くも、朝廷のスパイであったイスカリオテの裏切りによって和睦は決裂。空間転移の能力に目覚めたましらは、副官クロウを下し命からがら王都へと帰還する。
一方夷内部で密かに暗躍する紅喰いの話術により、クラマは妹クロウの失踪を裏切りと誤認する。クロウの高い指揮力を恐れたクラマは、一か八か全兵力を上げての朝廷との全面戦争に踏み切る。激しい戦闘の末、クロウの協力を得たましら達朝廷軍は夷軍を鎮圧、姉を救けるために降服を進言したクロウの心臓を無残にも貫き、クラマは捕縛される。
戦功として東国の土地を与えられ、歓喜に沸く野風たちを尻目に、紅喰いは仮死状態のまま保存されたクロウの体を運び出し、大陸へと帰還するのであった。
『猿の転生Ⅳ』二所朝廷編
夷叛乱の鎮圧の立役者として元老院に昇格したましらの耳に、先代帝王「獄門院」復活の知らせが届く。玉座奪還を目論む院は五人の側近「五刑」と西の軍勢を引き連れ、祇園に新たな都を造営する。ここに帝と院、二人の王が朝廷を二分する二所朝廷時代の火蓋が切って落とされる。ボアソナード、ユダ＝カルキノスといったかつての仲間が院に寝返る中、ましらは元老院の少女ネヴァモアに院への協力を持ちかけられる。大罪人として囚われた恋人リリの釈放を提示され、迷うましらを尻目に、院と帝の対立は激化、ついに院は帝の御所を急襲する。襲い掛かる五刑の脅威に対応するため、帝はリリの釈放と登用を決意、ましらとリリたちの活躍によって獄門院の軍を退ける。しかし獄門院の策略により、彼の実子を次の帝として即位させる契約を結ぶことになる。
一方でましらと行動を共にしてきたアテネの一族も、当主の座を賭けた権力争いを激化させていた。幼馴染でメイドのユードラ・ミーグル姉妹が獄門院の手先であり、しかも父の不実の子であることを知ったアテネは父・サテュロスに詰め寄る。逆上したサテュロスは男としての本性を現し、アテネと関係を結ぼうと迫る。絶望したアテネは雨夜の中ましらのもとを訪れ、契りを結ぼうとするが、アテネの気持ちを知ったましらはしかしそれを拒む。翌朝目覚めたましらのもとにアテネはおらず、何者かに連れ去られた後だった。惨殺されたカプリチオの貴族たちの血の海の中で、アテネは意識不明の状態で見つかった。
『猿の転生Ⅵ 春にして君を離れ』黄泉還る鬼編
獄門院の変から一年後。地底深くに存在する伝説の国、黄泉に生息する一つ目の怪物奴餓鬼が監獄「地底回廊」と偶然接触してしまったことから、人間をゾンビに変えるウィルスが地上に蔓延し始める。これに対処するため朝廷はましらとグラムシを黄泉へ、メルボルン率いる特別部隊を地底回廊へと送り込み、上下からの制圧作戦を執り行う。作戦により冥王の正体は旧世界の人工知能であり、奴餓鬼はアンドロイドであったことが明らかとなり、冥王の頭脳はましらによって破壊される。
一方未解決のカプリチオ貴族虐殺事件を糾明するべく、警察隊は野風の探偵エルロック＝シーマスに協力を依頼。しかしエルロックは黄泉の使者であり、かつて半地下の世界を牛耳った陰府法王・リンボ＝エルモリアであったことが判明する。未だ目を覚まさないアテネに冥王との繋がりを見出したエルモリアは彼女の殺害を計画するも、元老院ネヴァモアに阻まれ撤退する。リリによって目を覚ますこととなったアテネ。しかしカプリチオ貴族を皆殺しにした犯人は、繰り返される母親からの虐待により狂気に陥ったアテネであったことが明らかになる。人猿としての力に覚醒したアテネはリリを殺し、二代目緑衣の鬼としてエルモリアと同盟を組む。
『猿の転生Ⅲ Side-B』天使編 『猿の転生Ⅴ Side-B』悪魔編 『猿の転生Ⅶ Side-B』人間編
現代（23世紀）に存在する「もう一人の真白雪」のエピソード。
基本用語
[朝廷]
・中つ國……現代の日本にあたる列島国家。主人公ましらの転移してきた国。帝を頂点とした朝廷の統治下に置かれている。
・王都……御所を中心とする中つ國の都。城下町が存在し、ましら達が暮らしている。
・近衛兵……帝や皇族を守護する兵隊。後述の警察隊とは別組織だが、連携することもある。
・三種の神器……ジパングに伝わる三つの古代兵器。正統な朝廷の証でもある。狂花帯拡散装置・天叢雲剣、最終型核兵器・八咫鏡、全方位シールド・八尺瓊勾玉。王位継承に必要とされる。
[ヒト族]
・12民族……ヒト族がそれぞれに所属する12種類の民族。各系統の能力が民族間で遺伝している。それぞれ、レオンブラッド族―細胞操作 カプリチオ族―心理操作 ライブラ族―電気操作 ヴァルゴー族―心臓操作 アクアライム族―成長操作 スコルピオ族―熱操作 ジェミナイア―性質操作 アリエスタ族―免疫操作 カルキノス族―波形操作 イクテュエス族―重力操作 タウロ族―現実操作 サジタリオ族（失われた民族）―時空間操作。
・狂花帯……ヒト族固有の器官。各民族の能力を司る。
・混種……異なる民族の間に産まれた人間のうち、両民族の能力を同時に保有している者。遺伝的に極めて希少であり、通常のヒト族よりも強力な狂花帯を持つ。
・元老院……各民族の代表者（長者/当主）から構成される、朝廷の最高決定機関。貴族（公家）のみに選出権が与えられる。
・「12人の怒れる男」……現代（23世紀）で開発された12人の改造人間。強化された肉体と狂花帯を持ち、ましらもこの一人。12民族の先祖。
[猿族]
・野風……人語を話す猿たち。猿族。ヒト族の対立の歴史があり、最近まで市民権を与えられていなかった。狂花帯を持たなかった人間の進化した姿であり、13番目のヒト族と捉えることもできる。
・人外魔境/（魔境）……野風たちが集住していた地域。広大かつ貧しい土地。五つのブロックに分かれ長らく抗争状態にあったが、現在は統一されている。Ⅱ部で焼失し、野風たちは東国に移り住んだ。名称は『13日の金曜日』から。
・原祀霊長教會……野風たちの信仰する宗教。いくつかの宗派が存在する。最高位「座主」の地位にましらが就いている。
・不二原探題……夷崩壊後の東国の管理機関。ましらを長官として運営は野風たちが行っている。地名は奥州藤原氏から。
[警察隊]
・警察隊……国内の治安を守る組織。警察と裁判所と軍隊が合わさったような組織で、犯罪と武力に関わるあらゆる職務を担う。階級は大きく分けて、上から特務長官（非常任）→長官→次官→承官→左官。
・三大監獄……国内の重要犯罪者を収監する三つの監獄。時空の裂け目に位置する最上位の監獄「空中楼閣」、重要政治犯を収容する「海中監獄」、その他強力な囚人を収める「地底回廊」がある。他、通常の監獄も各地に点在している。
・八虐……空中楼閣に収監されている囚人を指す。最大八人からなる国家級犯罪者であり、それぞれに死刑に出来ない事情と、他の監獄では対応できない強さや影響力を持つ。
［地下世界］
・黄泉……地底深くに存在する王国。長らく伝説上の存在だったがⅥで実在が確認された。巨大な地下茎にそって蟻の巣状に地上へと伸びており、地底回廊に偶然接触したことからⅥの惨劇が始まる。中心部に奴餓鬼の生産工場が存在する。
・冥王……黄泉を統べる王。正体は旧世界の残した人工知能。溶液に入った巨大な脳味噌の形をしており、奴餓鬼たちに指示を出していた。脳の一部として使用されている奥土器「阿頼耶識」は、アテネの持つ黒いペンダントと繋がっており、冥王の悪意をアテネは浴びることとなる。ましらによって破壊された。
・奴餓鬼……黄泉に生息する一つ目ないし無眼の猿族。人間をゾンビへと変えるネクロウィルスを持ち、ごく稀に地上へ姿を現す。正体は冥王によって生産された、蒸気機関式アンドロイドであった。
・ネクロウィルス……人間をゾンビに変えるウィルス。生者・死者とわず感染し、腐敗しても動き続ける死人となる。野風には耐性があり感染しない。感染してすぐであれば、ウィルスを殺すことで回復する可能性もある。しかし完全に感染しきってしまうと、ウィルスを取り除いても死体のままとなってしまう。ルーツは23世紀に遡る。
・半地下……ジパングの地下に広がる都市。冥界信仰が盛ん。
・嫗躯……半地下の住人。Ⅰで離脱したグラムシだったが、Ⅵでこの一人となっていたことが明らかになった。
・陰府法王……20年ほどまえ半地下を始めて統一した王。リンボと名乗っていたが、その正体はエルモリアであった。
[その他]
・奥土器……狂花帯の能力を持つ武具。魔導具。死者の狂花帯を素に造られる。どこまでも伸長する棒「如意宝珠」など。
・緑衣の鬼（鬼）……王都を荒らしまわっていた謎の誘拐魔。人間を野風の体に変える力を持ち、小柄な肉体と緑のローブが特徴。Ⅰでドクター・リリがその正体であることが判明した。現在アテネが裏で二代目を名乗っている。
・人猿……緑衣の鬼によって野風化させられたヒト族。野風の肉体とヒト族の狂花帯能力の両方を持つ。本編ではましら、アテネ、モルグ、ボアソナードが一時そうであった（アテネは人間の見た目のまま、身体能力のみ野風化）。ボアソナード以外は人間の体を取り戻した。
・夷……成立予定であった独立国家の名称であり、ジパングの東国地方に該当する。Ⅱで独立国家を自称し朝廷に叛乱を起こすも、王都の軍勢に鎮圧され未達成に終わる。
・大陸/超大陸……現代のユーラシア大陸を含む巨大な大陸。ジパングよりも文明が進んでいる。四つの大国に分かれており、現在統一戦争中。
・汎……超大陸四強国の一つ。ジパングにスパイを送る。
・亜大陸……現代のアメリカ大陸にあたる大陸。エルモリアのルーツ。
前作までの登場人物
[主人公・ヒロイン]
・真白 雪（ましら）……本シリーズの主人公。戦争兵器として改造され、未来世界へとタイムスリップした。未来予知能力と空間移動能力を持つ。23世紀の現代にクローンが存在する。
・リリパット＝アリエスタ（リリ/ドクター）……本シリーズのヒロイン。国家級犯罪者緑衣の鬼として収監されていたが、仮釈放。再生能力と免疫操作能力、異常な怪力を持つ。Ⅳで釈放され、Ⅵで死亡。
・アテネ＝ド・カプリチオ……本シリーズのヒロイン。貴族の生まれであり、16歳ながら民族の代表を担う。ましらに想いを寄せていた。銀将門の細胞を持ち潜在的に驚異的な身体能力を持っていたことがⅥで判明。獄門院の変の折、虐待の記憶を取り戻し、発狂。カプリチオ貴族を皆殺しにし、意識喪失。Ⅵで目を覚ますが狂気のままにリリを殺害。エルモリアと手を組み、緑衣の鬼を引き継ぎ、皇族たちの誘拐を開始する。
[野風陣営]
・ドストスペクトラ（スペクトラ）……旧魔境の中央地区を統括していた猿族の男。野風随一の実力を持ち、ましらの武術の師。黒い毛並みと片眼鏡が特徴。
・コートボアソナード＝ヴァルゴー（ボアソナード/ボア）……スペクトラの右腕にして、獄門院の元配下。魔境では珍しいヒト族であったが、後に野風の肉体を得た。獄門院に味方した咎で地底回廊へと投獄され、ネクロウィルスに感染。屍人となりながらも最期はスペクトラを助け、崩落する回廊に埋められた。
・ユーメルヴィル……旧魔境東面の若頭。赤い毛並みとバンダナが特徴の野風。
・ニニギニミリ……色眼鏡が特徴の西面の長。知恵者で武器の扱いに優れる。ましらとは東国の旅でパーティーを組んだ仲。
・外道法師……北面の長。姦計に長けた女性の野風。
・アングラムシ（グラムシ）……南面の長でニミリの兄貴分。ゴリラのような巨体が特徴。一見温厚な物腰だが、本性は残虐で暴力的。監獄でましらの友人を殺し敵対。緑衣の鬼に半殺しにされて以来、緑色恐怖で外に出られなくなっていたが改善し、半地下での労働に従事。Ⅵではましらに協力し黄泉へ向かう。
[警察隊]
・カミラタ＝ライブラ……警察隊の隊長。放電能力を持ち、国内でも指折りの強者。生真面目だが人徳がある。
・ヴィーメルボルン＝アクアライム（メル）……警察隊の長官補。カミラタの優秀な部下であり、植物の成長速度を操る能力を持つ。褐色の肌と眼帯が特徴。東国のパーティーメンバーの一人。
・モルグシュテット＝アクアライム（モルグ）……城下の宿場「モルグ亭」を営んでいた青年。妻を失った後カミラタにスカウトされ警察隊に入団。植物性の鎧を纏い緑衣の鬼の偽者として活動していた時期があり、偽鬼の二つ名を持つ。
・ボアネルゲ＝レオンブラッド（ネルゲ）……カミラタの姪で衛生兵。リリの指導を受け、簡単な治癒能力を習得する。Ⅵでスペクトラとタッグを組み、現在は東国に配属されている。
[朝廷]
・帝/サガ……中つ國の女帝。為政者として優れた才覚を持ち、他者の細胞を取り込むことで記憶や遺伝情報を読み取る力を持つ。金銀のオッドアイが特徴。獄門院との血の契約により、春宮を次の帝として擁立しなければ死亡することになっている。
・シェクリイボーン（シェクリイ）……帝を守護する近衛兵長。混血。物質を精製する力を持つ。
・イタロ＝ヴァルゴー……元老院の一角にして帝の右腕。ボアソナードと因縁がある。
・ネヴァモア＝アリエスタ……白のツインテールと、少女のような容姿を持つ、ミステリアスな貴族。元老院の一角。ましらに興味があるようだが、理由は自分でも分かっていない。外見のわりに長命であり、最低でも2万年は生きていることが発覚した。あまりに長く生きているため、過去のことは忘れており、時々記憶が混じることがある。
・アリワラ＝ジェミナイア……元老院の青年。ネヴァモアに師事していた。はにかみ屋だが数々の浮名を流している。人間の分身をつくることができる。Ⅵでは回廊戦に責任者の一人として参加。
・ズルキフリ＝アクアライム……元老院の女性。
・ペーツォルト＝イクテュエス……元老院の老婆。魔女のような外見。
［院］
・獄門院/ヘルダーリン……ジパングの先帝。復権を図って軍を起こし、自らの死と引き換えに、自身の皇子を次の帝として即位させる確約を得た。
・春宮/エックハルト……獄門院の息子。将来皇帝になることが約束されており、現在は帝によって育成されている。
・ゴングジョード＝レオンブラッド……黒髭が特徴。元老院だったが獄門院の変で院側に付いたことで投獄。地底回廊に収監されていたが、Ⅵの騒動に紛れて脱獄を果たした。
・ザフラフスカ……五刑の内「死刑」を司る獄門院の右腕。元八虐の一人であり混血。触れた物質に肉体を変性させる。獄門院の変で死亡。
・白鵺……「徒刑」を担当する白毛の野風。複数の動物の肉体をつぎはぎした異形の身体を持つ。野風の英雄にして「銀将門」を父に持ち、その細胞を移植された人猿を探している。Ⅵで『地底回廊』から脱獄。
・ユグドラシル＝カプリチオ（ユードラ）……「アテネの腹違いの妹。カプリチオ一族を乗っ取るために獄門院についた。複数の獣の合成獣「獏鸚」を使役する。カプリチオ虐殺事件で死亡。
・ミッドガルド＝カプリチオ（ミーグル）……ユードラの双子の妹にして、アテネの腹違いの妹。ユードラとともにカプリチオ一族の乗っ取りを企てる。カプリチオ虐殺事件で死亡。
・バニラズテラ＝ジェミナイア（バニラ）……夷の元文官。夷崩壊後は獄門院の下につく。地底回廊ではユダと交流を深める。人間の分身をつくることができる。現在脱獄中。
・イスカリオテ＝カルキノス（イスカ）/ユダ……征東任務のパーティーメンバーだったが、帝の命でましら達を裏切り、夷との火種を作る。暗殺者として朝廷に雇われていたが、獄門院に腕を買われて離反。『地底回廊』でメルと交戦し、死亡。
［黄泉］
・リンボ＝エルモリア/エルロック＝シェイマス……かつて半地下を統治した陰府法王。伝説の探偵エルロックの裏の顔。冥王の配下であったが、現在はアテネに協力している。
・冥王……旧世界から生き残っていた人工知能。ましらに破壊された。
・銀将門/マサカド……白鵺の父親。最強の野風。生前は獄門院の親衛隊だった。リリに細胞を採取された野風の一人であり、その細胞はⅠでアテネに移植されることになる。死体が地下に渡っていたことからⅥでは黄泉側の切り札として奴餓鬼とともに投入され、スペクトラ、白鵺を相手に猛威を振るう。
[夷]
・クラマノドカ＝スコルピオ（クラマ）……東国地方を治める新皇。叛乱の咎で八虐として収監される。炎使い。
・ラックルクロウ＝スコルピオ（クロウ）……夷の副官。クラマの妹で、姉を慕っている。文官ながら将軍の器を持ち、恐れと妬みからクラマに心臓を貫かれる。その後、仮死状態の体を紅喰いに引き取られる。氷使い。
［本作の新規登場人物］
・オンリエドワード＝レオンブラッド……投獄されたゴングジョードに代わる新しい元老院。
・ドッペルフェルト＝カルキノス……カルキノス族の新元老院。アテネ側につく。
・呪殺祈祷衆……呪殺を生業とする集団。もとは朝廷の一機関で「五行寮」と呼ばれていた。現在はカルキノス族の所有だが、実質的に元老院の管轄となっている。
・ワンニャンアグダ＝カルキノス（アグダ）……汎国大将軍。汎の実質的な支配者であり、超大陸四強「四大君」の一人。老人だが生涯現役の予定。
・オラトリオ＝イクテュエス……アグダの三男にして汎国の六将軍の一人。
・ドクロリ……半地下の一大勢力を束ねる少女。「卒塔婆小町」の異名を持つ。
・べリサリウス＝レオンブラッド……警察隊副隊長。雷公の異名を持つ。
・早蕨王……朝廷を追放された元皇族。サジタリオ族系の力を持つ。
・ヨモリ＝カルキノス……警察隊の元副隊長。二代前の帝の隠し子であり、影響力を持ちすぎたため投獄された。琵琶の奥土器を操り、大規模な水流を操作する。男だが、見た目はクラマの色違いのよう。
