意図せぬ全裸
「……は?」
え、なんで戻って来たの? アイツどうなったの?
『どうやら力を使い果たしたようじゃな』
PCに目を向けたらそんなメッセージが来ていた。
続けて受けた説明によると、現在体はこっちの世界にある関係で向こうに降臨する際は神の力で体を構築しているらしい。なのでその構築に使った力を使い果たすと体が維持できなくなり戻ってきてしまうそうだ。
ちなみにあの影は、世界が崩壊が近づき不安定になることで発生するひずみから産まれたものだそうだ。世界が安定すれば発生自体が抑制されていくが放置していると世界の崩壊を加速させ、やがて世界が崩壊して消失すると奴等は飛散して他の世界にまで影響を与えてしまうらしい。迷惑極まりないが、それが放置できない理由だろう。最悪その影響が出た世界がまた崩壊して、という地獄のような連鎖が発生する可能性があるもんな。
一応神じゃなくてもその世界の住人によって撃破できるレベルの相手ではあるらしいんだが、現状あの世界だとそれだけの実力者は数少ないので、見つけたら倒しに行った方がいいとのことだった。
マジかよ、シミュレーションかと思ったらアクション要素まであるのかよ……まぁ神パワーで倒すのは苦労しなさそうなので作業する感じにはなりそうだけど。
「あっ、そうだ、あの子は結局大丈夫だったのかな?」
画面を見れば、少女は地面に座り込んだまま動いていない。
『呆けているようだが、体は問題なさそうじゃ』
「そっか、よかった」
せっかく直したんだから無事でいて欲しいしな。後ちょっと顔が好みだったし。可愛かったな。
『ところでじゃの』
「うん?」
『後で向こうに降臨する時の恰好を設定ちゃんとしておいた方がよいぞ』
「ん? どういうことだ?」
『いや服の設定してなかったから全裸じゃったぞお主』
はぁーーーーーーーーーっ!? 全裸!?
あれじゃああの女の子が驚愕の顔をしてたのって突然全裸の人間が現れたからか? もしかして!
……まぁ男の姿じゃなくてよかったか。以前の姿で降臨していたら猥褻物陳列罪で警察に逮捕されるところだった。あっちの世界に警察あるのかしらんけど。
とりあえず、服の設定はしとかないとな。さっきは美少女相手だから良かったが、男だった場合は見られるの御免被るし。別に女性的な意識になっているわけじゃないけど、動画とかじゃなくて生で男に胸や股間をガン見される事を考えるとワゾワ背筋が寒くなるし。というか、現代人として全裸で表で活動したくない。
と、いうかだ。
「次も当然行くみたいに言われるとイラっとくるんだけど?」
「……あれ? ここまでの雰囲気から受けてくれるもんと思っとったんんじゃが?」
「まぁ状況的にそうはなりそうだけどな。だからといってこちらの承諾も得ずに勝手に人の体を作り替えて更には炎上案件投げてくる奴の話を無条件に聞くいわれはないんだわ」
「……ワシ最高神なんじゃけど、滅茶苦茶強気にくるのぅ……」
「クソ案件持ってくる相手なんて最高神だろうがなんだろうが扱い悪くなるわ。それに俺がこの仕事引き受けないと、他に候補いないんだろ?」
「まぁ、今は、そうじゃのぅ」
「というわけでさっき話しの途中になったんだけど、メリットよこせ」
「しっかりしてるのう……まぁええじゃろ、勿論限度はあるが言うてみるといい」
「えっとだな……」




