アルバイト②
老夫婦からテキパキと注文を取って、伝票をマスターに渡す。まぁ今は食事時とは時間がずれているからお客ほぼいないんで伝票渡す前にマスター動き出していたけどね。普通に聞こえる距離だし。
「まだ若いのにお嬢ちゃん随分手際がいいねぇ」
とりあえずの役目は片付いたので、またテーブルでも掃除していようかとしたら、そう老夫婦の奥さんの方に声を掛けられた。あー……
孫って言うのはさっきマスターが否定していたけど、要はそれくらいに見られているって事だもんな。オーナーはまだ50代前半で、そこから孫の年齢を逆算すると……うん、初見はせいぜい中学生くらいとみられた可能性が高い。バイトとは伝わってるからさすがにもう中学生とは思われていないだろうけど、多分ギリギリ高校生とみられている。まぁ身長も低いしやむなし。
「一応これでも成人しているんですよ。別の所でバイト経験もあるので」
笑みを浮かべながらそう答えると、奥さんだけではなく旦那さんの方も目を見開いて驚いた顔をしていた。そんな二人にごゆっくりどうぞと改めて声を掛けて離れようとしたら、どうも興味を持たれたらしく話そのままいろいろと話しかけられる事になった。一応マスターの方に視線を向けたら頷かれたし、こういう常連っぽい人にある程度俺自身の事を知って興味を持ってもらうのはGPの収集にも良さそうなのでと、お相手させてもらうことにした。
その日は平日な事もあり、お昼と夕方ちょっと混んだ以外はあまりお客はいなかったので、軽食を取りに来た人達とかと雑談しつつ初日のバイトは無事終了した。帰ってみたらGPもちゃんと増えていたので、スタートとしてはなかなかの好感触だ。
こんな感じでやっていければ、いい感じに配信用の企画用のGPくらいは溜まりそう。よい感じだ。
◆◇
なんてことを考えていた時もありました。
「150円のお返しになります、ありがとうございました──あ、いらっしゃいませ!」
お客さんのおつりを返して頭を下げたところで、出ていくお客様と入れ替わるように入って来た新しいお客さんを迎え入れる。店内は混雑しており、空いている席は今出ていたtお客様が座っていた場所だけだったので「少しだけお待ちください」と伝えてから、急いで食器の片付けとテーブルの上の拭き掃除を行って、そこにお客さんを案内。メニューを渡してごゆっくりどうぞと伝えたところで別の席から「注文お願いします」と声を掛けられたので、休む間もなくそちらへ向かう。
──くっそ忙しいんだが!?
初バイトの日から2週間。2回目の土曜日を迎えたランチタイムの店内はくっそ混み合っていた。
店の規模はあくまでマスターと奥さんが二人でやっていた店なので、狭い店ではないとはいえ注文と決済に関して回す事はできる。ただマスターが料理を作るのでいっぱいいっぱいなので、今の俺は自分から提案してドリンクの対応や食器洗いまで行っていた。その結果店の中を縦横無尽に動きまわる店員が生み出されている。
この小さな集落なのになんでこんなに混雑!? と思うんだけど、外見ると駐車場に車が何台も止まっているのを見るし、先週も見た若い男性とかも来ている。これ結構集落外からも来ているな? いや来るお客はいるとは聞いていたけど、明らかに先週より増えている。
呼ばれた先で注文を取り、書き記した伝票をマスターに渡す。さすがに元ホテルの料理人なだけあってか、この混雑の様子の中でも手際良く料理を順に仕上げていく。賄いで何度か食べさせてもらってるけど味も美味しいんだよね、だからリピーターがいるのは納得だし、混んでもおかしくないんだけど……別に普通の週末でしかないのに明らかに先週より人が増えてるの、俺のせい? もしかして俺のせいですか!?




