表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/31

アルバイト①


「いらっしゃいませ!」


扉の方から聞こえてきた鐘の音に、反射的にそちらを向いて声を上げる。合わせてそちらに振りむけば、老夫婦が店内へと入って来たところだった。


その老夫婦はボクの姿を見て少し驚いた顔をしつつも、慣れた様子で店内を進みカウンター近くの席へ腰を下ろす。俺は事前に説明されていた通り、お冷を注いで二人の前にそれぞれ差し出す。


「マスター、お孫さんかい?」


そんなボクの姿を見てから老夫婦の夫の方がカウンター内にいる壮年の男性に声を掛けると、マスターと呼ばれた男性はにこにこと笑みを浮かべながら首を振った。


「妻がちょっと怪我をしてしまってね。しばらくアルバイトとして入って貰ったんだよ」


答えを聞いた老夫婦は、そのままマスターの奥さんの事で話しこみ始めた。それほど規模の大きくない集落だし、常連みたいなものなんだと思う。とりあえずすぐに注文をする気配はなかったので、ボクは先ほどあいた席を布巾で綺麗にしつつ呼ばれるのを待つ。


そう、今ボクはとある小さな洋食屋でアルバイトをしていた。


勿論今のボクが住んでいる早瀬集落ではない。というか4世帯(ボクを入れれば5世帯)で人口一桁の集落で飲食店なんかやったら速攻潰れる──ので、今ボクがいるのは隣の集落の飲食店である。──隣と言っても、原付バイクで30分近く走る必要があるけどね!


この隣の集落はそこそこの規模があって、三桁とはいわないけどそれに近い数の世帯があり、人口は三桁を軽く超えている。それにこの集落は近くを国道が走っており、また店主は以前はホテルの厨房で働いていたようで腕も確かなので、そこそこ国道を通る人たちの中にもリピーターがいるらしい。少し近くに早瀬集落以外の集落もあるしね。


で、丁度そのお店がアルバイト募集をしていたので応募したんだよね!


理由は勿論力を貯める為……と後ついでにお金を稼げれば一石二鳥というわけで。今はまだ貯金あるけど、現状今後の収入が未知数すぎるからなぁ……配信の収益がどうなるかは未知数すぎるし、そもそもさすがに最初の内は収益化してもそこまで期待できないだろう。家賃を気にしなくていいとはいえ配信関係で欲しいものがいくつもあるし……


あまり有名になったあたりだと迷惑かけることも考えなくちゃいけないけど、現状の視聴者数を考えればこの集落や近くの国道から立ち寄る人間の中に配信者としての俺を知っている人間がいる可能性は限りなくゼロに近いと思う。集落は早瀬集落ほどではないにしろ年齢層高めではあるし、店に来るのはその中でも高めの人たちが多いから猶更ね。ついでに言えばご時世柄マスクつけての接客となるから、より気づかれない。一応配信の時とはちょっとメイクの感じも変えてるし! 最悪気づかれても集落の人たちなら黙っていてもらうことも可能だろう。


これで配信での知名度があがるまでの数か月だけバイトしていろいろ稼ぐって寸法よ!


そういう意味では、今回のバイト募集はマジでラッキーだった(ケガをしたマスターの奥さんには申し訳ないけど)。向こうもこちらも働きたい(かせたい)のは数か月なのでwinwinの関係だよね! あとはこれでお客さん……主に常連さんからどれくらい力を集められるかだけど……これはまぁ検証かな。今後の指針を決めるデータにもなるわけだし。


あ、ちなみにちゃんと配信とかをやっているのはマスターに断ってるので無問題です!


「日向さん、注文を取って貰っていいかな?」


テーブルを拭いていると、気が付けばマスターと老夫婦の視線がこちらに向いていて、マスターからそう声を掛けられる。あれ、話し込んでたしその流れのままで注文をとってるかと思ったら、こっちに振ってくるんだ。まぁ今日バイト初日だし、出来るだけボクに経験詰ませたいのかな?


ま、お仕事だし指示を受けたら勿論しますよっと。学生時代の飲食店でのバイト経験(一年程)持ちの実力を見せるとしましょうか!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ