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神としてのメリット

持ち上げられたシャツの裾を掴んで下げようとすると、姉貴は特に抵抗はせずに手を離した。そして下腹部を見ていた視線をこちらへと上げてくる。


「ともかく、服に関しては解ったわ。ただ見た目の割に胸はそこそこあるからちゃんと図っていった方がいいわね。メジャーある?」

「いや、ないけど」

「ふむ、仕方ないか。コンビニで後で買ってくるわ」

「……そこまでちゃんと図る必要がある?」

「そのサイズならブラは着けとかないとだめだし、それだったらちゃんとサイズあった奴にしないとだめよ」

「そーゆーもんか」


てか、マジか。俺がブラ着けるのか。いや今の姿を考えれば着けるのはおかしくないんだけどさ。マジかー。まあでも家の中でも動き回ると胸揺れるし擦れるからな、仕方ないか。


「一応下着いくつかと、服を2~3着か買ってくるわ。追加は後で一緒に買いに行きましょう」

「解った」


外に出れるようになったら自分一人で買いに行くのでも構わないけど。まぁ助言はしてもらった方が助かるかもな。

んで、とりあえずこれで一番急ぎの用件はいいとして。他にもいろいろ語りあわないといけないことがある。


そこで一度お腹が鳴ってしまったので一度話を中断し、姉貴が買ってきてくれたもので腹を満たしてから改めて俺達は相談を再開した。


「あ、でもその前にちょっと試したい事が」

「何?」


とりあえず状況説明と服の事を話す事が意識の最上層にあったので忘れていたが、試したい事があった。話始める前に確認しておいた方がいいだろう。全部話し終わった後だと忘れそうだし。


俺はテーブルを挟んで反対側に座っていた姉の方に膝立ちで近寄る。


「ちょっと横向いて、眼鏡外して目を瞑ってもらっていい?」

「いいけど?」


俺の言葉に姉貴は何の疑念を抱いた様子もなく、眼鏡をはずしてテーブルの上に置くと体の向きを変えてから俺の方に向けて目を閉じた。


……肉親としての贔屓目を抜きにしても、整った目鼻立ちしてるよなー。これでろくに男の影がないのってなんでだろ……ってそうじゃねぇ。


余計な雑念を振り払うと、俺はゆっくりと姉貴の目を覆うように手を翳し、思いを込めた。「治れ」と。


それと、同時。体から何かがちょっとだけ抜けていく感じがする。脱力、といった感じではないが、とにかく何かが抜けていく。


えっと。うまく行ったかな?


「姉貴、目を開けてみて」

「ん」


小さく頷いて、姉貴はゆっくりと目を開いていく。そして、俺の顔を見つめ──大きく目を見開いた。


「どう?」

「……冬樹の顔が良く見える。眼鏡かけてないのに」


……よし! 成功だ!


姉貴は周囲をキョロキョロと見回し、眼鏡を一度かけて目を顰めてから置きなおすと、俺の方に向き直って


「冬樹が治してくれたの?」


姉貴の言葉に俺は頷く。


「こっちの世界でも少しだけなら力が使えるらしいんだ。一応最高神にも、ある程度なら力を使っていいって許可は貰ってる」

「ある程度って」

「身の危険を感じた時の為の自己防衛の為とか、後はあまり大きく環境や人間に影響を与えない行為ならいいそうだ。ただしこういった直接的な力の使用は特定の相手のみとするようにとは言われたけど」

「特定の相手って?」

「俺の正体をばらして問題ない相手。……俺が大事に思っている相手だよ」


これが、神から許可を貰ったメリットだ。本来この世界の自然現象や常識に反する力を自身に直接関与する場合を除き使用はできないのだが(それはこの世界の神の領域に対する越権行為となるため)その辺の制約を緩くしてもらったのだ。だから例えば地震を防いだりとかは駄目だけど(そもそもそこまでの力は使えなうそうだが)近所の公園の水を浄化するくらいだったらOKになっている。(最高神からこの世界の神に話を通しておいてくれるそうだ) ちなみに特定の相手云々はそもそも噂が広がってこの世界の神への信仰を奪わないためである。勿論俺もやる気はない。そもそもそういうの、一度手を出すと際限がなくなるからな。


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