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ブラコン姉弟

──だいたい10分後。


「成程、概ね理解したわ」

「いや理解早すぎね!?」


それまで概ねだまって俺の話を聞いていた姉貴。そうして一通り事のあらましを一通り聞き終わった姉貴の口から洩れた言葉に、俺は即座に突っ込んでいた。


「理解が早くて何か問題でも?」

「いや、自分で話しておいてなんだけど荒唐無稽すぎてそう簡単に信じられる話じゃないだろうよ……」


俺の言葉に、姉貴はくすっと小さく笑いをもらす。


「内容が荒唐無稽とかは関係ないわよ。仕草とか話し方、それに私達姉弟しかしらない事もしっていたんだから貴女は私の弟の冬樹で間違いない」

「いやまぁまずそこをすぐに信じてくれたのは本当にありがたいんだけど……」

「冬樹だとしたら、嘘を言っているか言ってないかなんてすぐわかるわ。そしてさっきから冬樹は一切嘘はついていない。であれば信じない理由はないわ。私は貴女のお姉ちゃんなのよ?」

「うっ……」


慈愛のこもった瞳でそういわれ、俺の口から思わず呻きが漏れる。


……そう、こういう人なのだ。ぶっちゃけ俺の姉、夏芽は重度のブラコンである。俺への愛情はかなり強い。勿論家族としての情だけどな。


ちなみに恥ずかしい話だが、俺もシスコンの気はあると思う。前に友人に言われたが、ウチ位仲のいい姉弟も珍しいらしい。


まぁこの仲の良さは、二人きりで過ごした事が多い家庭事情が要因としては大きいと思うが。


我が秋篠家は、母親を早い時期に失くしている。そして母親を亡くした後は父親はその事実から逃げるように仕事に打ち込むようになってしまった。あげく、姉貴が高校にあがって少ししたら海外赴任してしまっている。


なので、記憶の中で俺の面倒を一番見てくれたのは間違いなく姉貴なのだ。まぁ母親は可愛がってくれた記憶が残っているが、父親に関しては生活費を振り込んでくれる人位の感覚しかもっていない。

恨んでいるとかそういうこともなく、偶にあう親戚のおじさんくらいの認識だ。


そんな状態だったので、世間の兄弟よりは親しい関係が築かれたのだろう。その関係は成人した今でも続いている。俺が通学の関係もあり一度家を出たから今は同居はしてないけど(今の会社は実家から通えない距離でもなかったから、いつでも戻ってきていいんだぞとは言われていたが)


「納得した?」

「この状況下で俺の方がそのセリフを言われるのはおかしいとは思うけど、うん……」


まぁ本来なら説得に死ぬほど苦労するところをショートカットできたんだから、良しと考えよう。


「でも、性別まで変わってるのに戸惑いはないの?」

「戸惑いがないとはいわないけど、別に男だろうと女だろうと冬樹である事はかわらないもの」


愛情が強い。俺は間違っても家族の愛情を貰えなかったなんて戯言を吐くことはできない。


「あと早々に私に連絡をくれたのは嬉しかったわね。頼れる人で真っ先に浮かんだのが私って事でしょ?」

「……うん。真っ先というか正直このフザケタ状況かで頼れそうなのが姉貴位しか浮かばなかった」

「ふふ、冬樹には悪いけどちょっと嬉しいわね。最近冬樹あんまり甘えてくれなかったし、いくらでも甘えてくれていいのよ?」

「この年になって甘えるって、といいたいところだけど悪いけど今回は甘えさせてもらうことにする」


正直今の状況だと俺一人ではどうにもならないので。


「とりあえず、服を買ってきて欲しいんだ。じゃないと外に出る事もできない」


他にも頼みたい事もあるし、そっちは更に迷惑をかける事になると思うんだけど、なにはともあれ服だ。外出できる恰好を入手しないと何もできないし、家の中にいるにしたってシャツ一枚の今の状況は脱却したい。というかせめて下着は着けたい。


「ふむ……ちょっと立ってもらっていい?」

「わかった」


 サイズを確認するという事かな。話が早くて助かる。俺は姉貴の言葉に頷いて立ち上がる。

 その俺の姿を姉貴はじっと眺めて、それから膝立ちになって近寄ってくると──


 ぺらりと、シャツの裾を大きくめくりあげて来た。


「ちょ!?」

「ふむ、ちゃんと女の子の体なのね。神様っていう話だから無性かもと思ったんだけど」

「口で聞けばわかる話だろ!?」

「まぁそうなんだけどね。というかシャツの下何もつけてないのね」

「下はサイズが合わないし、上は俺が持っていたらおかしいだろ……」

「というか、外見幼いからこっちの方も幼い……」

「おいやめろ」


姉貴そういうこというキャラじゃないだろ!



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