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(仮)幻影の記憶  作者: 水瀬 凛
第一章
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新たな出会い

 隆二は普段、地元の広告会社でデザイナーとして働いている。忙しい日々の中で、時折デスクに飾られた美咲との写真を眺め、彼女への想いを新たにすることが日常の一部だった。彼には親友の健太という人物がいて、彼とはよく居酒屋で仕事のストレスを発散させていた。


「今日は珍しくアート展にでも行ってみるか、健太はどうだ?」


 と、いつものように誘ったが、健太は「今日は先約があるからパスだな」と軽く言って電話を切った。


 その日は気温もちょうどよく、隆二はその足でアート展へ向かうことにした。彼にとって、アートは美咲の影響を強く受けており、彼女がよく絵を描いていたことが懐かしく思い出される。展示会場に入ると、一枚の絵に心を奪われる。それは青と白の濃淡が見事に調和した海の絵で、どこか美咲のタッチに似ていた。


 そこで立ち止まって絵に見入っていると、隣に立っている一人の女性に気づく。長い髪を後ろに垂らし、静かに絵を見つめている彼女は、優雅な佇まいを持ち、どこか美咲の面影を感じさせた。


「この絵、素敵ですよね」


 とその女性は静かに話しかけてきた。声が美咲に似ていることに驚いた隆二は、思わず


「はい、どこか懐かしさを感じます」


 と答えた。


 女性は優奈と名乗り、この展覧会に出品しているアーティストの一人だった。彼女はキャンバスに描かれた一つの物語を嬉しそうに語り始める。その姿に隆二は心を引き寄せられ、自分でも信じられないような親近感を覚えていた。


「この絵には、”大切な人との再会”というテーマが込められているんです。」


 優奈の言葉に強く惹かれた隆二は、「まるで運命のようですね」と笑顔を返した。


 二人はその後も作品を一緒に見て回り、絵に込められたそれぞれのストーリーや、描いた背景などについて語り合った。時間を忘れるほどお互いに夢中になって話し込む中で、隆二は優奈に次の展示もあることを聞いて、また会う約束をその場で交わした。この出会いが彼の心に新たな灯をともすとは、まだこの時は知る由もなかった。


 日常に戻った隆二は、絵を通して過去の記憶が少しずつ癒されているのを感じながらも、優奈との再会を心待ちにするようになっていた。同時に、彼は自分の中で何か新しいものが芽生え始めているのを強く意識するようになった。

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