3言目 やば女の名前可愛いなっおいっ…
まだ出てないやば女の名前もう3話なのに、
「どちらさまって……!!!あなたが私たちを攫ってきたんでしょう!!!」
「えっえっえっ!?!?ち、ちがっ??わ、わた、私が喚んだのは聖女さまだけでっ!?!??どうして!?!?!?!??」
「また、聖女ですかっ!!!いい加減にしてください!!!!!」
「えっ、えっえっえっ????な、なんで???なにごと????」
はぇ〜頭抱えて混乱しとるなこのやば女……。でも、そりゃそうか喚んだはずの無い人間がいりゃあこうなるわな。分かるわ〜…。私も、海獣のタンちゃんだけ召喚したつもりで、サンちゃんも付いて来たときはやっべーって焦った事あったわ~あんときは、どうなる事かと思ったなぁ。と、何だかしみじみ心の中で共感し、ぼぉっとやば女を見ていると、その様子が、不安そうにでも見えたのだろう、聖川さんがこちらを向き優しい微笑みを浮かべ、話しかけてきた。
「心配しないでいいよ、水野さん。水野さんの事は、私が絶対に守るから安心して」
「へぇっ!?!!?あぁ……ぁぁ ぁり、がっとうっごっっざいま、しゅぅ………。」
「うんっ!まかせて!!」
聖川さんは、冷や汗をかき、どもりながら目を逸らし、小声でお礼を言った私を、引かずに優しい微笑みのまま対応してくれた。対応が私より神である。ひ、光属性すげぇな。心の中で拝んどこっ。ご利益ありそうだし、南無南無…。聖川さん、ごめんなさい…南無南無。はじめて、しゃべるのに、こんなどもって…南無南無。心配して声をかけてくれたのに…南無南無。私がコミュ障なばかりに…南無南無。
私が、南無南無と、感謝の意を心の中で示して拝んでいた時に、聖川さんはキッと前を見つめ、未だ混乱中のやば女を見て問いかけていた。
「それで、どうなんです?」
「へっ?」
「とぼけないで!!どうして、こんな所に私たちを攫ってきたのか理由を話してくれるんですよねっ!!!!」
私を抱き寄せている手に力が入る。そして、気づいた手が震えていることに。
(聖川さん、不安なんだ……。そりゃそうか、普通の人間だもんね。当たり前か…。)
そう思いながら、そっと聖川さんを伺ってみる。
(自分も不安なのに、不安そうに見えた私の事、守ろうとしてる。必死になってこのやば女に立ち向かってくれてる…。まぁ、実際はぼけっとしてだけなんだが…。必死に、毅然とした態度をとって、平気なように振る舞って、負けないように、私が安心できるように、不安にさせないように頑張ってる……。まだ、こんなにも幼いのに、弱味なんか見せないように。頑張って誘拐犯と思ってるやば女と話してる…。なんか、私、情けないな……一応、女神なのに………。よしっ!もう、こうなったら、最終手段だっ!この次元の壁とアースの次元の壁を無理やりぶち破って、次元繋げて、聖川さん連れて帰ろうっ!帰った後は、アースの方の穴だけ塞ぎゃアースは世界崩壊しないし大丈夫でしょっ!、こっちの穴は、知らんっっ!!知り合いの世界でもないっ、問答無用で、無理やり連れてこられた、この世界がどうなろうが、私の知ったこっちゃないしっ!魔法に関しても、聖川さんには、「私、実は世界に通じる手品師を目指していて、今までのことは全部、私の手品です。ごめんなさい。」とか、誤魔化しゃいいでしょ!誤魔化しきれなかったら、《忘却魔法》と《記憶改竄魔法》をかけりゃいいし…問題ないなっ!!じゃっ早速、アステリア様に連絡を……)
と、なんだか、落ち込みながらこれからの事を色々と考えて、実行に移そうとしていると、やば女の声が聞こえた。
「もっもちろんです!!聖女様にはこの世界の命運が掛かっていますからっ!!!」
「またっ!!!!……ふぅ。もうそれでいいです。怒ってまた、話が進まないのもあれですし、取り合えず、まずはあなたの名前を教えていただけますか?」
「あっ、失礼しましたっ!!私の名前は、リリティアンヌ・トゥワイドと申します。気軽にリリィとお呼びください、聖女様。」
「あの、その聖女って言うのやめてくれませんか?」
「…では、お名前をお伺いしてもよろしでしょうか?」
「名前ですか?……まぁ、聖女と呼ばれるよりましか……。私の名前は聖川世恋と言って……、あっリリィさんは外国の方みたいだから…、間違えました、セレン・ヒジリカワと言います。ヒジリカワでも、セレンでも、好きなように呼んでください。」
「では、セレン様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「お願いします。」
話が進んでいく様子を横目で見ながら、さっきまでしようとしたことを忘れ、私は………、
(やば女の名前可愛いなっおいっ…)と
呑気にも思っちゃったりしていた。
やっと出たやば女の名前。




