1言目 なぜに巻き込まれにゃならんのか!?
皆さんに楽しんでいただけたら良いなと思います。
私は目の前の光景が嘘だと信じたかった……。
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その日は、本当についてなかった。
朝は、あと3分で家を出なければ遅刻確定の時間に目覚め。慌てて、支度をして家を出て走っていると、犬の糞を踏み。それに叫んで、立ち止まっていたら頭に鳥の糞。それを公園で洗い落としに近くの公園によったが為に、遅刻確定。先生に怒られた。あれ、目の前がにじんで………くすんっ。
昼は、朝の寝坊騒動で、お弁当を忘れた為に食堂で日替わりランチを食べようとしたら前の人で売り切れた。かけうどんを食べた。日替わりランチはしょうが焼き定食だったらしい。私の好きな物だった。絶望した。ちくしょうッ!!!!
放課後、警戒しながら帰路につく。しかし何事もなく家についた。安堵した。ベッド上に寝転がり日課のソシャゲをしようとスクールバックをあさくるもスマホは見つからず、そういえば学校で扱ってそのまま机の中に入れたのを思い出す。やっべ。
今日でソシャゲのイベントが終わってしまう為、急いで、学校に取りに行く。机の中を覗くとあった。そう思い、スマホを取ろうとしたとき、いきなり教室の床に、青白く光輝く私の知らない魔方陣が、出現し、眩しくて目を閉じ再び目を開けると、教室ではなく知らない場所だった。
その日は、本当についてなかった………。
***
目を開けた目の前には、教室とは似ても似つかない大聖堂のように広く美しい光景が広がっており、聖母マリアのようなものを象るステンドグラスからは暖かな光が射し込んでいる。ふと、その直ぐ下辺りに目をやると、一人の女性が光に照らされ佇んでいた。
その女性の容姿はまるで星を散りばめたかのような白金の髪に空を写したような瞳。肌は白く艶めいている。身体はたゆんと弾みそうな豊かな胸にキュッとしまった細い腰それに、プリっと上がった形の良い臀部。服装は神官のような恰好をして、その色は純白を基調としている為神聖な空気を纏っていた。まぁ端的に言うとものすげぇ美女であった。
そのものすげぇ美女は天使のような清らかな微笑みを携えたあと、天を見上げ右手に拳を作り思い切り突き上げならこう言った。
「よっっっしゃあああああぁぁぁ!!!!!成功じゃぁあああああぁぁぁ!!!!見たかっ!?このボケカスどもがぁっっっ!!!!」と。
私は目の前の光景が嘘だと信じたかった……。
ものすげぇ美女がものすっっっごくやべぇ美女にジョブチェンしたことを………。
(なにこの人っ!?こえぇーーーーーーー!!?何でそんなに、見た目聖母か聖女みたに清らかなのに言葉遣い悪いの!?えっなんなの、なんでそんな怖い感じで高笑いし続けてるのっ!!!!?深淵でも覗いたの、覗いてはいけない何かを見てしまったの!!?そういえばなんだか目が逝ってる感じがあるけども!!?怖いっ怖いよこの人!!!というかここ何処よ!?教室は!?私のソシャゲは!?イベント最終日なのになんでっこんな所のいるの意味わからん!?それにあの見た事ない魔法陣!!!!?まさかっ!?いやあり得ないっそんな事あるとでも!?!?だって私は……っ)
「あっあの〜」
混乱の中にいる私の左側から聞こえたのは、軽やかで、可愛らしい声だった。
その声が聞こえた途端に高笑いしていた、やベぇ美女が高笑いをピタリとやめ、最初に見た清らかな微笑みで声の主の方を向き、
「なんでしょうか?」と聞いていた。
(こいつ、変わり身はえーよっ!?怖っ!?)と
私は思いつつも、混乱中の頭を抱えながら私も声の主が気になり、左に顔を向けた。
そこにいたのは、ブレザーの制服を着ている、華奢だが健康的でしなやかな身体に二重瞼の大きくぱっちりとした新緑の若葉色の瞳に、ぷるぷると瑞々しく潤った唇を持ち、さらさらで真っ直ぐに伸びる桜色の髪は肩につくぐらいのボブで整えられており、清純さを感じさせる少女がいた。
(いや、少女がいたって、このひと、クラスメイトの聖川世恋さんじゃないですかっっ!!!?!!?)
聖川世恋とは、私のクラスメイトであり校内一の美少女と知られる存在である。
(なっんでこんな訳わからんところに、聖川さん???魔法陣の中にいたっけ???あっそういえば、スマホを取りに行ったとき、教室にいたような????えっ何、聖川さんもあの魔法陣に巻き込まれたってこと!?!?!!?あの訳わからん知らない魔法陣に!?!?!!!?)
私は美女ショックと聖川さんショックで混乱が頂点に達し頭がパーンとなりそうになった。
しかしその混乱も聖川さんとやべぇ美女のやり取りで、徐々に収まっていき、そうして理解していく。
「ここはいったいどこなんでしょうか?さっきまで教室にいたんですけど?それにお姉さんは誰ですか?その恰好も……コスプレ?」
「ふふっ混乱するのも無理はありません聖女様」
そういうとやべぇ美女は一歩一歩と聖川さんに近づいていく。
「聖女?」
「ここは、セルファルーナのミストリアス王国神殿。聖女様のいた世界とは異なる世界にございます。」
一歩一歩と、
「異なる世界って……えっ」
「そして、この世界は今、深刻な危機的状況にあります」
聖川さんの目の前まで来て座っている彼女の目線に合わせるためにやべぇ美女は膝を折り彼女の両手を握りながら真剣な眼差しでこういった。
「どうかこの世界をお救い下さい伝説のセルファルーナの聖女よ」
「えっ?」
私は、理解した。呼ばれたのは聖川さんで巻き込まれたのは私ということを……。
人間名水野透高校1年生15歳、真名ユーティカルナリア・ポセイドン・アトランティス。異世界の聖女召喚の儀に巻き込まれた、別世界の女神です。
私は一言こう言いたい。
なぜに巻き込まれにゃならんのか!?と……ホントになんで???
異世界巻き込まれ好きなんです。