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ロマンスカー

作者: 雉白書屋

 トゥルットゥットゥ、トゥールールゥー、ルールー、ルー、ルー、ルー、ルゥ

(※BGM『世界の車窓から』)


 ロマンスカーUCSE。『Upper Class Super Express』の略称であり

『上流の』という意味を持つ『Upper Class』を頭に、名付けられたその列車は

七両編成。一列四席で通路を挟み左右二席ずつ。

その名に相応しい、ゆったりとした座り心地。

各座席にコンセント、足元には照明があり安心安全。

展望席は大きなガラスで、なんともダイナミックな眺望を楽しむことができます。

 内装だけでなく、その外観も見る者の目を奪う、黒と金の豪華な仕様。

 そして、各座席から見下ろす川はまさに絶景。

ここでしか見ることができないその光景に乗客たちは

はしゃぎ、踊るように窓に張り付きます。

 一方、走る列車に向けられる外の者たちの視線は羨望そのもの。

河原にいる子供たちは手を止め立ち上がり、列車に手を振ります。

 大人も同様。その豪華さにあてられ

届かないと分かっていてもつい手を伸ばしてしまうのです。


 列車は止まることなく、容赦なくその体ごと轢いていき

ぶちまけた臓物が大きく跳ね上がるのを目の当たりにした乗客は大興奮。

 思わず窓を開け、列車の外へ体を突き出すその姿は列車と相まって

見る者の脳に寄生された芋虫を彷彿させます。

 そして、迫る列車に上げた悲鳴と乗客の笑い声が、とても素敵な二重奏となるのです。


 船に乗ることを許されず、泳いで三途の川を渡ることを強制された

罪人たちを轢くその列車はあの世で一番人気の娯楽。

 上流から下流までを走るのですが時々、勢い余って現世へと出てしまう事もあり

その魅力に引き寄せられた現世の者を線路へ、三途の川へと誘うのです。

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