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第2話
馬の足音が聞こえてきた。
「父さんだ!」
「え!うそ!こんな早くに帰ってこないわ」
父が帰ってきたのだ。
ムンクはすぐにそう判断した。
母は今日の帰りは遅くなると言っていたが、
ムンクは父だと思った。理由はない。ただの勘だ。
だが聞こえてくる馬の足音からして、1頭だけではない。
2頭いる。
ムンクは急いで家から飛び出した。
「父さん!」
家から少し離れた場所からこっちへ向かって、乗馬した
父、ヘンゼルだった。右手を上げて、ムンクの呼びかけに応えた。
「おー、帰ったぞ」
父の隣の大男も父に続いてムンクに声を掛けた。
「ムンクー!元気してたか!」
やはり父は馬に乗って帰ってきていた。
そして、もう1頭の馬に乗った人物の正体は
ムンクの家族と昔からのよしみであった、
アレクであった。
アレクは偉丈夫であり、剣の達人である。
父の馬よりも一回りも大きな馬に乗っている。
アレクの馬の名前は「カラカラ」と呼ぶ。
名前の由来はその馬が「カラカラ」と唸るから。