00007 : わ~い、お爺ちゃんとお出掛けでちゅ (強制)
爺ちゃんに乳母車から抱き上げられつつ降ろされた。
「立てるのじゃろ?
誤魔化す必要は無いぞぇ、我が一族では伝承として受け入れられておることだてな。
我が一族では無のじゃがの、数年前に大陸北東部にて、成長の早い赤子が産まれておる。
その子は既に狩り人として狩りも経験しておるそうじゃて。
まぁ、強要はせぬが…慶が猟師、いや狩人になって貰えたら嬉しいんじゃが…
政府はなるべく奥地を確保したいようなのじゃが、奥へ行くほどに獣が強くなるでのぅ。
っと言っても、最近は人里近くへは猛獣が現れてはおらぬのじゃが…
これが続けば助かるのじゃがのぅ」
あっ!それ…僕ちんのせいれすね。
魔術の実験なんか色々と行ってたらさ、恐れて奥地へと逃げてったんだよ。
あいにく、俺の脳内知覚による探査範囲には限界があってだね、その範囲外へとさ。
まぁ、日々探査範囲は広がってますからね。
その内に、再びご挨拶することもあるでしょう。
超能力じゃないけどさ、サイコキネシス擬きで物を持ったりもできますからねぇ。
触感も感じられますよ、はい。
でぇ、もふもふを堪能したりもね。
いやね、小動物たん達は、もふもふも、魔法による洗浄も、ブラッシングも受け入れてくれるんだわさ。
なんか達観した遠い目になっている気がしますが…気にしてはいけませぬ。
でぇ、彼らは、ふわふわ、もふもふっでね、非常に気持ちがよろしい。
なので、手入れを受け入れた個体は俺の庇護下へとね。
一部は亜空間へと招いておりますよ、はい。
狼の一部は受け入れてくれたんだが…ネコ科の獣が嫌がって逃げ去ってねぇ。
いや、綺麗キレイにしてあげただけじゃんね。
何が気に入らなかったんだろね、ふぅ。
っうことをしていたらさ、猛獣レベルの生き物の気配が薄くなってしまった訳ですよ、はい。
まぁ…こんな話はできないけどねぇ…
まぁ…乳母車から出されて立たされた訳だけど…両親と違って誤魔化せないから普通に立ちましたよ、はい。
「お爺ちゃん、初めまして。
慶です、よろしくです」ってね。
いや、両親が目を引ん剥いて大口開けて固まってんよ。
まぁ…生後9か月の赤子の所業じゃねぇわなぁ…
「やはりのぅ…して、慶よ。
離乳食では足りぬであろ、我慢は成長に良く無いでな。
そろそろ晩時じゃて、食事へ行くかえ」
爺ちゃんが、そんなことをね。
「お父様、お待ちいただけます?
流石に家にお金を使い過ぎてまして…我が家で用意いたしますので外食は…」
家計を預かるお袋様がね。
まぁ、1億全てを当てにはして無かっただろうが、全てが家の購入資金で消えるとは思って無かったんだろう。
そうなると、気楽に外食するほどに、我が家の家計は潤沢とは言えないかんなぁ…
「心配するでないわい。
儂が出してやるでのぅ。
最近、猪の大物を狩ったばかりでのぅ。
何故か知らぬが、病気もなく毛皮の状態が上々の個体でな。
これが実に良い値で売れたのじゃて。
故に資金は潤沢でな、大船に乗った気でおるが良い」
そう告げて微笑んでいる。
いよ、爺ちゃん、お大尽!太っ腹っ!
まぁ、確かに腹回りが太いかな?
っか、その猪って…多分さ、俺がお手入れした猪さんだよね。
でも…数百匹ほどの猪さんを手入れしたからさ、その内の一匹が狩られてもね。
しかし…猪…増え過ぎやろ。
まぁ、雑食の猪は木の実やイモなども食べる訳で…
最近は森の木々へも治癒術を掛けてたりするかんね。
森が豊穣状態となって、色々と実りがさ。
そのせいか、安芸領以外から猪が集まってたりする。
いやね、猪を狩る猛獣が、何故か奥地へと逃げ去ってかんなぁ。
天敵も少なくなっているからさ、今は猪天国状態と言って良いだろね。
しかも、猪って意外とキレイ好きでねぇ、お手入れしてやると喜ぶんだよ。
なので日々のお手入れは欠かしません。
脳内認識による魔術行使ならば手間でもないしね。
精霊さん達も面白がって手伝ってくれるし…
っかさ、このお手入れ目当てに集まってるって精霊さん達が言う訳よ。
まさかねぇ…
そんな猪さんの中の1頭を爺ちゃん達が狩った訳だけど…それってさぁ、俺の手柄でもある訳では?
言わんけどね。
でぇ、爺ちゃんに連れられて…料亭?いや、大丈夫なの、ここ。
お値段は高めだよね、お金足りるのかな?
「ここは政府の役人達と会合を行う時に使うておる店じゃて。
融通も利くでな。
先日、獣の姿が消えた話をするのに合うことになっておってのぅ。
息子夫婦と孫に会った後ったら連れて来いっとな。
まぁ、あちらさんの計らいじゃて、鱈腹いただいても勘定はあちら持ち。
気にせず食らうと良いぞい」
いやいや、そんな会合に連れて来るなよなっ!
ってもさ、既に暖簾を潜った後でのカミングアウトにて、既に逃げ場は塞がれたってか?
不山戯んなぁっ!
まぁ仕方ない、3歳児って態で行動しますかね。
間違っても生後9か月と悟られてはならない。
っても…着ているのが赤子用の衣服だったりするのだが…着ている三歳児も居るよね、ね?
ダメ、かなぁ…
ええい、ウジウジと考えていても仕方ない。
ここはぁ…腹一杯食うぞぉっ!