00055 : 文明開化の香りがする…かな?
意外と色々な出来事が頻発した2年生だったが、そんな学年も既に過ぎ去り3年生の8歳となっております。
世の中が急速に変わりつつある現在、時代について行けない方々も現れ始めているようなんだ。
生活へ文明の利器である家電商品が浸食しつつあるのに、旧態依然とした生活を送り家電浸食を良しとしない方々もね。
不便でも慣れている方が良いっと言うことらしい。
生活1つとっても昔通りの生活では時間が掛かるもの。
スピード感の向上した生活を送る者達と旧態依然としたスローライフを送る者達との扱える時間格差がね。
生活速度…意外と馬鹿にならない。
水道1つでもそうだ。
未だに井戸から釣瓶を使用して水を汲んでいる所もね。
ポンプでも時代遅れと言えるのに、釣瓶にて水汲みって…
当然、井戸を使用する人達は水汲みに時間が掛かることとなる。
最新技術では蛇口レバーを上げれば水が出るからね。
しかも上水道は不要。
それは何故か?って?
前世世界とは違うのだよ、前世世界とはっ!
この世界には符術とか法術が存在する、つまり護符と法陣の技術がさ。
更には真那燃料と組み合わせれば、旧文明の魔術を再現可能なのさ。
つまりはだ、術式を組み込んだ蛇口へ真那燃料からの真那を通せば、術式にて魔術が発動して水が出るという寸法だ。
この技術にて冷水から熱湯まで自由自在に蛇口から注げるのだから素晴らしい。
給湯器やボイラーなどの設備は不要。
全て蛇口毎に組み込まれた術式でお湯自体を生み出すからね。
上水道と給湯器などの施設が不要なのと同時に下水道も不要となっている。
ここへは有能便利なスライム君を組み込んだユニットが活躍ってね。
一応は汚水や汚物を流し込むタンクが必要とはなるのだが、そこへ封じ込んだスライム君がね、それらを浄化してしまうんだ。
後には浄化された水と臭わない肥料に適した砂土が残されることにね。
後はタンクへと付与した術式にて水を気化させ、砂土は術式へ操られ流砂となり回収ユニットへと。
ただし課題も存在するんだ。
水の気化は湿度上昇をもたらすし、砂土回収には人手が必要となる。
これは真那ボンベの配達に通じる物があると言えるだろうね。
前世世界でもプロパンガスを使用していた家庭へはプロパンボンベを配達している方々が居たので、似たようなシステムと考えれば良いとも言える。
水分気化に対しては、逆に湿度が高過ぎる空気を集め水とする施設を設けることにより、解決可能とする目途が立っている。
ただ、この施設を設置すると雨が降ると言うことも無くなる可能性がね。
過剰な湿度は軽減されて常に適切な湿度へ保つことが出来るんだけど、範囲に気を付けないと雲自体が湿度の塊だから雲までも除去してしまうんだよ。
降って来た雨も同様だね。
まぁ、これは建物施設や道路などの場所を限定して、それ以外を除湿対象外にすれば問題を解決できるとされたのだけど…そんな都合が良い術式は無いからねっ!ったらさぁ。
無ければ創れば良いじゃないですかっと。
だからさ、創ってくれんのかなぁ~っと思ってたら…丸投げされました。
なんでじぁぁぁっ!
まぁ、ねぇ…俺ほどに護符や法陣に精通している者は居ないかんなぁ~
結局は、俺が研究開発しましたよ、ええ。
偉う苦労したけどなっ!
こんな感じで水回り1つ取っても大改革と言えるほどに技術革新が進んでいる。
なのに井戸を使用し、汲み取り便所で用を足す者も居る訳で…
風呂も最新式家屋ならばボタン1つで湯を短時間で張ることが可能だし、追い炊きも術式にて可能。
温度調節もレバー調節で行えるし、危険温度へならないようにロック機能も付いてるからな。
井戸組には風呂を用意するのは難しい者も。
だから行水で身を清めたりしているぞ。
身を清潔に保てるかっと言うこと1つにおいても格差が。
そして炊事。
米を炊くのに電子炊飯器を使用すれば容易く炊けるのが最新式。
なにせ米を炊飯器へ入れれば洗浄から給水、炊飯まで全て全自動だからね。
別売りの自動脱穀機を使用すれば、籾殻付きの米を入れれば脱穀から精米まで行ってくれるし、籾殻とヌカに米と仕訳して各容器へと格納してくれる。
精米については白米から玄米までの度合いを選んで行えるから自分の好みにて応じた精米もね。
ヌカは糠漬けなど用として自宅で使用しても良いけど、農協にて籾殻と共に買い取ってくれたりもする。
籾殻付きの米は精米した米と比べて保存に適しており味が落ち難いんだ。
精米が手間だから精米した米が流通しているけど、短時間で容易く精米が自動で行えるとなれば、そちらを選ぶ方も多いのさ。
主食の飯1つにおいても、格段の格差が、ねぇ。
だってさ、釜戸で羽釜を用いて米を炊いている方々も居るんだぞ。
その手間ときたら…
窯で薪を使い熾した火にて物を焼き、煮炊きを行っていたりね。
コンロへワンタッチにて火が付き、火加減も摘み1つで行える最新式と比べると…
オーブンやグリルは存在するが、生憎なことに電子レンジは世に出してはいない。
だが、様々な家電が日常生活へと浸透しつつはあるんだ。
利便性が向上すれば、以前無駄に掛かっていた時間が削減される。
そうすれば、その分を仕事や余暇へと回せる訳で…持つ者と持たざる者との格差が広がっているんだ。
この新たな問題に上の方々は頭を抱えているようだけどさ、流石に小学3年生の僕には解決できませんからねっ!
振らないでよっ!




