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00054 : やはりスライム君は有用なのです。

俺が困ったように麗輝様を見ていると、天帝様も察したようでね。

「これこれ、麗輝様。

 それは、流石に朕も容認できぬわっ。

 仮にも、そなたは帝族ぞ、その身でスライム風呂…で、あったか?

 そのような物を使おうなどと、とんでもないことであるわっ!」

そう諫められた訳なんだけど…


「あら?何故かしら?

 有用と認められる物なのですから、活用すべきでは?」

不思議そうに告げておられるが、そもそも俺にはスライム風呂へ入ろうとする感性が理解不能だ。


いやね、確かに俺はスライムの有用性を説いたよ。

そしてな、スライムが有用なのは間違いのないことなんだ。


それでもな、あの身姿を無条件で受け入れられるかと言えば…流石に、ねぇ。

素手で持つくらいならば、俺は出来るけどさ、アレを湯舟に満たして裸で浸かるのは…む、無理だぁぁっ!


想像しただけで怖気がね。

なんの拷問だってーのっ!


なのにさ、喜々として自分から入りたがってんだよねぇ。

気持ち悪くないのかなぁ?


ここは少しでも話を逸らした方が良いよな、うん。

「それで特に報告させていただきたい事実なのですが、スライムの治癒能力についてなのです。

 治癒と申しましても、傷を癒したり、欠損部を補うような効能は望めません。

 ですが、体内機能…内疾患や機能不順、更には五感に対する障害治癒が望まれるのです。


 実際に極度の近眼だった女性が裸眼にて生活可能となっております。

 この能力を用いるなれば、不治の病とされていた病を治癒できるやもしれませぬ」


俺が告げると天帝様も、ことの事態に気が付いたようだ。

少し考える素振りをされた後で。

「それが本当なれば、恩恵は計り知れぬこととなろう。

 だが…その手段を公表するのは慎重に行わねばなるまい。

 帝室の品位が下がりかねぬ」


まぁ、そうだよね。

俺と天帝様の話しからスライム風呂は許されないと悟り、麗輝様が拗ねてしまわれたが…流石に、ねぇ。


「研究所の方でも公表方法を巡って議論が絶えなかったのですが、取り敢えず記者会見を行う場合は所長と実行に移した研究所員が出ると決まりました。

 ですが、ことが事だけに、まずは天帝様へ言上いたし、下知を仰いでからとなりまして」


「それで、慶が来た訳か。

 麗輝と共に来たのは、そなた1人だと朕が受けぬと思うてだな?」

「左様にて」


天帝様が溜息を吐かれてからね。

「確かに麗輝が、あのようなことを申さねば、スライムなどと聞き入れもせなんだやもしれぬな。

 そう考えると、なかなかにインパクトの強き案であったと言えよう。

 だがの、この件は帝室を通さずに行うように。

 やはり帝室品位的に鑑みるに、帝室関与を勘ぐられるのはよろしくないでな」


まぁ、そうだよねぇ。

ただ、スライムの治癒能力は有能であることは認めていただけたよ。

それでな、直ぐに公表するのではなく、治癒に対する検証を行ってからとなったんだ。


まずは動物実験からとなり、その後で臨床試験へと望むようにとね。

俺は受けた下知を持ち帰るために宮殿を辞す。

麗輝様はスライム風呂が許可されずに怒ってたけどさ、そればかりは、ねぇ。


帰りは、俺1人でリムジンへ乗り込み基地へとね。

転移ターミナル経由で暮へ戻り、迎えのリムジンにて研究所へ。

本当は帰宅したいんだけど、電話で連絡すると来て欲しいとなってね。


研究所へ着くと、夕食が用意されており、食べながら会議を行うことに。

まぁ、天帝様との対談については電話で話しておいたから、スライム治癒能力の検証についての話し合いとなったんだ。


まずは病に掛かった動物を、何処から得るかが課題となっていた。

だからさ、俺は言ったんだよ。

「そんなの、動物病院に協力して貰ったら良いんじゃないですか?」ってね。

したらさ。

「動物病院?

 なんですか、それは?」って、あれっ?


慌ててアカシックレコードにて確認すると、この世界には畜産医は居るがペットなどの専門治療を行い獣医が存在しなかったよ。

畜産医がペットなども治療することもあるみたいだが、基本的に知られてないそうな。


だが俺の案を元に議論が進み、畜産医とか動物園の獣医などから情報を得てはっとなった。

他にも医療研究を行っている医療研究所などならば、研究用モルモットを使用した臨床実験も行われており、意図的に病気となるように病原菌などを植え付けたりもしているのだとか。

そのような環境へスライムを持ち込み臨床実験を行うことに。


ただ情報漏洩を防ぐため、軍事施設系の医療研究所でのみ行うとね。

方針は決まったので、研究所付き軍人経由にて軍上層部へと。

そこからの紹介状と機密保持の指示書を得てから紹介された医療研究所へと向かう。


っても、研究所員達が実験のために赴くが、俺は同行しない。

だって、学校もあるしね。


小学生に何でもかんでも遣らせるんじぁありません!

俺は、まだまだ幼いんだからさ、遊びたい盛りなんだよっ!


そう言うことで、後は任せて手を引かせて貰いましたよ。

ってもね、俺の亜空間にて野生動物で病に掛かった個体のスライム治療を行ってみたりはしたんだ。

見事に根治しましたよ。


治癒魔術みたいに万能ではないけどさ、アレは世に出せないからさ。

そう考えるとスライム治療は画期的と言えるだろうね。

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